2009.03.16 Monday
長谷川 彰吾 1
彼はゲームで麻雀を覚えました。最初は確か友人に教えてもらったのだとは思いますが…
いつしか、ゲームで。
またはネットで、ルールを把握し、麻雀というものを覚えました。
コンピューターと打っても楽しい麻雀でした。
その完成されたところが、彼を引きこもらせる要因となり、そこが麻雀の弱点ともいえるでしょう。
彼が次に出会ったのはMJというゲーム。
ゲームセンターにあるネットワーク対戦麻雀、
色んな人と対戦できるというのがある種のウリでした。
彼はそこで、京都という地域でトップクラスになりました。
ゲーセンで開花した彼の才能。
彼に惹かれる者も少なくはなく、引きこもり生活に幕を降ろした彼は、
大学に進学し、サークルに所属し、先輩と出会い、
そして、実際に卓を囲むという機会を手に入れました。
「麻雀なんかゲーセンでしかしたことないっすよ…」
と言いながらも、彼の顔は自信に満ち溢れていました。
当然のようにサークル内でも頭角を現した彼。
そんな彼を麻雀に誘う人間は増え、
そしてついに、先輩の一人が彼をフリー雀荘に誘うことになったのです。
フリー雀荘という存在を彼は知りませんでした。
麻雀というものはゲームとして完成されたものだったので、
知る術がなかったといった方が正しいかもしれません。
初めてのフリー雀荘は彼にとって異様な光景でした。
『意外に、賑やかだな…』
最初の感想でした。
初対面同士が集うと思っていた店内が、
MJとは全く違った雰囲気で盛り上がっていたことに驚いたのを忘れられません。
ルール説明などを聞き、いよいよ卓に着くことなった彼に、店員が一言。
「緊張なさらないで、がんばってくださいねー。」
彼は、
「麻雀なんかゲーセンでしかしたことないっすよ…」
と、完全に何の答えにもなっていない返事を
やはり、自信に満ち溢れた顔で言っていました。
初めての半荘。
メンバーが同卓していました。
そのメンバーの名札には「完璧超人」と書かれていました。
ニコニコと屈託のない笑顔で話しかけてきますが、
麻雀の手は止まらないこのメンバー。
「フリーにはよく行かれるんですか−?」
「麻雀なんかゲーセンでしかしたことないっすよ…」
「へぇー!最初フリーに来るのって少し怖くないっすかー?ロン。8000点です。」
「ゲーセンってことは、あまりお仲間さんとセットすることもないんですかー?」
「麻雀なんてゲーセンでしかしたことないっすよ…」
「でも、今のゲーム、MJとかすごいリアルですもんねー。ロン12000点です。」
「じゃ、ひょっとして、自動卓って初めてなんですかー?」
「麻雀なんてゲーセンで…」
「ツモ。6000オールです。ラストありがとうございますー。」
このやろう。
オレの話を聞きやがれ、この完璧超人。
ソッコーでトんでしまったわ、フライアウェイ。
オレを誰だと思ってんだ。
MJ界ではちょいと名の知れた「送りカンの長谷川」だぞ?
オレにリンシャンツモらせたら世界が震えるんだぞ?
別名「カンドラガン牌の長谷川」ってのもあるんだぞ?
ちょっと待ってろ、今本気を出してやるからな。ヤルカラナ。
「すいませんん…。ついてました…。」
と、少ししおらしくなった完璧超人。
謝っても、もう遅い。
オレの船はもう出港しちゃいました!!
「カンっ!!」
「イーソーのカン、新ドライーソーですー。すごいモロ乗りですねー。リーチー。」
「カンっ!!即ナシ!」
「イーピンのカン、新ドライーピンですー。倍満スタートじゃないですかー。
」
「実は、フリーは初めてですが、別名…」
「ツモ、16000オールです。ラストありがとうございますー。」
…待て待て待て!このスットコドッコイ。
ありがとうございますじゃねーよ!!
お前完璧超人じゃなく、むしろ悪魔超人だろ。
四暗刻をそんなに冷静にアガるんじゃねぇ!!!!
貴様は正確無比な精密機械かー…
と、心の中で絶叫しました。
店内の中心で不愉快を叫ぶ。
同時に、彼にはハッとさせられることがありました。
- | comments (2) | trackbacks (0)





コメント
ありがとうございます。
恐縮です。
しかし、我ながら「送りカンの長谷川」はダサすぎると反省しております。
いつも面白いですね^^
フィクションとノンフィクションの境界線が分からないのが、たまりません。
次も、楽しみにしてます。
コメントする