ポイントカード | 雀荘特集


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第二十八回:愛知県知立市「東天紅」

学生時代

もう25年ほど前のことだから時効だと思って話そう。

私は高校生の頃から雀荘で麻雀を打っていた。
当時は名古屋にフリー雀荘は少なく、近代麻雀の広告で探したお店に、名古屋駅まで地下鉄を使って通っていたのだ。
若いからといって舐められないよう、とにかく押して押して押しまくっていた。打牌も強かった。イヤな客だったと思う。
成績は上下に大きくブレたが、勝った時はとてつもなく強く見える。

「強いねぇ」

その一言に自尊心は満たされ、根拠のない自信はさらに大きくなっていった。

「頼むから学生服でこないでくれ」

店長にそう言われ、駅のトイレで着替える日もあった。

そんな麻雀漬けのある日、とある若い打ち手をよく見かけるようになった。
当時ハマっていたメロンソーダを飲みながら、カウンター越しに店長に聞いてみる。

「店長、あの人は?」
「ああSくんね。彼も君と同じ高校生だよ」
「ふーん」

もう一度彼の打っている姿を視界に入れる。

『S』は私と真逆のタイプだった。
麻雀にハマっている点は同じだが、Sはおっとりしていて、私のようにギラギラしていない。トップをとってもラスを引いてもあまり感情を表に出さず、牌に触れること自体を楽しんでいるようだった。

(とろくさいやつだな)

若いとしか言いようがないが、私がSに抱いた印象はそんな感じだった。

知立市

前置きが長くなったが、今回向かったのは、知立にある「東天紅」というお店だ。
知立という地域は、名古屋駅から電車で30分以内に行ける、名古屋市から少し離れた場所にある。

皆さんは、地方の雀荘というとどのような店内を想像するだろうか。

・常連ばかり
・マナーに難あり
・清潔感に乏しい

あまりいいイメージを持っていないのでは、と思う。

この「東天紅」も、数年前まではその例外ではなかった。今どき当たり前である「赤牌」もなく、まさに昭和の雀荘という感じだ。
それはそれで常連達の憩いの場として機能していたのだろう。
ただ、一見さんや若い人はどうしても入りにくい空気があったのも事実である。
さらに今打っている常連だけだと、転勤や病気などで客数は減ることはあっても、増えることはない。

そこで、常連さんたちの場所を守りつつも、新しい人や若い人にも安心して楽しめるお店を作り直そう…と立ち上がったのが、冒頭に紹介した『S』である。

東天紅とは

東天紅は名鉄・知立駅から徒歩30秒と、降車してすぐそばにある。
年季の入ったエレベーターで4階に上がると…

ガラス張りのドアが出迎えてくれた。中を開けると

広々とした店内に陽光が差している。

さて店長となった数年前のSは、まず、マナー面の強化から取り掛かった。
先ヅモ禁止、発声を明確に…という当たり前のところから徹底。特にスタッフの動作や言葉遣いなどを指導し、お一人様でも安心して遊べる空気づくりに励んだ。

お次はルールだ。なるべく現代に即したルールに変えていく必要があるわけだが、一気に変えると常連さんたちが対応できなくなってしまう。そこで何年も掛けて少しずつマイナーチェンジを繰り返した。だいぶ落ち着いたと言える現在のルールを紹介しよう。

ルール・システム

東天紅では、ルールとしてはごく普通のありありルールを採用しているのだが、特筆すべきは完全順位制の半荘戦を採用している点だ。これはかなり珍しいのではないだろうか。
点棒とは関係なく、順位で全てが評価される。
天鳳と同じで、100点差であろうとトップはトップなのだ。

また、「55000点コールドでのトップ」「全員を原点(25000点)未満に沈めたトップ」を取ると「プレミアムトップ」となり、通常のトップと比較してかなり大きくなる。
プレミアムという響きが良く、この言葉のチョイスは「やるなS」と思った。

この完全順位戦、やってみるとかなり技術介入度が高いということがわかる。

例えば当日の実戦で、こんな点棒状況になった。

東家 35000 ←(私)
南家 24000
西家 26000
北家 15000

トップ目で迎えたオーラスだ。

私としては南家か西家にマンツモされなければトップが確定する。手牌次第だが、控えめに打つのが吉だろう。そして余裕があるなら26000持ちの西家を24900以下に沈めたい
そうするとプレミアムトップになるからだ。

南家と西家は点差が近いので2着を目指すことも十分に考えられる。安そうな仕掛けだと思ったら差し込むのも手だろう。

北家としては、マンガンツモで3着、ハネ満ツモで2着になるが、気をつけたいのは13002600とか中途半端な点数をツモると西家が沈んでしまい、プレミアムトップとなり支払いポイントが増えてしまうことだ。メンピンドラ1などで裏ドラ期待のリーチはあまりよくないことがわかる。

自分の状況と、他家の思惑を推察し、ベターな選択をしていく過程がとても面白いのだ。

完全順位戦だと、離れたラス目やトップ目はやることがなくなってしまうということが往々にしてあるが、このルールではそのへんはしっかり練り込まれていて、例えばラス目は飛びの回避(飛びにペナルティポイントがある)全員沈み阻止のアガリや差し込み、一発裏ドラのポイント狙い…など、考えることはある。

常時何かしらのイベントを開催しているし、ポイントカードもあり、還元している。

敏腕スタッフの作ったご飯が安価で食べれたりする。

私や「ウザク本」で有名なG・ウザクさんも定期的に顔を出している。

Sの接客

ルールやシステム、イベントを紹介したが、私が1番店のウリだと思っているのはSの接客姿勢だ。

Sは物腰柔らかく、話していて安心感がある。
失礼のないタイミングでお客さんに話しかけ、世間話から始まって、不満や要望などをごく自然に聞き出す。お客さんがお帰りになる際は、送りがてらエレベーターの入り口まで行き、必ずなんらかの交流をする。そしてエレベーターのドアが開くと「ありがとうございました」と、深々と頭を垂れるのだ。

自分にはマネできないな…そう思った。
いや、物理的にはマネできるのだが、私がやるとどうしても「やらされている感」が表に出てしまう気がする。

Sは、もともとたわいもないことを話すのが好きだ。それでいてそんな何気のない会話からもお客さんのことを大切に思っていることがヒシヒシと伝わってくる。
お客さんが話している間は黙って聞いているし、返ってくる答えも優しさに満ち溢れている。
スタッフに対しても厳しさと優しさを使いこなしているし、新規説明はとても丁寧だ。

天職、なのだと思う。
その凄さに気付けなかった学生の頃の私は若かったとしか言いようがない。

25年の時を越えて感じたSの人柄に、懐かしさとリスペクトを感じる。
今はそんな縁があって何かしらの手伝いをしているお店だ。

知立には他にフリー雀荘がなく、うまくやれば独占市場となるのに、思ったようにお客さんは増えず、Sを悩ましている。それでも店長になり始めた数年前と比べたら活気づいてきた方だと思う。
ぜひ、名物店長と、完全順位戦の面白さを体感するために、知立まで足を運んでもらいたい。

オマケ

待合席には、私が寄贈したモニターがある。
これは、どうしても麻雀を打ちながら競馬が見たいMリーグが見たいと思って寄贈したものなのだ!

評価

刺激度 ★★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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第二十七回:和歌山県和歌山市「シンバル」

心の隙間 和歌山県

電車に乗り込んだときのふわっとした暖かさが心地よい。
朝の光によって、椅子の毛足がきらきらしている。

わたしは電車で和歌山県に向かっていた。
久しぶりの「ゼロ旅」は、和歌山県唯一の4人打ちフリー雀荘「シンバル」に決まったのだ。

和歌山県か……。
私の記憶が正しければ、これまでに和歌山県には足を踏み入れたことがない。

誰も興味ないかもしれないが、これはzeRoの行ったことある県リストだ。
見ての通り和歌山県は、私の住んでいる愛知県から比較的近いにも関わらず、これまでに通過したことすら無い。なるほど、地図を見ると和歌山県は紀伊半島の先っぽに位置していて通り道にはならない。

今回はそんな心の隙間にひっそりと存在する、和歌山県の良さも伝えていこう。

シンバルのある和歌山市は、大阪から南海電鉄のサザンという特急列車に乗って約1時間で到着する。和歌山市は県の中でも北の方にあり、割とすぐだ。

もっと山道をかいくぐって走るのかと思ったら、割とひらけていたし、住宅街など町並みはそれなりに栄えていた。
和歌山といえば気候の良さだろう。夏は涼しく、冬は温かい。その温暖な気候を活かした、みかんや梅などが有名だろうか。行き交う人々を眺めていたら、あっという間に電車は和歌山市に到着した。

和歌山グルメ グリーンソフト

到着したらまずは腹ごしらえだ。
入ったのは、和歌山では有名なグリーンコーナーというラーメン屋。

「◯◯番のお客様―!」厨房のおばちゃんの声が店内に響く。
一昔前の高速道路のサービスエリアの雰囲気だ。

私が注文したのは「てんかけラーメン」なるもの。天かすが入っていて、とてもシンプルで優しい味なのだが、ぎっとりこてこてのラーメンに慣れてしまった昨今としては、これぞラーメンという、原点を思い出させてくれる一品だ。
名古屋のスガキヤを思い出す。それも今の洗練されたスガキヤではなく、昔の古き良きスガキヤだ。

値段も、最近の日本では考えられないくらい安い。デザートとして、和歌山ではコンビニに入ったら売っているというくらい、ご当地名物の

グリーンソフトを頂いた。
なんと、この抹茶ソフトを食べるために他県からくる人もいるらしい。それくらい隠れた名産なのだ。グリーンコーナーのグリーンソフトは他で食べるものとは違い、きめ細やかで柔らかい。
私はほとんど好き嫌いがなく、実は唯一抹茶だけが苦手と言えば苦手なのだが、このグリーンソフトはあまり抹茶抹茶しておらず、美味しく食べることができた。

まさにアットホーム雀荘 シンバル

お腹を満たしたところで、いよいよシンバルに向かう。
シンバルは和歌山市駅から歩いて20分くらいだろうか。国道沿いにあった。

一見すると、全くもって普通の一軒家だ。
違いは看板があるかどうかでしかない。

ごくごく普通の玄関を開けると……

2階に繋がる階段と、下駄箱があって本当に「家」っぽい。
中では既に

フリーが2卓立っていた。

看板娘がお出迎え。

実戦

早速麻雀を打つことになった。
ルールはごくごく普通の遊びやすい4人打ちルール。

この日は終始調子がよかった。
最初こそダブロンを放銃するなどして飛んでしまったが、その後は2311211と8戦4トップを奪取。

印象的な局があった。

東1局3巡目・南家

 ドラ

私は、この手で上家から出たに反応したのだ。
もちろん狙いはチンイツ。

「10枚チンイツドンジャラ理論」という言葉は有名だろう。
木原浩一プロが考案した1つの基準であり、ようは10枚同じ色があったらチンイツに走って問題ないよ……と、理論という名前の割にはかなりざっくりした内容なのだが。

私はこれを少しだけ細分化して考えている。

3巡目まで→9枚

4巡目~7巡目→10枚

8巡目以降→11枚

つまり早い巡目であれば9枚から発進してもOK!ということだ。
もちろん9枚の繋がりや、他の部分を活かしたメンゼンリーチとの比較によって判断は変わっていくが、上の手牌くらいマンズの並びがよかったらどこからでも仕掛けていくべきだろう。

端にかかるは、すぐにでも鳴けそうだ。実際あっという間に、

   

こんな理想的なテンパイになり、ハネ満をツモった。

アガリを重ねる自分を相手に、全員が楽しそうに麻雀を打っているのが印象的だ。

総評

「アットホーム」

雀荘を紹介するときに、耳にタコができるくらいありふれたフレーズなのだが、この言葉が1番しっくりくるのだから仕方ない。
例えば、今はそうでもないかもしれないが、昔は雀荘に時計は珍しかった。
時計を置くとお客さんの帰ってしまうきっかけをつくってしまうからだ。
シンバルでは……

めちゃくちゃ存在感の大きい時計がある。

5年前。オーナーのSHINさんは、和歌山からわざわざ大阪まで出ていって麻雀を打ったそうで、だったら自分で和歌山にお店を作ったほうがよいのでは……と思ったのがきっかけで開業したのだと言う。
集うようになったお客さんと交流を重ね、いつしか和歌山から4人打ちの灯を消してはいけない……という使命感を強く持つようになった。

その思いが店内からヒシヒシと伝わってくるお店だった。

なお、

ポイントカードによってゲーム券がもらえるし……
今流行りの成績管理もしっかり存在する。お店のHPから見てみると……

しっかり11月のランキングに名前を連ねていた。
名前をクリックすると、

詳細を見ることができる。

お客さんのことを考えて様々な面で試行錯誤するSHINさん。

シンバルで麻雀を打って、グリーンソフトを食べて帰る。
そんな観光名所になってほしいなと思った。

なかなか踏み入れることのない和歌山の地だが、お立ち寄りの際は是非シンバルでの麻雀を楽しんでみてははいかがだろうか。

評価

刺激度 ★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★★
グリーンコーナー★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)