zeRoの麻雀ひとり旅 ~第十七回:神奈川県川崎市「まーじゃんLIFE」~

zeRoの麻雀ひとり旅

第十七回:神奈川県川崎市「まーじゃんLIFE」

東天紅フリーがあると聞いて――

季節外れの台風が日本を直撃する……そんな時期のことだった。
「東天紅」の打てるフリー雀荘があると聞き、私は川崎駅を降りた。
商店街の中は人でいっぱいでおどろく。

何やらお祭りをやっているらしい。

その商店街を潜り抜けて右に曲がったところに……


噂のまーじゃんLIFEはあった。

人のよさそうなマスターに案内され、待ち席に腰を下ろす。昨年末にお店をオープンし、セット仲間でやっていたルールを元に、フリー営業をやってみたらしい。
なるほどまだ一年経っていないだけあって、店内はキレイだ。

「東天紅」とは関東で流行っているサンマで、基本的な牌の設定は萬子のを抜いたサンマに準じるのだが、などを「ガリ」(抜きドラ)として右に抜き、和了役を、通常の1ハン・2ハンという計算ではなく1点2点と数えるルールである。点数の計算方法はそれこそルールによってさまざまだが、基本的には10点を超えることが多く、数えるのが大変である。だから手牌以外の牌を集めて数えるのが慣例となっている。役を言いながら牌を集める時に何かしら脳に気持ちのいい成分が分泌されていると私は分析している。
そして、通常の半荘単位の清算ではなく、東天紅は一局清算がウリの一つ。
2時間を1クールとする、というように時間で区切ったり、50点持ちで誰かが飛んだら終わりにしたり、とルールは様々であるが、ここLIFEではいつやめてもよく、遊んだ時間によって料金を支払うというシステムである。

さて、そんなLIFEのルールはコチラ

抜きドラは北だけで、赤はが1枚ずつ。東天紅にしてはとてもマイルドな設定だと思う。

突然だが、私はファミコン世代である。各メーカーから発売されるソフトをいかに攻略するかが楽しかった。そのときの名残かもしれないが、いろんな雀荘へ行った時、私は、勝ち負けよりもそのお店のルールで最適な戦術を考える、その過程が何より楽しく感じてしまうのだ。もちろん勝てば嬉しく、負ければ悔しいという感情は少なからずあるのだが。
LIFEでの麻雀をどう攻略していくか、実戦をみてもらいたい。

実戦

座って何局か打ったころに

 ツモ 抜き ドラ

このような手牌で、親からリーチを受けた。リーチの捨て牌にはが光っており、今ツモってきたは切りづらいところ。
が……それは通常の麻雀では、の話である。

私は深く考えずにを即座に切った。

東天紅ルールは、基本的にまっすぐ打った方がいい。というのも、放銃してもツモアガリされても、払う点棒は同じなのである。いや、同じどころかツモの1点を考えるとどうせツモられてしまうなら放銃した方がマシ……と考えることもできる。親と言っても、和了点数が1.5倍になる訳ではなく、1点増えるだけなので、押し引きに与える影響はほとんどないと言っていいだろう。
横移動もあるし、流局することもあるので、全部押すわけではないが、これくらい戦える手牌であれば全く迷うことはなかろう。
このように、ある程度の手になったら深く考えずに押すことができるのが東天紅ルールの醍醐味と言えるかもしれない。オンライン麻雀「天鳳」よりストレス解消になることは間違いないだろう(笑)

と思っていたが、もう一人からも追っかけリーチがかかり、

 ツモ 抜き ドラ

さらなる危険牌を持ってきてしまった。これはさすがに撤退する。二軒リーチになり、横移動がそこそこ期待できるのも大きい。捨て牌にのアンコ……と並べていったが、なかなかどちらのアガリも発生せず、私は最終手番を迎えていた。安牌には困っていなかったのでさっさとオリようとしたときに、さっきのルール表のとある部分が頭をよぎった。

・ノーテン罰符は場に10点です。

ZEROに電流が走る! というほどでもないが(笑)場に10点ということは2人に5点ずつ支払うということか。リー棒が2本場に出ていて供託になる(東天紅ルールでは、リーチ棒は1点が通例)という事を差っ引いても「9点以上の放銃相当」になるということだ。
つまりここは……私はを抜いていない親の危険牌をあえて切った。

「ロン……リーチ・ピンフ・ドラ・裏・親……5点です」

そうなのだ。これまでみてきた感触からすると、LIFEの東天紅はかつてないほどマイルドなので、平均アガリ点が4~6点の範囲だと思われる。1人ノーテンが濃厚な時は、いっそどちらかに放銃してしまった方がいい。

次の局は仕掛けて私がさっとアガる。

「ツモ、中、ドラ、北、1本場……4点オールです」

平均アガリ点が低いという事は、相対的に本場の影響は高いと言える。

また、こんなこともあった。

 ツモ 抜き ドラ

テンパイしたがカンチャン。それでも出アガリがきくのでテンパイに取るのが普通の麻雀かもしれない。
しかし私はまたしてもルール表に書いてあったとある部分を思い出し、をカンした。

を4枚抜いて揃えた時点で20点です。(10点オール)

これはバランスブレイク役と言っていい。まだは見えていないので、そのをツモる抽選を最大限に受けつつ、ツモアガリできる待ちに受けなおすのがベターだろう。
4点の出アガリの権利よりも、リーチツモにドラを付加した7点オール以上のアガリ、もしくは北を揃えに行く……ということだ。逆に言うとを同じ人に3枚抜かれてしまったら、もう一人の人に差し込み気味に打つくらいがちょうどいいのかもしれない。

そんなこんなで、お客さんと談笑しながらも、攻略を考えつつ打っていたらあっというまに2時間以上経ってしまった。歳のせいか2時間くらい東天紅を打つと頭がオーバーヒートしてしまう。それくらい毎局参加のサンマは濃密だという事だ。

感想

個人的にはもっと派手な点数が飛び交う(カラスやセットなどで50点を超えてしまうような)東天紅を期待していただけに、正直このマイルドさは拍子抜けだった。
ただ、逆に言えばヨンマの最低限のルールさえ知っていれば簡単に打つことができるので、初心者にもとっつきやすいルールと言える。1点100LIFEなので、大きく感じてしまうかもしれないが、順位点やオカがあるわけではないので通常のサンマよりはるかにマイルドだ。実際私もとったりとられたりの繰り返しのあと、終盤かなりアガリ倒したように感じたが、プラス3000LIFEだった。(東天紅は途中勝っているか負けているか全くかわからないのも面白い)
また、店内がきれいなことももちろんだが、特筆すべきはゲーム代の安さである。今回の東天紅は1時間800円で遊べるほか、貸し卓も1卓1000円/hでやっている。学割や女性割もあり、とてもリーズナブルであることは間違いない。

福岡のチャンタ大橋店で一局清算の魅力に取りつかれてしまったので、ぜひこの東天紅ルールの麻雀が全国に流行ってほしい。

評価

刺激度 ★★☆
清潔感 ★★★★
サービス★★★★
東天紅の魅力★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現