馬場 裕一の麻雀コラム
2011年11月21日(月)
| 馬場 裕一
瀬戸熊直樹プロの一手
●東4局●東家●5巡目
ツモ ドラ
先月、日本プロ麻雀連盟のGⅠタイトル、第28期十段戦が終了いたしました。
優勝したのは瀬戸熊直樹さん。
瀬戸熊さんは現・鳳凰位でもあるので(しかも連覇中!)プロ連盟が誇る伝統と格式の2大タイトルを独占する形になったわけです。
もはや「連盟最強のプロ」の座を得たといっても過言ではないでしょう。
瀬戸熊さんと初めてお会いしたのは10年以上も前ですか。
当時、若手プロの研鑽の場だった「麻雀棋士奨励会」というサークルがありました。
そこに僕は、面識のない瀬戸熊さんを招待したのです。
東京経済大学を出てサラリーマンになったのに、麻雀に魅せられ、結局会社を辞めてプロ雀士の道に入ったという、当時としては異色の経歴に興味をそそられたからであります。
案の定というべきか、彼は初対面のときから礼儀正しい好青年でした。
さすが社会人経験者は違うなあ、と妙に感心したことを覚えています。
その後は伊藤優孝さん(プロ連盟副会長)を通じて、徐々に交流が深まり、昨年までは漢塾で麻雀を打ち合ったりもしていました。
[注]漢塾とは伊藤優孝さんが主宰する麻雀研究会
その漢塾でのこと。
僕が西家で、次のホンイチのテンパイ。
ポン ドラ
カン[二筒]待ちです。
ここに10巡目、引いてきた牌が[一筒]。
ポン ツモ
場に出ている関連牌は[一筒]が1枚、[二筒]が2枚、[四筒]はション牌、[七筒]が1枚という状況。
[五筒]を切れば[四筒][七筒]待ちになりますが、僕はノータイムで打[六筒]、変則3面待ちに受けました。
この後[三筒]か[四筒]を重ねてのトイトイの変化をにらんだのです。
そこへ対面の親の瀬戸熊さんがビシッ!と[八筒]を強打!
さらに次巡[四筒]をビシッ!と横に曲げて、
瀬戸熊「リーチ!」
こちらも負けじと危険牌を次々にビシッ!ビシッ!強打。
しかし結果は――
瀬戸熊「ツモ!」
ツモ ドラ
裏ドラが[八索]で親ッパネ、6000オールのアガリに仕上げられたのでした。
ここでポイントなるのがリーチ宣言牌の[四筒]。
瀬戸熊さんは、
この形から[四筒]を横に曲げたのです。
[四筒]を切れば三色のテンパイになるのはわかります。
だけど親番、しかも対面(僕です)はピンズのホンイチ。
勝負するにしても[一筒]を切るという人が多いんじゃないかなあ。
[四筒][七筒]のほうが危険筋だし、実際その待ちにも受けられたのです。
しかし瀬戸熊さんは強い意志で三色を選択、結果的に僕への放銃を回避しただけでなく、僕のアガリ牌でもある[二筒]で親ッパネをものにしたのでした。
これが瀬戸熊さんの麻雀なのです。
やがて、この打ち筋は、漫画家の片山まさゆきさんから「暴君」と名付けられるまでに至ったのです。
それでは暴君・瀬戸熊プロの打ち筋をもう1局。
ツモ ドラ
東4局の東家です。
ご覧のように好形のイーシャンテン。
そこへ5巡目に[七索]を引いてきました。
この時点で各家の持ち点は次のとおり。
東家 55500点
南家 39200点
西家 16200点
北家 9100点
東家の瀬戸熊さんのダントツ状況。
そこへの[七索]ツモです。
好形のイーシャンテンが、さらなる好形へと変化したのですから、誰だって[六索]に手をかけることでしょう。
ところが瀬戸熊さんの選択は違いました。
先の手牌から何と打[五万] (◎-◎;)
チンイチ狙いにむかったのですw(°0°)w
(ダントツという)状態が良い時だからこそ最高形を目指す、いかにも瀬戸熊さんらしい一打といっていいでしょう。
結果もお見事なもので、7巡目に[四索]、9巡目に[八索]、10巡目に[四索]と引き込んであっという間にメンチンのテンパイ。
あっさり[七索]をツモりあげて6000オール。
他家3人の戦意を喪失させたのでした。
ツモ
ダントツだからといって守りに入らない。
ダントツだからといって妥協しない。
むしろダントツだからこそ、さらに重量級の手作りを目指す。
暴君・瀬戸熊の麻雀は、その美学と共に、多くの麻雀ファンのハートをがっちりつかんだのでありました。
ツモ ドラ
先月、日本プロ麻雀連盟のGⅠタイトル、第28期十段戦が終了いたしました。
優勝したのは瀬戸熊直樹さん。
瀬戸熊さんは現・鳳凰位でもあるので(しかも連覇中!)プロ連盟が誇る伝統と格式の2大タイトルを独占する形になったわけです。
もはや「連盟最強のプロ」の座を得たといっても過言ではないでしょう。
瀬戸熊さんと初めてお会いしたのは10年以上も前ですか。
当時、若手プロの研鑽の場だった「麻雀棋士奨励会」というサークルがありました。
そこに僕は、面識のない瀬戸熊さんを招待したのです。
東京経済大学を出てサラリーマンになったのに、麻雀に魅せられ、結局会社を辞めてプロ雀士の道に入ったという、当時としては異色の経歴に興味をそそられたからであります。
案の定というべきか、彼は初対面のときから礼儀正しい好青年でした。
さすが社会人経験者は違うなあ、と妙に感心したことを覚えています。
その後は伊藤優孝さん(プロ連盟副会長)を通じて、徐々に交流が深まり、昨年までは漢塾で麻雀を打ち合ったりもしていました。
[注]漢塾とは伊藤優孝さんが主宰する麻雀研究会
その漢塾でのこと。
僕が西家で、次のホンイチのテンパイ。
ポン ドラ
カン[二筒]待ちです。
ここに10巡目、引いてきた牌が[一筒]。
ポン ツモ
場に出ている関連牌は[一筒]が1枚、[二筒]が2枚、[四筒]はション牌、[七筒]が1枚という状況。
[五筒]を切れば[四筒][七筒]待ちになりますが、僕はノータイムで打[六筒]、変則3面待ちに受けました。
この後[三筒]か[四筒]を重ねてのトイトイの変化をにらんだのです。
そこへ対面の親の瀬戸熊さんがビシッ!と[八筒]を強打!
さらに次巡[四筒]をビシッ!と横に曲げて、
瀬戸熊「リーチ!」
こちらも負けじと危険牌を次々にビシッ!ビシッ!強打。
しかし結果は――
瀬戸熊「ツモ!」
ツモ ドラ
裏ドラが[八索]で親ッパネ、6000オールのアガリに仕上げられたのでした。
ここでポイントなるのがリーチ宣言牌の[四筒]。
瀬戸熊さんは、
この形から[四筒]を横に曲げたのです。
[四筒]を切れば三色のテンパイになるのはわかります。
だけど親番、しかも対面(僕です)はピンズのホンイチ。
勝負するにしても[一筒]を切るという人が多いんじゃないかなあ。
[四筒][七筒]のほうが危険筋だし、実際その待ちにも受けられたのです。
しかし瀬戸熊さんは強い意志で三色を選択、結果的に僕への放銃を回避しただけでなく、僕のアガリ牌でもある[二筒]で親ッパネをものにしたのでした。
これが瀬戸熊さんの麻雀なのです。
やがて、この打ち筋は、漫画家の片山まさゆきさんから「暴君」と名付けられるまでに至ったのです。
それでは暴君・瀬戸熊プロの打ち筋をもう1局。
ツモ ドラ
東4局の東家です。
ご覧のように好形のイーシャンテン。
そこへ5巡目に[七索]を引いてきました。
この時点で各家の持ち点は次のとおり。
東家 55500点
南家 39200点
西家 16200点
北家 9100点
東家の瀬戸熊さんのダントツ状況。
そこへの[七索]ツモです。
好形のイーシャンテンが、さらなる好形へと変化したのですから、誰だって[六索]に手をかけることでしょう。
ところが瀬戸熊さんの選択は違いました。
先の手牌から何と打[五万] (◎-◎;)
チンイチ狙いにむかったのですw(°0°)w
(ダントツという)状態が良い時だからこそ最高形を目指す、いかにも瀬戸熊さんらしい一打といっていいでしょう。
結果もお見事なもので、7巡目に[四索]、9巡目に[八索]、10巡目に[四索]と引き込んであっという間にメンチンのテンパイ。
あっさり[七索]をツモりあげて6000オール。
他家3人の戦意を喪失させたのでした。
ツモ
ダントツだからといって守りに入らない。
ダントツだからといって妥協しない。
むしろダントツだからこそ、さらに重量級の手作りを目指す。
暴君・瀬戸熊の麻雀は、その美学と共に、多くの麻雀ファンのハートをがっちりつかんだのでありました。