望月 雅継の麻雀コラム
2012年01月16日(月)
| 望月 雅継
A1リーグ最終節
皆さんこんにちは。望月です。
今回はA1リーグ最終節の模様をお伝えします。
現在二位で迎えた最終節。上位三名に入ることが出来れば、念願の鳳凰位決定戦に進出できる大一番です。
今回の対戦相手は、上位から、荒プロ、私、伊藤プロ、右田プロ、石渡プロの5人打ち。
ポイントは、
荒 +94.1
望月 +86.6
伊藤 +56.3
右田 ▲1.0
石渡 ▲4.8
となっています。
三位の伊藤プロとは30P差、四位の右田プロとは約90P差がついていますが、普段なら安泰と考えるこの差もまだまだわかりません。
直接対決でトップラスを取ればその差は一気に縮まりますから、最終戦の最終打牌が終わるまでは気が抜けませんよね。
一昨年のA1リーグでは、最終局に役満条件の瀬戸熊プロが見事に四暗刻をツモリ、逆転で鳳凰位決定戦に出場、その勢いのまま鳳凰位を奪取した例もありますから、念には念を入れて対局に挑みました。
リーグの規定により、抜け番は9節終了時の順位順。
私は、1、3,、4、5回戦の対局となります。
一回戦、首位の荒プロの抜け番で始まります。
ここでの三者のターゲットはもちろん私。私をマイナスさせることによって、それぞれの決定戦出場条件が変化するわけですから当然のことです。
以前よりこのコラムにて緒戦の入り方、特に開局の入り方が重要であると説いていますが、今回の最終節においてもその重要性を痛感することとなりました。
東一局、北家で迎えた私は、2巡目Tポン、3巡目ツモ1、4巡目Rポンで、僅か4巡で以下の満貫テンパイに。
1113456 ポンRRR ポンTTT
鳳凰位瀬戸熊プロもコラムにて記していましたが、リーグ戦終盤のポイントは序盤のポイントよりも価値があるのです。序盤の8000よりも、終盤の3900には大きな価値があると。
リーグ戦最終節のポイント、しかも大事な初戦の開局において、ここでアガる満貫は点棒以上のモノがあると認識していました。何より、対戦相手に与える心理的ダメージは計り知れないモノがありますから。
しかも4巡目、この牌姿を見せられた時の相手の心理状態を考えても、必ずこの手をアガって開局を制したいと、テンパイ直後に考えました。
ですから、ここは開局と言え一歩も引くつもりもありません。ドラもツモ切り、完全なる臨戦態勢で向かうのですが…
8巡目、西家石渡プロが切った9に親伊藤プロが「ロン」の声。
69待ちの平和。僅か1500点とはいえ、このアガリが私に重く圧し掛かります。
この局を制し、この一日の中心となって立ち回る予定が、決定戦進出において一番のライバルになるであろう伊藤プロに阻止された事。しかも私の待ちは236待ち。6ならば…との思いもありますが、とにかく先手を取る予定だった私の思惑は大きく狂うこととなるのです。
このアガリが私の心理までも狂わせたかどうかはわかりませんが、東四局、私の親番でこの日唯一のミス、心の揺れが出てしまいます。
こちらも序盤、5巡目に望外のテンパイを果たした私の牌姿は、
二二六七八⑥⑥⑥⑦⑧⑨24 ドラ⑥
ドラの⑥を引いてのテンパイは予想外。前原プロならリーチを打つんだろうなぁと考えながらも私はダマを選択。リャンメン変化やタンヤオ移行を考えながらも、シャンポンになった場合はどう対処しようかという所まで思考を及ばせていたのですが…
次巡6巡目、上家の石渡プロが打二。
この二に声が出ないのです…。
リーチを選択しない以上、ここはポンして打⑨。そしてピンズ変化後にソウズのリャンメンもしくはシャンポン変化が理想形。それなのに、自分の右手はツモ山に伸びていたのです…。
これはやはり致命傷です。
今回の目的は鳳凰位決定戦進出。その為には加点することと失点しないこと。
失点しない為には、相手に攻撃するチャンスを与えないことが必須です。ということは、相当の場面でなければリーチを宣言しないのがセオリー。リーチしてしまうとディフェンスできなくなってしまいますからね。
それなら、この二が一番大事な牌ですよね。
ここで門前に拘らず二を仕掛けないといけない。それがこの日私がしなければならない唯一の選択だったはずです。
それなのに…
気が付いたときは時既に遅し。
8巡目、対面の右田プロが3をツモ切り。一色手志向の石渡プロは序盤からソウズを河に放っていますから、この3はツモ切っていた公算が高いはずです。
先程のホンイツは他力ですから仕方ないと割り切ることが出来ても、この3でのアガリ逃しは大きなミスとなって自分に跳ね返ります。
12巡目、右田プロから2枚目の二をポンしますが、A1リーグの猛者たちは、このようなミスを見逃すほど甘くはありません。すんなりと伊藤プロに捌かれ親落ち。
ここからは反撃の糸口すら掴ませてもらえません。アガったのは300、500のみ。
オーラス、何とか3着で迎えるものの、親番で現在ラス目の石渡プロが見事な3000、6000
であっさりと捲られラスで初戦を終えました。
もちろん、スロースターターの私としてはこれくらいは織り込み済み。
とはいっても内容が良くないだけに少し心に引っ掛かりながら席を離れます。
こういった形で抜け番になることは、実はそれほどマイナスには作用しません。
キチンと反省点を見極め、気持ちの入れ替えをすることが出来る時間を得るということはプラスに働く。そう考える事が出来る私は、やはりポジティブシンキングなのかもしれませんね。
抜け番で迎えた半荘が、大きく荒れることはままあること。
そんな時、やはり私はプラスに考えるのです。
続く二回戦、先程三着に終わった石渡プロが大爆発。右田プロもしぶとくプラスにまとめ、二人はここまでプラス30Pほど上積み。今節の緒戦となった荒プロは我慢の展開。対して伊藤プロは大きくポイントを減らして抜け番に入ります。
三回戦開始時のポイントは、
荒 +83.4
望月 +67.0
右田 +31.3
伊藤 +25.3
石渡 +24.2
となっていました。残りは後半荘3回ありますが、右田プロと石渡プロは残り後2回。特に石渡プロは最終戦抜け番となるだけに、この二戦を全力でぶつかってくるだろうと予想していました。
三位争いは熾烈ですが、やはりターゲットは二位の私。
右田プロと石渡プロにとっては、開始時から考えたら一気に50Pも私との差を詰めたわけですからここが勝負所だと踏んでくるはずです。
北家スタートの私。
配牌から自風の北がトイツも、1枚目はスルー。
当然っていえば当然なのですが、後三回早く場を進めたいって気持ちもやっぱりありました。そんな精神状態になっていること自体が問題なのですが、やはりこの選択がプラスに働きます。
受け気味に丁寧に手を進めると、ドラの九がトイツに。
仕掛けて3900ならば勝負になるのですが、それでもやはりこの局面は門前で進めたいところです。
そこに、荒プロからポンの声。
荒プロの仕掛けの信頼度はかなり高いですし、この局面のポンはやはりテンパイが濃厚です。この仕掛けも私に有利に働きます。
ここに、右田プロが抑えていた北を場に放つと私は当然のポンテン。
五六七九九⑤⑥567 ポン北北北 ドラ九
安目の④でも3900、高め⑦だと7700。
しかも前巡、荒プロが④を切っています。
この④をチラリと見た右田プロが、次巡打⑦
僥倖と言える形かも知れませんが、とにかく待望の先手を取ることが出来たのです。
局は進んで東4局、親番を迎えた私の配牌です。
六八九九九④⑥⑨⑨⑨24東中 ドラ九
なんと配牌ドラ暗刻。なんとしてもアガリをつけたい私は、少考の末打八としました。
役牌に手を掛けるのは早計だと感じ、ターツ選択をしたのです。
すると第2ツモは七。
大きな裏目を引いてしまったのです。
ここでのミスは大きく響きます。何事もなかったかのように打中とすると、次巡右田プロが私がツモ切った西をポン。
右田プロの立場としても、ここは私に連荘をさせたくないはず。なんとかしたいという意思が手に取るようにわかります。
この後、右田プロは五を二枚、八を一枚ツモ切ります。
そのままのツモ筋ならフリテンも解消したのに…
と思ったところで私にもう一度五が舞い戻るのです。
その時の私の牌姿は、
五六七九九九④④⑥⑨⑨⑨東 ドラ九
次巡、ここにツモ9と来たのです。
まだ場には9は一枚も走っていません。当然の不要牌ですからツモ切るのがベターなのですが、やはりこういった局面でリーチを宣言したくなかった私は、役アリテンパイを目指し打⑥とします。
東を引いてもダブ東のテンパイ。9を引いた場合は三色同刻のテンパイ。
リーチを宣言しなくてもアガれるテンパイを組みにいったのです。
するとここにツモ8。とりあえずペン7のテンパイになりました。
私はカン3のターツを外していますから、捨て牌には4が。ここでリーチを打つ人もいるかも知れませんが、それでは一貫性がありません。ぐっと堪えてここでもダマを選択します。
同巡荒プロが9をツモ切り。
3巡後、私のツモは予想外の④。これで三暗刻が完成。狙い通りの役アリのテンパイですよね。荒プロが9を切ったので、ここは打8で9タンキ。
すると次巡、私の手には9が!
五六七九九九④④④⑨⑨⑨9 ツモ9 ドラ九
私にしかアガれない6000オール。
オリジナリティー溢れる手順でのこの跳満は、きっとこの先も忘れないことでしょうね。
この6000オールでかなり楽になった私。終盤、荒プロの猛攻に遭いますが何とか耐え、この半荘をトップで終わることが出来ました。
三回戦終了時の成績は、
荒 +97.1
望月 +93.6
伊藤 +25.3
右田 +18.8
石渡 ▲3.6
この結果、かなり優位な位置で残り二回戦を戦うことが出来る形となりました。
こうなってしまえば、後は局を進める事が私と荒プロにとっての最優先事項。
加点することより、局回しに徹することで自らの位置を不動のものにしたい。そう考えていました。
四回戦は先程抜け番だった伊藤プロと、この日の最終戦となる石渡プロとの戦い。
三回戦と打って変わって防戦一方になった私ですが、それも織り込み済み。ラスを受け入れる形で四回戦を終了したのです。
四回戦終了時の成績は、
荒 +92.5
望月 +76.7
伊藤 +39.3
右田 +18.8
石渡 +3.9
石渡プロは全日程を終了したので、後は結果待ち。
とは言え、この時点では決定戦進出はほぼ絶望的となりました。残るは伊藤プロと右田プロとの争いなのですが、実は私も安泰ではないのです。
伊藤プロがプラスを維持した場合、右田プロと私のポイント差は57.9P差。
右田プロとトップラスだと、その差は40000点弱。つまり、右田プロが60000点のトップを取ったときには私は20000点をキープしないといけないのです。
ディフェンスの意識は高くなっていますから直撃はないにせよ、右田プロが自力で私を逆転することだって十分可能な差しか離れていないのです。そうなると私がすべきことは、親での加点と右田プロの反撃を交わすこと。ポイントはこの二点です。
最終戦、起家となった私にドラがトイツのボーナス配牌が入ります。
ツモが効かず、勝負は終盤まで縺れこみますが、伊藤プロが打四。
二二三三四五六七②③④44 ドラ4 ロン四
この12000でかなり優位に局を進めるようになりました。
逆に苦しいのは伊藤プロ。右田プロの原点を割らないと、このままでは右田プロが通過となってしまいます。
右田プロは局回しに長けている選手です。少しずつですが着実に加点し、盤石の状態を作ろうと模索します。そして勝負は南1局、伊藤プロが右田プロに6400を放銃し、決定戦進出者が事実上確定しました。
最終結果は
一位 荒プロ
二位 望月
三位 右田プロ
この三人に、現鳳凰位の瀬戸熊プロを交えた4名で鳳凰位決定戦が行われることになりました。
4年ぶり3回目の鳳凰位決定戦。
鳳凰位を失ってから本当に辛く苦しい日々が続きました。しかし、その間に培ってきたことは、私自身の心と麻雀を一回りも二回りも大きく成長させてくれたと信じています。
今年から鳳凰位決定戦は4日間、半荘20回での戦いとなりました。回数が増える事はスロースターターの私にとってプラスに働くことでしょう。
このコラムを読んでくださっている全ての皆さんの期待に応える事が出来るよう、精一杯頑張ってこようと思っています。今回の戦いはニコ生にて放送されるようですので、もしよろしければ是非ご覧になってくださいね!
それではまた次回。鳳凰位決定戦直前のコラムでは着々と進む準備状況をお伝えしたいと思っています。それではまた~。
今回はA1リーグ最終節の模様をお伝えします。
現在二位で迎えた最終節。上位三名に入ることが出来れば、念願の鳳凰位決定戦に進出できる大一番です。
今回の対戦相手は、上位から、荒プロ、私、伊藤プロ、右田プロ、石渡プロの5人打ち。
ポイントは、
荒 +94.1
望月 +86.6
伊藤 +56.3
右田 ▲1.0
石渡 ▲4.8
となっています。
三位の伊藤プロとは30P差、四位の右田プロとは約90P差がついていますが、普段なら安泰と考えるこの差もまだまだわかりません。
直接対決でトップラスを取ればその差は一気に縮まりますから、最終戦の最終打牌が終わるまでは気が抜けませんよね。
一昨年のA1リーグでは、最終局に役満条件の瀬戸熊プロが見事に四暗刻をツモリ、逆転で鳳凰位決定戦に出場、その勢いのまま鳳凰位を奪取した例もありますから、念には念を入れて対局に挑みました。
リーグの規定により、抜け番は9節終了時の順位順。
私は、1、3,、4、5回戦の対局となります。
一回戦、首位の荒プロの抜け番で始まります。
ここでの三者のターゲットはもちろん私。私をマイナスさせることによって、それぞれの決定戦出場条件が変化するわけですから当然のことです。
以前よりこのコラムにて緒戦の入り方、特に開局の入り方が重要であると説いていますが、今回の最終節においてもその重要性を痛感することとなりました。
東一局、北家で迎えた私は、2巡目Tポン、3巡目ツモ1、4巡目Rポンで、僅か4巡で以下の満貫テンパイに。
1113456 ポンRRR ポンTTT
鳳凰位瀬戸熊プロもコラムにて記していましたが、リーグ戦終盤のポイントは序盤のポイントよりも価値があるのです。序盤の8000よりも、終盤の3900には大きな価値があると。
リーグ戦最終節のポイント、しかも大事な初戦の開局において、ここでアガる満貫は点棒以上のモノがあると認識していました。何より、対戦相手に与える心理的ダメージは計り知れないモノがありますから。
しかも4巡目、この牌姿を見せられた時の相手の心理状態を考えても、必ずこの手をアガって開局を制したいと、テンパイ直後に考えました。
ですから、ここは開局と言え一歩も引くつもりもありません。ドラもツモ切り、完全なる臨戦態勢で向かうのですが…
8巡目、西家石渡プロが切った9に親伊藤プロが「ロン」の声。
69待ちの平和。僅か1500点とはいえ、このアガリが私に重く圧し掛かります。
この局を制し、この一日の中心となって立ち回る予定が、決定戦進出において一番のライバルになるであろう伊藤プロに阻止された事。しかも私の待ちは236待ち。6ならば…との思いもありますが、とにかく先手を取る予定だった私の思惑は大きく狂うこととなるのです。
このアガリが私の心理までも狂わせたかどうかはわかりませんが、東四局、私の親番でこの日唯一のミス、心の揺れが出てしまいます。
こちらも序盤、5巡目に望外のテンパイを果たした私の牌姿は、
二二六七八⑥⑥⑥⑦⑧⑨24 ドラ⑥
ドラの⑥を引いてのテンパイは予想外。前原プロならリーチを打つんだろうなぁと考えながらも私はダマを選択。リャンメン変化やタンヤオ移行を考えながらも、シャンポンになった場合はどう対処しようかという所まで思考を及ばせていたのですが…
次巡6巡目、上家の石渡プロが打二。
この二に声が出ないのです…。
リーチを選択しない以上、ここはポンして打⑨。そしてピンズ変化後にソウズのリャンメンもしくはシャンポン変化が理想形。それなのに、自分の右手はツモ山に伸びていたのです…。
これはやはり致命傷です。
今回の目的は鳳凰位決定戦進出。その為には加点することと失点しないこと。
失点しない為には、相手に攻撃するチャンスを与えないことが必須です。ということは、相当の場面でなければリーチを宣言しないのがセオリー。リーチしてしまうとディフェンスできなくなってしまいますからね。
それなら、この二が一番大事な牌ですよね。
ここで門前に拘らず二を仕掛けないといけない。それがこの日私がしなければならない唯一の選択だったはずです。
それなのに…
気が付いたときは時既に遅し。
8巡目、対面の右田プロが3をツモ切り。一色手志向の石渡プロは序盤からソウズを河に放っていますから、この3はツモ切っていた公算が高いはずです。
先程のホンイツは他力ですから仕方ないと割り切ることが出来ても、この3でのアガリ逃しは大きなミスとなって自分に跳ね返ります。
12巡目、右田プロから2枚目の二をポンしますが、A1リーグの猛者たちは、このようなミスを見逃すほど甘くはありません。すんなりと伊藤プロに捌かれ親落ち。
ここからは反撃の糸口すら掴ませてもらえません。アガったのは300、500のみ。
オーラス、何とか3着で迎えるものの、親番で現在ラス目の石渡プロが見事な3000、6000
であっさりと捲られラスで初戦を終えました。
もちろん、スロースターターの私としてはこれくらいは織り込み済み。
とはいっても内容が良くないだけに少し心に引っ掛かりながら席を離れます。
こういった形で抜け番になることは、実はそれほどマイナスには作用しません。
キチンと反省点を見極め、気持ちの入れ替えをすることが出来る時間を得るということはプラスに働く。そう考える事が出来る私は、やはりポジティブシンキングなのかもしれませんね。
抜け番で迎えた半荘が、大きく荒れることはままあること。
そんな時、やはり私はプラスに考えるのです。
続く二回戦、先程三着に終わった石渡プロが大爆発。右田プロもしぶとくプラスにまとめ、二人はここまでプラス30Pほど上積み。今節の緒戦となった荒プロは我慢の展開。対して伊藤プロは大きくポイントを減らして抜け番に入ります。
三回戦開始時のポイントは、
荒 +83.4
望月 +67.0
右田 +31.3
伊藤 +25.3
石渡 +24.2
となっていました。残りは後半荘3回ありますが、右田プロと石渡プロは残り後2回。特に石渡プロは最終戦抜け番となるだけに、この二戦を全力でぶつかってくるだろうと予想していました。
三位争いは熾烈ですが、やはりターゲットは二位の私。
右田プロと石渡プロにとっては、開始時から考えたら一気に50Pも私との差を詰めたわけですからここが勝負所だと踏んでくるはずです。
北家スタートの私。
配牌から自風の北がトイツも、1枚目はスルー。
当然っていえば当然なのですが、後三回早く場を進めたいって気持ちもやっぱりありました。そんな精神状態になっていること自体が問題なのですが、やはりこの選択がプラスに働きます。
受け気味に丁寧に手を進めると、ドラの九がトイツに。
仕掛けて3900ならば勝負になるのですが、それでもやはりこの局面は門前で進めたいところです。
そこに、荒プロからポンの声。
荒プロの仕掛けの信頼度はかなり高いですし、この局面のポンはやはりテンパイが濃厚です。この仕掛けも私に有利に働きます。
ここに、右田プロが抑えていた北を場に放つと私は当然のポンテン。
五六七九九⑤⑥567 ポン北北北 ドラ九
安目の④でも3900、高め⑦だと7700。
しかも前巡、荒プロが④を切っています。
この④をチラリと見た右田プロが、次巡打⑦
僥倖と言える形かも知れませんが、とにかく待望の先手を取ることが出来たのです。
局は進んで東4局、親番を迎えた私の配牌です。
六八九九九④⑥⑨⑨⑨24東中 ドラ九
なんと配牌ドラ暗刻。なんとしてもアガリをつけたい私は、少考の末打八としました。
役牌に手を掛けるのは早計だと感じ、ターツ選択をしたのです。
すると第2ツモは七。
大きな裏目を引いてしまったのです。
ここでのミスは大きく響きます。何事もなかったかのように打中とすると、次巡右田プロが私がツモ切った西をポン。
右田プロの立場としても、ここは私に連荘をさせたくないはず。なんとかしたいという意思が手に取るようにわかります。
この後、右田プロは五を二枚、八を一枚ツモ切ります。
そのままのツモ筋ならフリテンも解消したのに…
と思ったところで私にもう一度五が舞い戻るのです。
その時の私の牌姿は、
五六七九九九④④⑥⑨⑨⑨東 ドラ九
次巡、ここにツモ9と来たのです。
まだ場には9は一枚も走っていません。当然の不要牌ですからツモ切るのがベターなのですが、やはりこういった局面でリーチを宣言したくなかった私は、役アリテンパイを目指し打⑥とします。
東を引いてもダブ東のテンパイ。9を引いた場合は三色同刻のテンパイ。
リーチを宣言しなくてもアガれるテンパイを組みにいったのです。
するとここにツモ8。とりあえずペン7のテンパイになりました。
私はカン3のターツを外していますから、捨て牌には4が。ここでリーチを打つ人もいるかも知れませんが、それでは一貫性がありません。ぐっと堪えてここでもダマを選択します。
同巡荒プロが9をツモ切り。
3巡後、私のツモは予想外の④。これで三暗刻が完成。狙い通りの役アリのテンパイですよね。荒プロが9を切ったので、ここは打8で9タンキ。
すると次巡、私の手には9が!
五六七九九九④④④⑨⑨⑨9 ツモ9 ドラ九
私にしかアガれない6000オール。
オリジナリティー溢れる手順でのこの跳満は、きっとこの先も忘れないことでしょうね。
この6000オールでかなり楽になった私。終盤、荒プロの猛攻に遭いますが何とか耐え、この半荘をトップで終わることが出来ました。
三回戦終了時の成績は、
荒 +97.1
望月 +93.6
伊藤 +25.3
右田 +18.8
石渡 ▲3.6
この結果、かなり優位な位置で残り二回戦を戦うことが出来る形となりました。
こうなってしまえば、後は局を進める事が私と荒プロにとっての最優先事項。
加点することより、局回しに徹することで自らの位置を不動のものにしたい。そう考えていました。
四回戦は先程抜け番だった伊藤プロと、この日の最終戦となる石渡プロとの戦い。
三回戦と打って変わって防戦一方になった私ですが、それも織り込み済み。ラスを受け入れる形で四回戦を終了したのです。
四回戦終了時の成績は、
荒 +92.5
望月 +76.7
伊藤 +39.3
右田 +18.8
石渡 +3.9
石渡プロは全日程を終了したので、後は結果待ち。
とは言え、この時点では決定戦進出はほぼ絶望的となりました。残るは伊藤プロと右田プロとの争いなのですが、実は私も安泰ではないのです。
伊藤プロがプラスを維持した場合、右田プロと私のポイント差は57.9P差。
右田プロとトップラスだと、その差は40000点弱。つまり、右田プロが60000点のトップを取ったときには私は20000点をキープしないといけないのです。
ディフェンスの意識は高くなっていますから直撃はないにせよ、右田プロが自力で私を逆転することだって十分可能な差しか離れていないのです。そうなると私がすべきことは、親での加点と右田プロの反撃を交わすこと。ポイントはこの二点です。
最終戦、起家となった私にドラがトイツのボーナス配牌が入ります。
ツモが効かず、勝負は終盤まで縺れこみますが、伊藤プロが打四。
二二三三四五六七②③④44 ドラ4 ロン四
この12000でかなり優位に局を進めるようになりました。
逆に苦しいのは伊藤プロ。右田プロの原点を割らないと、このままでは右田プロが通過となってしまいます。
右田プロは局回しに長けている選手です。少しずつですが着実に加点し、盤石の状態を作ろうと模索します。そして勝負は南1局、伊藤プロが右田プロに6400を放銃し、決定戦進出者が事実上確定しました。
最終結果は
一位 荒プロ
二位 望月
三位 右田プロ
この三人に、現鳳凰位の瀬戸熊プロを交えた4名で鳳凰位決定戦が行われることになりました。
4年ぶり3回目の鳳凰位決定戦。
鳳凰位を失ってから本当に辛く苦しい日々が続きました。しかし、その間に培ってきたことは、私自身の心と麻雀を一回りも二回りも大きく成長させてくれたと信じています。
今年から鳳凰位決定戦は4日間、半荘20回での戦いとなりました。回数が増える事はスロースターターの私にとってプラスに働くことでしょう。
このコラムを読んでくださっている全ての皆さんの期待に応える事が出来るよう、精一杯頑張ってこようと思っています。今回の戦いはニコ生にて放送されるようですので、もしよろしければ是非ご覧になってくださいね!
それではまた次回。鳳凰位決定戦直前のコラムでは着々と進む準備状況をお伝えしたいと思っています。それではまた~。