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馬場 裕一の麻雀コラム

2010年08月25日(水)

阿佐田哲也さんの一打

●東4局●東家●7巡目●トップと5千点差のラス

ツモドラ



僕が麻雀を覚えたのは中学2年生のとき。

昔は今と違って、中学生が麻雀を打てる場所などほとんどなかったんですよね(今もそうかな?)。

打ちたいのに打てない、このフラストレーションを解消するべく、僕は麻雀関係の書籍を読みまくりました。

戦術書、専門誌、そして麻雀小説……

そして遂に、出逢ってしまったのです、あの名作に!

そう、「麻雀放浪記」であります\(^O^)/

いやあ~、ハマったなあ。

もう何度も何度も読み返すほどハマっちゃった。

この衝撃と興奮を皆にわかってもらいたく、クラス中に宣伝してまわったことを覚えています(^^ゞ

まだお読みになっていない方がいたら、ぜひ一度手にとってみてください。

メチャクチャ面白いですよ!

さて、名作「麻雀放浪記」の作者は、いわずと知れた阿佐田哲也さん。

本名の「色川武大」名義で、直木賞、泉鏡花賞、谷崎潤一郎賞などを受賞されたことでも有名です。

でも、麻雀業界の人間にとって阿佐田さんは、単なる作家ではありませんでした。

心から敬意を表して、こう呼んでいたのです。

「麻雀の神様」と――


ツモドラ


上図は麻雀の神様・阿佐田哲也さんの手牌。

東4局の東家で7巡目にオタ風の 西 を引いてきました。

この時点で阿佐田さんはラス目、とは言ってもトップとの点差がわずか5千点ですから、かなりの接戦状況。

おそらく 西 をツモ切るか 三万 に手をかける人がほとんどなのではないでしょうか。

しかし神様の一打は違いました。

ここから何と打 一万 !w(°0°)w

マンズの出来メンツを崩したのです。

阿佐田さんの 一万 切りの理由を説明する前に、まず結果のほうから記しておきましょう。

10巡目に 二筒 、12巡目に 四万 、そして14巡目に 六竹 を引いて下図の形のテンパイ。

ドラ


阿佐田さんはヤミテンに構えて西家から高目 四竹 をロン。

タンピン456の三色の親満をものにしたのであります。

この「三色」というのがポイント。

一万 切りの理由が、まさにそれ(三色)だからです。

上図の段階で、阿佐田さんは456か567の三色を構想。

マンズ1メンツ、ピンズ2メンツ、ソーズ1メンツを想定したため、必然的に 三万 は雀頭として使うしかない。だから 一万 を切る――

あまりの構想にあ然とした方も少なくないでしょう。

でも、これが「阿佐田哲也の三色」なのです。

その芸術的な手筋に、僕らはいつも驚きと感動を与えられてきました。

また別の機会に、麻雀の神様の三色をご紹介いたします♪