望月 雅継の麻雀コラム
2012年07月17日(火)
| 望月 雅継
A1リーグ第4節
皆さんこんにちは。望月です。
私のコラムも今回でなんと50回目!
これだけ長く続くとは私も夢にも思っていませんでした。
これもひとえに読んでくださっている皆様と、雀サクッ事務局の皆様のおかげですよね。
本当に感謝しております。
コラムの内容が良いものかどうかはわかりませんが、このコラムを読んでくださった皆様が少しでも麻雀に興味を持って頂き、そして雀力の向上に少しでもお役に立てればと思っております。
これからも楽しみにしてくださいね!いつかはこれが本にでもなったらな…なんてっ(笑)
さて、今回はA1リーグ第4節の模様をお伝えします。
A1リーグの組み合わせが決まってから、この第4節が前半戦の山場になるとずっと考えていました。
対戦相手は、前原プロ、藤崎プロ、近藤プロの三名。
組み合わせとしても非常に難しい対戦ですし、また実力的にも上位のプロばかり。
さらには、第三節までに藤崎プロが大爆発し,トータルポイントが200Pを超え独走状態と、かなり大変な状況で今節を迎えたのです。
私としては、ポイントを伸ばすことと同時に、少しでも藤崎プロのポイントを減らすことが一番の目標になってきます。
とはいえ、ディフェンス力には定評のある藤崎プロがポイントを持った場合、その牙城はなかなか切り崩せないでしょう。
さらには前原プロも近藤プロも爆発力がありますから、自分の思うようには対局が進まないことが予想されます。
そんな中、どのように対局が進んだのか?楽しみにご覧ください。
一回戦、開局は二人テンパイ。そして次局は近藤プロのツモアガリと、比較的静かな立ち上がり。
私は点数を減らしていますが、スロースターターなだけに、これくらいの失点は全く気になりません。
それよりも、自分のスタイルとイメージ通りに局を進めているかどうかが大事なファクターになってきます。
そんな中東3局、比較的早い段階で勝負の局面がやってきます。
配牌で中がトイツの發、白が一枚ずつ。早々に發を重ねて大三元への期待は高まりますが…。
私は常に、他家のツモ動作から捨てる所、そしてツモった牌を手牌に入れた所まで、なるべくチェックを入れるようにしています。それは、自分の必要な牌が、相手の手中でどのように活用されているかを知るためです。
今回、私の下家は前原プロ。下家のツモ動作に関しては特に注意が必要です。
角度によってはツモった牌が見える事がありますし、手の動きが非常にわかりやすいので、牌姿を想像しやすいためです。
今局のキーは三元牌。字牌の動きや働きに関してはA1リーガーともなれば、その重要さには皆十分に理解し、さらに繊細なまでの対応を見せてきます。
その前原プロが5巡目にツモった牌は中。
一瞬ですが前原プロのツモモーションから中の一部が見えたのです。
私は、前原プロのツモアクションとその後の牌の動かし方から、前原プロに中が重なったことを瞬時に感じました。
そうなってくると、私の手牌の中のトイツは全く意味を持ちません。
せっかくの中、發トイツも、これでは宝の持ち腐れになってしまいますよね。
前原プロが中を切ることは全く期待できないわけですから。
そうこうしているうちに、私のツモはなんと場に一枚切れの白。
大三元含みのリャンシャンテンになったのですが、中の在り処がわかっている以上テンションは上がりません。
この手はアガれないな…と思ったところに、前原プロが打發。
この發をポンしてイーシャンテンに。そして次巡すぐにテンパイを果たします。
待ちは一枚切れの白と、前原プロがトイツであろう中。
門前主体で普段ほとんど仕掛けない私が、一枚目の發から仕掛けていることの意味を理解している対局者からしてみれば、残り一枚の白を場に簡単に切ってくれるとは私だって思ってはいません。
自分がツモる以外に、ただ一つだけ考えられる可能性としては、中をトイツで持っている前原プロが白を掴み、大三元の可能性がないことをわかった上で場に放つことだけです。
しかし、この局の結果は私が唯一思い描いていた最良の結果で終わるのです。
テンパイ直後、前原プロが白を掴み、手牌を一瞥した後しばらくの長考後に私に放銃。運も味方につけ幸先のいいスタートを切ったのです。
幸運はまだ続きます。
南一局、平和ドラの2000点のテンパイから、ドラをツモって手牌をスライドさせると次巡ツモ。
1300、2600で加点。さらに微差の二着目で迎えたオーラス、三着目の藤崎プロが2000、4000。
トータル争いからすると苦しくはなりますが、近藤プロの親カブリで僥倖のトップに。
スロースターターな私にとっては、願ってもないスタートに気分を良くして二回戦に向かいます。
A1リーグともなるとなかなかラッキーな出来事は続かないのですが、この日の私には展開も味方します。
二回戦、他家のアガリが続き、自分のアガリは一度だけの苦しい展開に。
オーラスまで私の一人沈みで局が進みます。
オーラス一本場、私の点数は22100点。
現在トップの前原プロは親番で34200点、以下、藤崎プロが32100点、近藤プロが31600点。
ここで9巡目にドラがトイツの②⑤待ちのテンパイが入ります。
条件をクリアしていますから、ここは当然リーチですよね。
とはいえ…ここまでの試合展開から考えると、そんなに簡単にこのリーチがアガれるとは思いません。
点数状況からしても、この局面でこのリーチに突っ込んでくる人はさすがにいませんよね。
ほっとけば自分のプラスは確定する状況なのですから。
という事を各自が理解しているA1リーグの猛者たちは、ここはきっちり受けに回ります。
藤崎プロは道中テンパイを組んだそうですが、当たり牌の⑤を掴んで回ったようです。
私も半ばあきらめ気味に摸打を繰り返していたのですが、祈るような気持ちで海底ツモに手を伸ばすと、そこには奇跡の②がいたのです。
積み棒込みで点数を計算すると、私が30400点でトップ、以下前原プロが30100点、藤崎プロが30000点、近藤プロが29500点と、トップからラスまで僅か900点差の薄氷トップとなったのでした。
しかも一本場でなければトップになれないわけですから、本当にミラクルなアガリです。
長い競技人生でもこのような逆転は経験がなく、久しぶりに嬉しい二連勝を果たしたのです。
とはいえ、ここまで二連勝と言っても素点は稼げていませんから油断は禁物です。
ポイント的にも藤崎プロがすぐ近くにいますし、少し大きめのトップですぐに追い越されてしまう差でもありますから。
そんな心配が的中してしまったのが三回戦。
開局の親が落ちてしまった東二局、親の前原プロが何やら不思議な捨て牌からのツモ切りリーチ。
普段の前原プロの打ち筋は研究しているつもりですから、押し引きの基準は決めているつもりでした。
しかし、一回戦の白でのアガリから、前原プロの攻めに対してだけは強く踏み込むつもりでいたことが敗着だったのかもしれません。
何気なく手を掛けたわけではないのですが、手役も否定され待ちも単騎待ちしかありえない②タンキのリーチドラ1の3900に放銃し、ここから私の手はピタッと止まります。
逆に前原プロの勢いは急激に増し、私は何もできない一人沈みのラスを引かされます。
ラスを引くことはもちろん受け入れていますが、そのラスの引き方が非常に悪かったのです。自分で自ら下がってしまうような戦い方を選んでしまったことに悔いが残ります。
一度傾いた流れを簡単に引き戻せるようなメンツではありませんし、前原プロに至っては三回戦での勢いを更に増し、怒涛の勢いで四回戦も攻めまくります。
こうなってしまった前原プロを止める事は困難です。私の責任でこうなってしまったことを悔いながらも必死で戦いますが、全く足が追いつきません。試合巧者藤崎プロも、この前原プロの攻勢には防戦一方になってしまいます。
結果、最終戦は前原プロの大トップで終了。
私は藤崎プロと競り合いながらも、オーラスでの親カブリで痛恨の連続ラス。
二連勝スタートを飾ったものの、終わってみたら卓内最下位となってしまいました。
ポイント的には小さいマイナスとはいえ、今節の戦い方には非常に不満が残りますし、また大きな課題が見つかった戦いでもありました。
この経験を生かし、鳳凰位決定戦に向けてしっかりと修正していきたいと思います。それではまた次回をお楽しみに。
私のコラムも今回でなんと50回目!
これだけ長く続くとは私も夢にも思っていませんでした。
これもひとえに読んでくださっている皆様と、雀サクッ事務局の皆様のおかげですよね。
本当に感謝しております。
コラムの内容が良いものかどうかはわかりませんが、このコラムを読んでくださった皆様が少しでも麻雀に興味を持って頂き、そして雀力の向上に少しでもお役に立てればと思っております。
これからも楽しみにしてくださいね!いつかはこれが本にでもなったらな…なんてっ(笑)
さて、今回はA1リーグ第4節の模様をお伝えします。
A1リーグの組み合わせが決まってから、この第4節が前半戦の山場になるとずっと考えていました。
対戦相手は、前原プロ、藤崎プロ、近藤プロの三名。
組み合わせとしても非常に難しい対戦ですし、また実力的にも上位のプロばかり。
さらには、第三節までに藤崎プロが大爆発し,トータルポイントが200Pを超え独走状態と、かなり大変な状況で今節を迎えたのです。
私としては、ポイントを伸ばすことと同時に、少しでも藤崎プロのポイントを減らすことが一番の目標になってきます。
とはいえ、ディフェンス力には定評のある藤崎プロがポイントを持った場合、その牙城はなかなか切り崩せないでしょう。
さらには前原プロも近藤プロも爆発力がありますから、自分の思うようには対局が進まないことが予想されます。
そんな中、どのように対局が進んだのか?楽しみにご覧ください。
一回戦、開局は二人テンパイ。そして次局は近藤プロのツモアガリと、比較的静かな立ち上がり。
私は点数を減らしていますが、スロースターターなだけに、これくらいの失点は全く気になりません。
それよりも、自分のスタイルとイメージ通りに局を進めているかどうかが大事なファクターになってきます。
そんな中東3局、比較的早い段階で勝負の局面がやってきます。
配牌で中がトイツの發、白が一枚ずつ。早々に發を重ねて大三元への期待は高まりますが…。
私は常に、他家のツモ動作から捨てる所、そしてツモった牌を手牌に入れた所まで、なるべくチェックを入れるようにしています。それは、自分の必要な牌が、相手の手中でどのように活用されているかを知るためです。
今回、私の下家は前原プロ。下家のツモ動作に関しては特に注意が必要です。
角度によってはツモった牌が見える事がありますし、手の動きが非常にわかりやすいので、牌姿を想像しやすいためです。
今局のキーは三元牌。字牌の動きや働きに関してはA1リーガーともなれば、その重要さには皆十分に理解し、さらに繊細なまでの対応を見せてきます。
その前原プロが5巡目にツモった牌は中。
一瞬ですが前原プロのツモモーションから中の一部が見えたのです。
私は、前原プロのツモアクションとその後の牌の動かし方から、前原プロに中が重なったことを瞬時に感じました。
そうなってくると、私の手牌の中のトイツは全く意味を持ちません。
せっかくの中、發トイツも、これでは宝の持ち腐れになってしまいますよね。
前原プロが中を切ることは全く期待できないわけですから。
そうこうしているうちに、私のツモはなんと場に一枚切れの白。
大三元含みのリャンシャンテンになったのですが、中の在り処がわかっている以上テンションは上がりません。
この手はアガれないな…と思ったところに、前原プロが打發。
この發をポンしてイーシャンテンに。そして次巡すぐにテンパイを果たします。
待ちは一枚切れの白と、前原プロがトイツであろう中。
門前主体で普段ほとんど仕掛けない私が、一枚目の發から仕掛けていることの意味を理解している対局者からしてみれば、残り一枚の白を場に簡単に切ってくれるとは私だって思ってはいません。
自分がツモる以外に、ただ一つだけ考えられる可能性としては、中をトイツで持っている前原プロが白を掴み、大三元の可能性がないことをわかった上で場に放つことだけです。
しかし、この局の結果は私が唯一思い描いていた最良の結果で終わるのです。
テンパイ直後、前原プロが白を掴み、手牌を一瞥した後しばらくの長考後に私に放銃。運も味方につけ幸先のいいスタートを切ったのです。
幸運はまだ続きます。
南一局、平和ドラの2000点のテンパイから、ドラをツモって手牌をスライドさせると次巡ツモ。
1300、2600で加点。さらに微差の二着目で迎えたオーラス、三着目の藤崎プロが2000、4000。
トータル争いからすると苦しくはなりますが、近藤プロの親カブリで僥倖のトップに。
スロースターターな私にとっては、願ってもないスタートに気分を良くして二回戦に向かいます。
A1リーグともなるとなかなかラッキーな出来事は続かないのですが、この日の私には展開も味方します。
二回戦、他家のアガリが続き、自分のアガリは一度だけの苦しい展開に。
オーラスまで私の一人沈みで局が進みます。
オーラス一本場、私の点数は22100点。
現在トップの前原プロは親番で34200点、以下、藤崎プロが32100点、近藤プロが31600点。
ここで9巡目にドラがトイツの②⑤待ちのテンパイが入ります。
条件をクリアしていますから、ここは当然リーチですよね。
とはいえ…ここまでの試合展開から考えると、そんなに簡単にこのリーチがアガれるとは思いません。
点数状況からしても、この局面でこのリーチに突っ込んでくる人はさすがにいませんよね。
ほっとけば自分のプラスは確定する状況なのですから。
という事を各自が理解しているA1リーグの猛者たちは、ここはきっちり受けに回ります。
藤崎プロは道中テンパイを組んだそうですが、当たり牌の⑤を掴んで回ったようです。
私も半ばあきらめ気味に摸打を繰り返していたのですが、祈るような気持ちで海底ツモに手を伸ばすと、そこには奇跡の②がいたのです。
積み棒込みで点数を計算すると、私が30400点でトップ、以下前原プロが30100点、藤崎プロが30000点、近藤プロが29500点と、トップからラスまで僅か900点差の薄氷トップとなったのでした。
しかも一本場でなければトップになれないわけですから、本当にミラクルなアガリです。
長い競技人生でもこのような逆転は経験がなく、久しぶりに嬉しい二連勝を果たしたのです。
とはいえ、ここまで二連勝と言っても素点は稼げていませんから油断は禁物です。
ポイント的にも藤崎プロがすぐ近くにいますし、少し大きめのトップですぐに追い越されてしまう差でもありますから。
そんな心配が的中してしまったのが三回戦。
開局の親が落ちてしまった東二局、親の前原プロが何やら不思議な捨て牌からのツモ切りリーチ。
普段の前原プロの打ち筋は研究しているつもりですから、押し引きの基準は決めているつもりでした。
しかし、一回戦の白でのアガリから、前原プロの攻めに対してだけは強く踏み込むつもりでいたことが敗着だったのかもしれません。
何気なく手を掛けたわけではないのですが、手役も否定され待ちも単騎待ちしかありえない②タンキのリーチドラ1の3900に放銃し、ここから私の手はピタッと止まります。
逆に前原プロの勢いは急激に増し、私は何もできない一人沈みのラスを引かされます。
ラスを引くことはもちろん受け入れていますが、そのラスの引き方が非常に悪かったのです。自分で自ら下がってしまうような戦い方を選んでしまったことに悔いが残ります。
一度傾いた流れを簡単に引き戻せるようなメンツではありませんし、前原プロに至っては三回戦での勢いを更に増し、怒涛の勢いで四回戦も攻めまくります。
こうなってしまった前原プロを止める事は困難です。私の責任でこうなってしまったことを悔いながらも必死で戦いますが、全く足が追いつきません。試合巧者藤崎プロも、この前原プロの攻勢には防戦一方になってしまいます。
結果、最終戦は前原プロの大トップで終了。
私は藤崎プロと競り合いながらも、オーラスでの親カブリで痛恨の連続ラス。
二連勝スタートを飾ったものの、終わってみたら卓内最下位となってしまいました。
ポイント的には小さいマイナスとはいえ、今節の戦い方には非常に不満が残りますし、また大きな課題が見つかった戦いでもありました。
この経験を生かし、鳳凰位決定戦に向けてしっかりと修正していきたいと思います。それではまた次回をお楽しみに。