望月 雅継の麻雀コラム
2013年07月16日(火)
| 望月 雅継
A1リーグ第4節
皆さんこんにちは。望月です。
今回はA1リーグ第4節の模様をお伝えします。
ここまで3節を戦って私の成績は▲50.1P。長いリーグ戦とは言え、これ以上のマイナスはどうしても避けたいところです。
自分の持ち味は爆発力とはいえ、いつどのようなタイミングで“その時”が訪れるかもわからないという事と、リーグ戦終盤になるとA1リーグの選手たちは下位に低迷している選手の浮上を抑え込む傾向があるからです。
『鳳凰位決定戦出場』が最優先課題なのは間違いないですが、次に『降級しないこと』が大切になってきます。自身の降級を避ける為、下位の選手にマイナスポイントを押し付けることに長けているA1リーグのプレイヤー達。自分がそういった位置に押し付けられない為にも、後半戦までにどうしてもポイントをプラスに持っていきたいところです。それが、鳳凰位決定戦進出にも繋がるのですから。
今回の対戦相手は、現在首位の朝武プロに、昨年度鳳凰位決定戦進出の荒プロ、藤崎プロ。
今年の前半戦最大の山場であることは間違いありません。
事実、この日のリーグ戦会場の中でも多くのギャラリーが観戦していたのもこの卓。それだけの注目を集める卓で戦うことが出来るという事だけでもプロ冥利に尽きますよね。観戦者の為にも、そして自分自身の浮上の為にも、何とかこの猛者達に喰らいついていきたいところです。
さて、そんなA1が誇る強豪たちとの対戦なのですが、実はこの組み合わせ自体にはそれほど苦手意識はありませんでした。一人一人を取り上げるとそれぞれの能力の高さに辟易してしまうほどの強さなのですが、選手の組み合わせによって戦い方が変わるのもまた、A1リーグの難しさなのです。
私が対戦相手に対してまず意識することは、その打牌信頼度の高さ。
荒プロや藤崎プロの打牌信頼度は、A1だけでなく麻雀界トップクラスですから、場が煮詰まった時に甘い打牌はいっさいありません。また、朝武プロの打点力と踏み込みの深さはA1屈指です。朝武プロが前に出てきている局面は、まさに朝武プロの時間帯であるという事が言えると思います。
これらは全て、これまでの戦いの中で私が培ってきた経験が感じている事なのです。
この経験を生かして戦う事が出来るのも、ここまで頑張ってきた証なのかもしれません。
例えば、相手の先制リーチに対して荒プロや藤崎プロが場に強い牌を切ったとしましょう。
その牌を基に、立体的に局面をとらえ判断することを反射といいます。この反射を用い、より正確な局面状況や変化に敏感に反応できることが、この組み合わせによる利点なのです。
ですから、同じ荒プロとの対戦でも、例えば前原プロ、瀬戸熊プロ、荒プロといった組み合わせだったとすると戦い方が一気に変わるわけですよ。戦い方の軸が変化するのですからね。荒プロと藤崎プロに朝武プロといった組み合わせだからこそ、自分にも浮上するチャンスが生まれてくるのです。基準が増えるわけですからね。
ちょっと難しい表現かもしれませんが、簡単に言うと私にもきっとチャンスが生まれるだろうって事です。私にとって局面がよく見える(と思っている)相手との対戦だっていうことですよ。
さて、対局に話を戻しますと、一回戦開始から荒プロが飛ばします。
リーチの連打で場を圧倒する荒プロに防戦一方だったのですが、私にも一瞬のチャンスが訪れるのです。
東4局、今局も荒プロの先制リーチが入ります。
私の手牌は3シャンテン。全く勝負にならない状況が、急に一転します。
突然ツモが効きはじめ、ラス牌のを引き、以下の形でリーチ。
リーチロン
荒プロのリーチに敢然と立ち向かい、荒プロから7,700をアガリトップ目へ。
しかし、この後が拙かった。一気に勝負をつけようと前に出るものの、試合巧者の荒プロと藤崎プロに上手く交わされ、劣勢模様の朝武プロと共にマイナスへ。
荒プロは7,700を放銃したものの、上手く加点を繰り返しトップを再奪取。藤崎プロもしぶとく立ち回り二着をキープ。私は三着スタートという事になりました。
今年に入ってから、立ち上がりの緒戦の入り方があまり良くないことが課題の一つでもありました。それは、麻雀の内容然り、体調然り、精神面然り…対局に入るための準備が出来ていないことが原因だったように考えていたのです。
しかし、今回は三着スタートとはいえ、自分らしく戦うことが出来ていたことと、さらにはここ数か月の課題の一つでもあった体調面での不安の解消がありました。
実はリーグ戦当日、睡眠がうまく取れなかったため、二時間ほどの睡眠で対局に向かったのです。いつも以上の体調不良の不安があったため、普段対局直前に飲む腹痛の薬を、この日は新幹線乗車直後に飲んだこともプラスに働いたのかも知れません。
とにかく、対局が始まると同時に毎回感じていた腹痛が、今節は全くなかった事は自分にとって本当に大きかったのです。トイレで、「よし、これで戦える!」と気持ちを入れ替え、二回戦の卓に座ります。
とはいっても、そんな簡単に状況が変化するほど甘い戦いではありませんし、厳しいメンツだという事は間違いありません。この二回戦も苦しい展開が続きます。
二回戦は朝武プロが復調気配。さすがに今期A1リーグの首位を走るだけあって、安定感が違う朝武プロ。開局から4,000オールを引き上がり、次々と加点を続けます。
そんな朝武プロの好調ぶりを横目に見ていても、この時は何だか不思議と心は落ち着いていたのです。「我慢していればいつかきっとチャンスがやってくる。」そう考えながら戦っていた自分。手は全く入らないものの、致命的な失点は避けながら進めている中、ラス前は純カラのテンパイで珍しく押し切り、一人テンパイで親をもぎ取ると、続くオーラスは形テンでの一人テンパイ、そして二度目の純カラテンパイとアガらずに9,000点の加点。そして朝武プロから2,900は3,800をアガりトップを奪取。その後も加点し、苦しいながらもこの日の初トップとなったのです。
さぁここからと気持ちを引き締めて挑んだ三回戦、ここも朝武プロが絶好調。私は劣勢が続くものの、唯一の見せ場はこれ。
ロン
このメンホン七対子を藤崎プロからアガったのが精一杯。
それでも何とか三着をキープして最終戦に臨みます。
しかし、最終戦でこの日唯一後悔する打牌がありました。
東2局、荒プロから先制リーチ。
しっかりと降りて反撃のチャンスを窺えばいいものの、安易に筋を追うとこれがドラとのシャンポンの7,700に放銃。このアガリをきっかけに荒プロは5本場まで連荘し、大トップのきっかけを作ることになってしまいました。
放銃を恐れず前に出て戦う事は決して悪い事ではありません。
しかし、楽をして戦うための安易な打牌となると全く意味が異なってきます。
カンチャンは否定され、もし当たるのならドラとのシャンポンだろうな、と考えていた中での放銃。深く考えれば、もう少し別の打牌選択があっただけに、悔やんでも悔やみきれない結果になってしまいました。
それでも、後悔してばかりもいられません。
少しずつ負債を返すアガリを繰り返し、ラス前に1,300・2,600を引き上がり原点復帰まで後僅かに。点数次第では現在二着の朝武プロを交わすところまで盛り返すも…最後は朝武プロに2,000を放銃し対局は終了。今節は+1.5Pのプラスで対局を終えることになりました。
僅かですがプラスで終わったことは、私にとって大きなことだったと思っています。
そして今節は、自分でもびっくりするくらい局面がよく見えていたこともプラス材料と考えています。まだまだ半分消化しただけのリーグ戦ですが、鳳凰位決定戦進出を考えるとそろそろギアチェンジを図らないと間に合わなくなってしまいます。今回の内容と結果を、来節以降の爆発のきっかけに出来る様に、次のリーグ戦までしっかりと稽古を積んでいきたいところですね。
それではまた次回のコラムをお楽しみに。望月でした~。
今回はA1リーグ第4節の模様をお伝えします。
ここまで3節を戦って私の成績は▲50.1P。長いリーグ戦とは言え、これ以上のマイナスはどうしても避けたいところです。
自分の持ち味は爆発力とはいえ、いつどのようなタイミングで“その時”が訪れるかもわからないという事と、リーグ戦終盤になるとA1リーグの選手たちは下位に低迷している選手の浮上を抑え込む傾向があるからです。
『鳳凰位決定戦出場』が最優先課題なのは間違いないですが、次に『降級しないこと』が大切になってきます。自身の降級を避ける為、下位の選手にマイナスポイントを押し付けることに長けているA1リーグのプレイヤー達。自分がそういった位置に押し付けられない為にも、後半戦までにどうしてもポイントをプラスに持っていきたいところです。それが、鳳凰位決定戦進出にも繋がるのですから。
今回の対戦相手は、現在首位の朝武プロに、昨年度鳳凰位決定戦進出の荒プロ、藤崎プロ。
今年の前半戦最大の山場であることは間違いありません。
事実、この日のリーグ戦会場の中でも多くのギャラリーが観戦していたのもこの卓。それだけの注目を集める卓で戦うことが出来るという事だけでもプロ冥利に尽きますよね。観戦者の為にも、そして自分自身の浮上の為にも、何とかこの猛者達に喰らいついていきたいところです。
さて、そんなA1が誇る強豪たちとの対戦なのですが、実はこの組み合わせ自体にはそれほど苦手意識はありませんでした。一人一人を取り上げるとそれぞれの能力の高さに辟易してしまうほどの強さなのですが、選手の組み合わせによって戦い方が変わるのもまた、A1リーグの難しさなのです。
私が対戦相手に対してまず意識することは、その打牌信頼度の高さ。
荒プロや藤崎プロの打牌信頼度は、A1だけでなく麻雀界トップクラスですから、場が煮詰まった時に甘い打牌はいっさいありません。また、朝武プロの打点力と踏み込みの深さはA1屈指です。朝武プロが前に出てきている局面は、まさに朝武プロの時間帯であるという事が言えると思います。
これらは全て、これまでの戦いの中で私が培ってきた経験が感じている事なのです。
この経験を生かして戦う事が出来るのも、ここまで頑張ってきた証なのかもしれません。
例えば、相手の先制リーチに対して荒プロや藤崎プロが場に強い牌を切ったとしましょう。
その牌を基に、立体的に局面をとらえ判断することを反射といいます。この反射を用い、より正確な局面状況や変化に敏感に反応できることが、この組み合わせによる利点なのです。
ですから、同じ荒プロとの対戦でも、例えば前原プロ、瀬戸熊プロ、荒プロといった組み合わせだったとすると戦い方が一気に変わるわけですよ。戦い方の軸が変化するのですからね。荒プロと藤崎プロに朝武プロといった組み合わせだからこそ、自分にも浮上するチャンスが生まれてくるのです。基準が増えるわけですからね。
ちょっと難しい表現かもしれませんが、簡単に言うと私にもきっとチャンスが生まれるだろうって事です。私にとって局面がよく見える(と思っている)相手との対戦だっていうことですよ。
さて、対局に話を戻しますと、一回戦開始から荒プロが飛ばします。
リーチの連打で場を圧倒する荒プロに防戦一方だったのですが、私にも一瞬のチャンスが訪れるのです。
東4局、今局も荒プロの先制リーチが入ります。
私の手牌は3シャンテン。全く勝負にならない状況が、急に一転します。
突然ツモが効きはじめ、ラス牌のを引き、以下の形でリーチ。
リーチロン
荒プロのリーチに敢然と立ち向かい、荒プロから7,700をアガリトップ目へ。
しかし、この後が拙かった。一気に勝負をつけようと前に出るものの、試合巧者の荒プロと藤崎プロに上手く交わされ、劣勢模様の朝武プロと共にマイナスへ。
荒プロは7,700を放銃したものの、上手く加点を繰り返しトップを再奪取。藤崎プロもしぶとく立ち回り二着をキープ。私は三着スタートという事になりました。
今年に入ってから、立ち上がりの緒戦の入り方があまり良くないことが課題の一つでもありました。それは、麻雀の内容然り、体調然り、精神面然り…対局に入るための準備が出来ていないことが原因だったように考えていたのです。
しかし、今回は三着スタートとはいえ、自分らしく戦うことが出来ていたことと、さらにはここ数か月の課題の一つでもあった体調面での不安の解消がありました。
実はリーグ戦当日、睡眠がうまく取れなかったため、二時間ほどの睡眠で対局に向かったのです。いつも以上の体調不良の不安があったため、普段対局直前に飲む腹痛の薬を、この日は新幹線乗車直後に飲んだこともプラスに働いたのかも知れません。
とにかく、対局が始まると同時に毎回感じていた腹痛が、今節は全くなかった事は自分にとって本当に大きかったのです。トイレで、「よし、これで戦える!」と気持ちを入れ替え、二回戦の卓に座ります。
とはいっても、そんな簡単に状況が変化するほど甘い戦いではありませんし、厳しいメンツだという事は間違いありません。この二回戦も苦しい展開が続きます。
二回戦は朝武プロが復調気配。さすがに今期A1リーグの首位を走るだけあって、安定感が違う朝武プロ。開局から4,000オールを引き上がり、次々と加点を続けます。
そんな朝武プロの好調ぶりを横目に見ていても、この時は何だか不思議と心は落ち着いていたのです。「我慢していればいつかきっとチャンスがやってくる。」そう考えながら戦っていた自分。手は全く入らないものの、致命的な失点は避けながら進めている中、ラス前は純カラのテンパイで珍しく押し切り、一人テンパイで親をもぎ取ると、続くオーラスは形テンでの一人テンパイ、そして二度目の純カラテンパイとアガらずに9,000点の加点。そして朝武プロから2,900は3,800をアガりトップを奪取。その後も加点し、苦しいながらもこの日の初トップとなったのです。
さぁここからと気持ちを引き締めて挑んだ三回戦、ここも朝武プロが絶好調。私は劣勢が続くものの、唯一の見せ場はこれ。
ロン
このメンホン七対子を藤崎プロからアガったのが精一杯。
それでも何とか三着をキープして最終戦に臨みます。
しかし、最終戦でこの日唯一後悔する打牌がありました。
東2局、荒プロから先制リーチ。
しっかりと降りて反撃のチャンスを窺えばいいものの、安易に筋を追うとこれがドラとのシャンポンの7,700に放銃。このアガリをきっかけに荒プロは5本場まで連荘し、大トップのきっかけを作ることになってしまいました。
放銃を恐れず前に出て戦う事は決して悪い事ではありません。
しかし、楽をして戦うための安易な打牌となると全く意味が異なってきます。
カンチャンは否定され、もし当たるのならドラとのシャンポンだろうな、と考えていた中での放銃。深く考えれば、もう少し別の打牌選択があっただけに、悔やんでも悔やみきれない結果になってしまいました。
それでも、後悔してばかりもいられません。
少しずつ負債を返すアガリを繰り返し、ラス前に1,300・2,600を引き上がり原点復帰まで後僅かに。点数次第では現在二着の朝武プロを交わすところまで盛り返すも…最後は朝武プロに2,000を放銃し対局は終了。今節は+1.5Pのプラスで対局を終えることになりました。
僅かですがプラスで終わったことは、私にとって大きなことだったと思っています。
そして今節は、自分でもびっくりするくらい局面がよく見えていたこともプラス材料と考えています。まだまだ半分消化しただけのリーグ戦ですが、鳳凰位決定戦進出を考えるとそろそろギアチェンジを図らないと間に合わなくなってしまいます。今回の内容と結果を、来節以降の爆発のきっかけに出来る様に、次のリーグ戦までしっかりと稽古を積んでいきたいところですね。
それではまた次回のコラムをお楽しみに。望月でした~。