望月 雅継の麻雀コラム
2013年12月19日(木)
| 望月 雅継
A1リーグ最終節
今年のA1リーグの対局が全て終了しました。
▲30.4P。第6位という成績は、正直不甲斐ない、の一言です。
前半戦、昨年度の不調を引きずっていたのか、終始我慢の展開が続いたことも敗因の一つでしょう。それでも、顔を上げずに戦い続ける事が出来た事は収穫でしょうか。
転機が訪れたのは第6節。
ここまでの我慢が効いたのか、今期初めてのまとまったプラス。勢いそのままに、第7節もプラスを叩き、ポイントは+50Pを超え、順位も第3位にまで浮上しました。
このままの勢いで一気に首位奪取…と考えた事がいけなかったのでしょうか?
それとも、リーグ戦での初めての生放送に、気負いすぎてしまったことが原因なのでしょうか?
とにかく、本当に大事な第8節で、競技麻雀人生で一番と言っていいほどの屈辱の敗戦を喫したのです。
そして迎えた最終節。
対戦相手は、荒プロ、藤崎プロ、猿川プロ。
自分のポイントは▲32.1P。暫定3位の柴田プロとのポイント差は約70P弱。
鳳凰位決定戦に進出する為には、ある程度思い切った踏み込みをしないことにはポイントが届きません。しかし、相手はA1リーグの猛者達。更には、ポイント中位の集団だけに、大きく沈んだ場合降級の可能性を秘めているとなると、そんなに簡単にポイントを稼がせてくれるはずもなく、早い展開の局回しも十分に考えられます。
逆に、降級の可能性も十分に考えられるところなのです。
現在の降級ボーダーは前原プロの▲80P。自分のポイントとの差は47.9P差。
という事は、決定戦進出ボーダーと降級ボーダーとでは、降級ボーダーの方が近いという事になります。前節の大敗のイメージが色濃く残っているだけに、本当に踏み込んでいいものか、慎重に戦った方がいいのか、本当に悩みました。
そして自分の出した結論は、2回戦までに30P以上の上積みが出来ている場合は上を見て戦い、そうでない場合は降級しないように手堅く戦うといった事でした。
何故そういった結論に至ったかというと、第8節での戦いで、今期の“勝負”が終わったと悟ったからでしょうか。
大きなミスをした選手をもう一度浮上させるほど、A1リーグは甘くありません。
自分の麻雀を見失い、大きくゲームプランを見誤った自分が、最終節で浮上する可能性は本当に僅かなものだろうと考えたのです。
しかし、可能性がある以上最後まで諦める訳にはいきませんし、画面の向こうで見てくださっている多くのファンの皆様や仲間たちの事を考えるといい加減なプレイはできるはずもありません。
さらには長い競技麻雀人生を考えた時に、ここでの戦いが今後の自分にとってとても重要な一戦になるのではないかと感じていました。極めて厳しい試合になることは間違いありませんが、それでもここでの経験はきっと将来の自分にとって大きな糧になることは間違いありませんから。
そのために考えた私の作戦は一つ。それは、
「局面をしっかりと見極め、極力門前で戦う。」
ということでした。
極力“門前”でということですが、出来る限りポンテン、チーテンしか仕掛けないという縛りを自分に課しました。出来れば全局門前で戦ってもいい!というくらいの気持ちで対局に臨んだのです。
そう考えさせたのも、前節の大きな失敗から学んだ教訓なんでしょうね。
自分の本来のスタイルをもう一度見つめ直す為にも、勇気はいりますが腹を括って対局に臨んだのです。
僅かに残る鳳凰位決定戦進出を目指し、どれだけしっかりと打ち切った上でなるべく大きなトップを取れるかがテーマの初戦。そんな思いと裏腹に、好調に見えるのは藤崎プロ。いつも通りの無駄の無い戦い方で着実に加点します。
自分にとっての分岐点は意外に早く訪れます。
ツモ
局面的にも恐らく自分が先手を取っているであろう6巡目、ツモ五だったらリーチもありかなと思っていた矢先の僥倖のテンパイ。
選択肢は恐らく3つ。
切りリーチか切りダマ。
そしてテンパイ取らずの打。
通常時なら恐らく打が私にとっては自然な一打。
しかし、この時は少し違う思考が頭をよぎっていました。
恐らくこのテンパイはアガれるだろう。
しかし、このテンパイ形を相手に見せてしまうと、この日一日の自分の戦い方を相手に伝えてしまうのではないか?
ということを考えた結果、打とテンパイ取らず。
すると次巡のツモは。
すんなりと300・500のツモアガリだったところですが、こうなったら当然リーチを宣言します。
腹を括って選択した結果なので全く悔いはありませんが、この選択が藤崎プロにとって追い風となってしまったのです。丁寧に受けた藤崎プロが私の当たり牌をツモっての1300・2600。これで完全にペースを掴みます。
ここから着実に加点した藤崎プロが大きく逃げる展開で、自分は何とかついていくのがやっと。何とか浮きをキープするも、目標には遠く及びません。
2回戦、ここで大きくプラスを叩いて望みをつなげたいところです。
東2局、望外の3000・6000をツモってトップ目に立つものの、ジリジリと点数を削られる嫌な展開に。
そして、今期の対局が終わってしまう瞬間が訪れてしまいます。
東4局1本場、荒プロの親番。中盤、親の荒プロからリーチが入ります。
その時の私の手はイーシャンテン。
しかし、次の瞬間、望外のツモでテンパイが入ります。
ツモ ドラ
実はこの時、場には三枚切れ。
何故を置いていたかというと、雀頭を求める為、と
がかなり自分の目から良く見えていたからなのです。雀頭が出来れば、カンでもリーチを打とうと。
ここまで慎重に歩を進めていたのにも関わらず、何故この局面で攻める気になったのか?
それはこの前局、荒プロに2600オールを引かれたのですが、実は自分に僅かながらにアガリ手順が存在し、荒プロから5200の決着で終わっていたはずの局が、荒プロの復調のきっかけになってしまったのでは?と考えたからなのでした。
それが、望外のツモ。
予想だにしなかったツモに慌てたのも事実ですが、このツモの意味を考えたのもまた事実です。
ここでの選択は3つ。
まずは荒プロの現物のを抜いて全面降伏が妥当なところでしょう。
攻めるとするなら何を切るか?
打と行った後、待ち頃のタンキ待ちや亜リャンメンで攻め返す方法と、打とした後、を雀頭候補として、を割り、もう一度メンツ構成をし直すという選択。
自分がここで選んだのは打。
このが荒プロに捕まって11600の放銃。事実上、この瞬間に私の鳳凰位決定戦の可能性が消滅しました。
攻めるつもりで切っただけに全く後悔していませんが、悔いるならば前局のアガリ逃しです。それが頭に残っていただけに、瞬間気持ちが揺れてしまったのかもしれません。
とにかく荒プロはこれをきっかけに大トップで初戦のマイナスを返済。
逆に私はここからとにかく頭を下げ続けての戦いを強いられたのでした。
目標を上に置かずに、失点を避けて戦うというのは、皆さんが考えている以上に苦しいモノです。相手はA1の荒プロ、藤崎プロ、猿川プロなのですから。
自分も降級したくないし、相手だって降級したくない。
更には藤崎プロには鳳凰位決定戦の可能性が懸かっている中での戦いですから、皆攻勢の手を緩めるはずはありません。
そんな中での2回戦での戦いは、本当に苦しかったのです。
それでも何とか3着に踏みとどまり、残りは後2戦。
3回戦を何とかプラスにまとめ、最終戦は藤崎プロの決定戦進出争いと、猿川プロの残留に向けての戦いを見守る立場となりました。
本来は、藤崎プロの立ち位置以上で戦っていなければならない自分。
一歩間違えば、猿川プロの立場で戦わなければならなかった自分。
どちらも紙一重ではありますが、そういった苦しい中戦わなくてはいけないのが麻雀プロの宿命です。自分が好きで飛び込んだ世界ですし、苦しいからといって逃げ出すこともできませんしね。
それでも、この一年間の戦いでいろいろと得るものがありました。
自分にとって、見失っていたものが見つかったというか、また新たな自分が創り出せそうな、そんな一年間だったと思っています。
今年の内容をもう一度見直して、オフシーズンにしっかりと打ち込んで来期に備えるつもりです。来期は鳳凰位決定戦に進出しますので、ぜひ皆さん応援してくださいね!
それじゃまた。望月でした~!
次回は今年一年を振り返ってみたいと思いますよ~♪
▲30.4P。第6位という成績は、正直不甲斐ない、の一言です。
前半戦、昨年度の不調を引きずっていたのか、終始我慢の展開が続いたことも敗因の一つでしょう。それでも、顔を上げずに戦い続ける事が出来た事は収穫でしょうか。
転機が訪れたのは第6節。
ここまでの我慢が効いたのか、今期初めてのまとまったプラス。勢いそのままに、第7節もプラスを叩き、ポイントは+50Pを超え、順位も第3位にまで浮上しました。
このままの勢いで一気に首位奪取…と考えた事がいけなかったのでしょうか?
それとも、リーグ戦での初めての生放送に、気負いすぎてしまったことが原因なのでしょうか?
とにかく、本当に大事な第8節で、競技麻雀人生で一番と言っていいほどの屈辱の敗戦を喫したのです。
そして迎えた最終節。
対戦相手は、荒プロ、藤崎プロ、猿川プロ。
自分のポイントは▲32.1P。暫定3位の柴田プロとのポイント差は約70P弱。
鳳凰位決定戦に進出する為には、ある程度思い切った踏み込みをしないことにはポイントが届きません。しかし、相手はA1リーグの猛者達。更には、ポイント中位の集団だけに、大きく沈んだ場合降級の可能性を秘めているとなると、そんなに簡単にポイントを稼がせてくれるはずもなく、早い展開の局回しも十分に考えられます。
逆に、降級の可能性も十分に考えられるところなのです。
現在の降級ボーダーは前原プロの▲80P。自分のポイントとの差は47.9P差。
という事は、決定戦進出ボーダーと降級ボーダーとでは、降級ボーダーの方が近いという事になります。前節の大敗のイメージが色濃く残っているだけに、本当に踏み込んでいいものか、慎重に戦った方がいいのか、本当に悩みました。
そして自分の出した結論は、2回戦までに30P以上の上積みが出来ている場合は上を見て戦い、そうでない場合は降級しないように手堅く戦うといった事でした。
何故そういった結論に至ったかというと、第8節での戦いで、今期の“勝負”が終わったと悟ったからでしょうか。
大きなミスをした選手をもう一度浮上させるほど、A1リーグは甘くありません。
自分の麻雀を見失い、大きくゲームプランを見誤った自分が、最終節で浮上する可能性は本当に僅かなものだろうと考えたのです。
しかし、可能性がある以上最後まで諦める訳にはいきませんし、画面の向こうで見てくださっている多くのファンの皆様や仲間たちの事を考えるといい加減なプレイはできるはずもありません。
さらには長い競技麻雀人生を考えた時に、ここでの戦いが今後の自分にとってとても重要な一戦になるのではないかと感じていました。極めて厳しい試合になることは間違いありませんが、それでもここでの経験はきっと将来の自分にとって大きな糧になることは間違いありませんから。
そのために考えた私の作戦は一つ。それは、
「局面をしっかりと見極め、極力門前で戦う。」
ということでした。
極力“門前”でということですが、出来る限りポンテン、チーテンしか仕掛けないという縛りを自分に課しました。出来れば全局門前で戦ってもいい!というくらいの気持ちで対局に臨んだのです。
そう考えさせたのも、前節の大きな失敗から学んだ教訓なんでしょうね。
自分の本来のスタイルをもう一度見つめ直す為にも、勇気はいりますが腹を括って対局に臨んだのです。
僅かに残る鳳凰位決定戦進出を目指し、どれだけしっかりと打ち切った上でなるべく大きなトップを取れるかがテーマの初戦。そんな思いと裏腹に、好調に見えるのは藤崎プロ。いつも通りの無駄の無い戦い方で着実に加点します。
自分にとっての分岐点は意外に早く訪れます。
ツモ
局面的にも恐らく自分が先手を取っているであろう6巡目、ツモ五だったらリーチもありかなと思っていた矢先の僥倖のテンパイ。
選択肢は恐らく3つ。
切りリーチか切りダマ。
そしてテンパイ取らずの打。
通常時なら恐らく打が私にとっては自然な一打。
しかし、この時は少し違う思考が頭をよぎっていました。
恐らくこのテンパイはアガれるだろう。
しかし、このテンパイ形を相手に見せてしまうと、この日一日の自分の戦い方を相手に伝えてしまうのではないか?
ということを考えた結果、打とテンパイ取らず。
すると次巡のツモは。
すんなりと300・500のツモアガリだったところですが、こうなったら当然リーチを宣言します。
腹を括って選択した結果なので全く悔いはありませんが、この選択が藤崎プロにとって追い風となってしまったのです。丁寧に受けた藤崎プロが私の当たり牌をツモっての1300・2600。これで完全にペースを掴みます。
ここから着実に加点した藤崎プロが大きく逃げる展開で、自分は何とかついていくのがやっと。何とか浮きをキープするも、目標には遠く及びません。
2回戦、ここで大きくプラスを叩いて望みをつなげたいところです。
東2局、望外の3000・6000をツモってトップ目に立つものの、ジリジリと点数を削られる嫌な展開に。
そして、今期の対局が終わってしまう瞬間が訪れてしまいます。
東4局1本場、荒プロの親番。中盤、親の荒プロからリーチが入ります。
その時の私の手はイーシャンテン。
しかし、次の瞬間、望外のツモでテンパイが入ります。
ツモ ドラ
実はこの時、場には三枚切れ。
何故を置いていたかというと、雀頭を求める為、と
がかなり自分の目から良く見えていたからなのです。雀頭が出来れば、カンでもリーチを打とうと。
ここまで慎重に歩を進めていたのにも関わらず、何故この局面で攻める気になったのか?
それはこの前局、荒プロに2600オールを引かれたのですが、実は自分に僅かながらにアガリ手順が存在し、荒プロから5200の決着で終わっていたはずの局が、荒プロの復調のきっかけになってしまったのでは?と考えたからなのでした。
それが、望外のツモ。
予想だにしなかったツモに慌てたのも事実ですが、このツモの意味を考えたのもまた事実です。
ここでの選択は3つ。
まずは荒プロの現物のを抜いて全面降伏が妥当なところでしょう。
攻めるとするなら何を切るか?
打と行った後、待ち頃のタンキ待ちや亜リャンメンで攻め返す方法と、打とした後、を雀頭候補として、を割り、もう一度メンツ構成をし直すという選択。
自分がここで選んだのは打。
このが荒プロに捕まって11600の放銃。事実上、この瞬間に私の鳳凰位決定戦の可能性が消滅しました。
攻めるつもりで切っただけに全く後悔していませんが、悔いるならば前局のアガリ逃しです。それが頭に残っていただけに、瞬間気持ちが揺れてしまったのかもしれません。
とにかく荒プロはこれをきっかけに大トップで初戦のマイナスを返済。
逆に私はここからとにかく頭を下げ続けての戦いを強いられたのでした。
目標を上に置かずに、失点を避けて戦うというのは、皆さんが考えている以上に苦しいモノです。相手はA1の荒プロ、藤崎プロ、猿川プロなのですから。
自分も降級したくないし、相手だって降級したくない。
更には藤崎プロには鳳凰位決定戦の可能性が懸かっている中での戦いですから、皆攻勢の手を緩めるはずはありません。
そんな中での2回戦での戦いは、本当に苦しかったのです。
それでも何とか3着に踏みとどまり、残りは後2戦。
3回戦を何とかプラスにまとめ、最終戦は藤崎プロの決定戦進出争いと、猿川プロの残留に向けての戦いを見守る立場となりました。
本来は、藤崎プロの立ち位置以上で戦っていなければならない自分。
一歩間違えば、猿川プロの立場で戦わなければならなかった自分。
どちらも紙一重ではありますが、そういった苦しい中戦わなくてはいけないのが麻雀プロの宿命です。自分が好きで飛び込んだ世界ですし、苦しいからといって逃げ出すこともできませんしね。
それでも、この一年間の戦いでいろいろと得るものがありました。
自分にとって、見失っていたものが見つかったというか、また新たな自分が創り出せそうな、そんな一年間だったと思っています。
今年の内容をもう一度見直して、オフシーズンにしっかりと打ち込んで来期に備えるつもりです。来期は鳳凰位決定戦に進出しますので、ぜひ皆さん応援してくださいね!
それじゃまた。望月でした~!
次回は今年一年を振り返ってみたいと思いますよ~♪