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望月 雅継の麻雀コラム

2015年09月01日(火)

『ハネマンベース』その1

みなさんこんにちは。望月です。
だいぶご無沙汰しちゃって申し訳ありませんでした。ちょっとだけ忙しかったのでPCに向かう余裕もなく…これからは少しペースアップして更新したいと思いますのでよろしくお願いします。


さて、前回告知したのは『ハネマンベース』の真意についてですね。

ニコ生での対局でも、どうしても皆さんが期待するのはハネマンですよね。
解説者の方々にも「望月はハネマンベースだから…」なんて言って頂いたりして。

でもね、ちょっと待って。
自分の麻雀における手作りのベースがハネマンにあることは間違いないのですが、毎局ハネマンを狙うなんて口が裂けても言ったことないのですから。

以前、ハネマンベースについて書いたコラムはこちら。

http://archive.ma-jan.or.jp/jan-up/class_2/44.php



抜粋するとね…

簡潔に言うと、『手牌に蓋をしない』ということ
抽象的に言うと、『振り幅を大きく』というイメージ
要は、自分自身で手牌の限界を作らないということ


こんな感じ。

まとめると、
手牌構成力の上での基準が“ハネマン”なのであり、手役をハネマンにするという意味ではない


って書いてあるね。
うん、その通り。


でもね、みんなは「望月は毎回ハネマン狙うんでしょ?」って感じになってる。
無理矢理にでも高い手を作って、毎回ホームラン狙う選手だってイメージみたいね。

違うんだよね。全然違う。
自分の特徴はもちろんその打点力であり、爆発力なんだけど…

その打点力や爆発力を生む裏には、細かい部分の積み重ねがあるってことを、今回このコラムをご覧になっている方々にはご理解頂きたいかな。


前述のコラムからまたまた抜粋してみますよ。



私が常に意識している事の一つに、

「10回試行して7回成功する事柄がある場合、10回中10回全てを7回成功する選択をするのではなく、残りの3回は異なった選択をすること」

ということがある。


もう一つ抜粋すると、

3900点の手は3900点でアガる。12000点に育つ手を3900点や8000点で蓋をしない。


こんな事を書いたのですよ。どちらに対しても、今でも同じ思いでいることは間違いないのです。


先日のA1リーグでの一コマ。

一回戦三着、二回戦を逆転トップで迎えた三回戦。
南家の自分は中盤でこんな手をテンパイしたのです。


二三四五六七九九⑧⑧南南南 ドラ二


現状⑧で2600か、九で3200のテンパイなのですが…
関連牌は一が表示牌も含め三枚、八が二枚、九が一枚見えている状況。さてどうする?



まずはテンパイ即リーチって選択がありますよね。
しかし自分はそれを選択しなかった。何故か?

理由はいろいろあるけれど、まずは打点向上が理由だよね。
ツモ一はもちろん打九として一気通貫への手変わりを取るし、ツモ八の三メンチャンはリーチを打ってもいいかな。

そしてもう一つ。
この時点では局面先手を取れると感じていたこと。(実際にもテンパイ一番乗りは自分でしたから)しかし、対面の前原プロから強烈な気配を感じていたということ。

リーチを打てば、それなりの確率で抑え込むことはできる。
しかし、この形で前原プロに押し返されたときはかなり分が悪い。そう感じたってことなんです。


リーチはね、諸刃の剣。
一番簡単で分かりやすい役である同時に、一番難しい役でもある。自分はそう思っています。
いつかまた、リーチについて詳しく書きたいって思っているくらい難しいリーチ判断なんですけど、さすがにここでリーチを打てるほど呑気な麻雀を打っていないつもりでいます。

リーチするのは簡単。
でもね、リーチを目的にテンパイを目指すのは絶対に間違っていると思うのです。だからここではリーチを打たなかったわけです。だってアガリを目指すゲームであってテンパイを目指すゲームでもなければ、リーチをかけるのが全てのゲームでもないんですからね。


それではこの手をどうするのか?ってことになりますよね。

ツモって1300・2600で終わるのがまぁベストかな。次いでこのままの出アガリでも良しと自分は考えたのです。それが自然だと。

手変わりはどうするのか?
前述した通り、ツモ一は打九ヤミ、ツモ八は打九ですが…リーチかどうかは状況次第って考えていました。

そしてもう一つの選択、それはツモ四。この場合にどうするかって事を対局中ずっと考えていたのです。ツモ七やツモ三でテンパイを外すのはさすがにちょっとやりすぎになってしまうかもですよね。ツモ五もかなり微妙。

しかしツモ四だけは別。
テンパイ外しからのマンズツモはオールOKですし、何より自分から見えている三枚切れの一のフォローが利いているのですから。ここからのメンホン移行はかなり魅力的に感じます。最低マンガン、最高は倍満までありますからね。

それでも、やはり相手とのスピード感、つまり間合いだけは間違えてはいけませんから、一番危険だと感じていた前原プロをはじめ、瀬戸熊プロや近藤プロの動向も視野に入れた上でアクションを起こさなければいけないと考えていました。


そして数巡後、ツモ四。
この時、まだ前原プロからのテンパイ気配はありません。
しかし、巡目が深くなっている為、相手との間合いとは別に残り枚数も打牌に加味しなければならない状況になっていたのです。


ここで私のハネマンベースの軸となる思考を元に考えます。

「10回試行して7回成功する事柄がある場合、10回中10回全てを7回成功する選択をするのではなく、残りの3回は異なった選択をすること」

ここでのマジョリティーは恐らくツモ切り。マジョリティーというより常識。
ツモ四を岐路だと考える人は、ツモ切りリーチだってあるでしょう。


つまりは、ここでのツモ切りが【10回試行して7回成功する事柄】なんですね。
常識的にはテンパイを外してはいけない場面だろうし、リーチはあれどテンパイ外しの打⑧は悪手と考える人もいるのだと思います。


しかし私の選択は打⑧。
これには解説者もやりすぎとの声を上げました。

結果から先にお話しすると、打⑧のあとすぐにツモ⑧。このツモ切った⑧を近藤プロがチー。近藤プロの一人テンパイで流局となった一局でした。
つまり、自分のアガリ逃しが目に見えた一局となったのです。

それでも、結果を知った今でも、この選択には後悔がないのです。同じ局面があった場合、この選択を選ぶことがこれからもあると考えています。

何故か?
この手を2600や3200、1300・2600でアガることは誰でもできる。
ここで⑧をツモ切っても、アガる保証はまるでない。
更には、テンパイ維持したおかげで、マンズの変化を捉えることが出来ないかもしれない。


それなら、アガリ逃しというリスクを背負ってでも自分の【型】を入れにいく局面としてみたらどうかと。アガリ逃しの点数より、アガッた時のイメージも打点もきっと大きいはずだ。そう考えて⑧を切ったのです。


それをヌルいって捉える方ももちろんいるでしょうね。
アガったらすごいんだろうけど、それなら結果を出さなきゃって思う方ももちろんいるでしょう。


そういったことを常に背負いながら、私たちは日々戦っているのです。
打牌や結果に対しての責任を背負いながら、人生を賭けて麻雀と向き合っているのです。

次回以降も、ハネマンベースについて例を挙げながらお話を進めていこうと思っています。
また次回をお楽しみに♪望月でした~!