zeRoの麻雀ひとり旅 ~第一回:愛知県名古屋市「みそのクラブ」~
zeRoの麻雀1人旅
第一回:愛知県名古屋市中区みそのクラブ
この日の名古屋は大寒波に見舞われていた。
――思えば20年前に来店した時もこのような寒い冬だった。
名古屋の麻雀打ちなら、その名前を知らぬ者はいないだろう。
なにせ創業40年。奇しくも私zeRoと同じ年である。
激動の昭和の時代に産声をあげ、酸いも甘いもみてきたお店は今どうなっているのか?
……ふと気になって20年ぶりに覗いてみることにしたのだ。
凍結している路面に気を付けながら歩くと……あぁ、あった。
わずかながら残っていた昔の記憶が蘇る。
あの頃の私はイケイケで、「俺が最強!」と多くの麻雀打ちが通るルートにもれなく乗っており、物理的にも内容的にも打牌が強かった。
知らず知らずのうちに周りに迷惑をかけていたのかもしれないな。
そんな感傷に浸りながら階段を登ると……
「いらっしゃいませ」
落ち着いた感じの店員さんが迎えてくれた。
この日は木曜日の夕方。
「木曜は1番卓が立たないんですよ~」
と、店員さんは仰っていたが、フリーは3卓立っている。
たしかに大盛況であった20年前ほどではないが、昨今の雀荘事情を考えるとまだまだ活気があるように感じた。
熱いお茶を頼み、おしぼりでかじかんだ手を温める。
そして店員さんによる軽い新規説明を受け、待ち席のお客さんと4卓目を立てる運びになった。
開局の親、zeRoの手元にはこのような手が躍っていた。
ドラ
4巡目に上家から が打たれる。しかしzeRoはスルー。
普段でもこの牌姿ならスルーするが、ルール的にもますますスルー寄りになるだろう。
そのルールの一つが、「沈みウマ」。
名古屋以外の人は聞いたことないかもしれないが、未だ根強く残っているルールでもある。
25000点持ちで始まり、終了時に30000点持ってない人に1000ptのウマが加算されるのだ。順位は一切関係ない。(お店によっては25000点がラインのところも)
3人とも29900点以下に沈めてトップを取ると、ウマだけでも全員から1000ptもらえるので結構大きくなる。
逆に言うとトップをとらないと旨みがない…とも考えることができるわけだ。
だからこのチャンス手を2900に終わらせるのは勿体ない。
高打点が見える手なら貪欲に狙い、トップ率を高めていくのがマイセオリー。
これは「沈みウマ」に限らず、トップに価値の高い一般的なフリールール共通の戦術だと言える。
数巡後…
キレイにタンピン三色…とはならなかったが、門前でテンパイ。
先に を切っているので引っかけになることと、枚数差でカン リーチを打った。
これで十分だ。
みそのくらぶでは、一発・裏、と「門前でマンガン以上の赤」に300ptの祝儀が付く。
「面前でマンガン以上の赤」という部分が特殊だろう。
このルールにより、手牌に赤がある時はますます門前寄りになる。
↑のリーチはアガれず、流局した。リーチ後は現物しか出なかった。
(新参者には簡単にアガらせねぇ!)
という常連さんの意志を感じる
お客さんは40~60代の高齢者がメインであり、たしかに独特の雰囲気ではある。
慣れていない人は少し抵抗を感じるかもしれない。
しかし20年前に来た時はもっと馴れ合いがあり、先ヅモ当たり前…という感じだった。
当時と比べると、現在はマナー面はある程度徹底されていると言えるので、そこまで不安に思う必要はないだろう。
さて、テンパイ連チャンである。
さきほど解説した通り、赤アリ麻雀にしては門前寄りになるのと、テンパイ連チャンのルールも相まって、かなりゆったりと麻雀が打てる。
東場は小場で回り、南場の親でこのような配牌がきた。
ドラ
ドラが計4枚あるものの、役がなく重い手だ。
チートイも見て打 としたが、「ここだけは鳴こう!」と決めていた牌があった。
? いや、 である。
みそのくらぶの花形ルールで「赤三色」という役があるのだ。
各5に1枚ずつ入っている赤を3枚集めると成立し、3ハン役。他に役が無くてもアガれる。
つまり「赤三色」と赤ドラを数えて最低でも6ハン役。この手の場合 がドラだから倍満になる。
だから赤が3枚ある時はもちろん、2枚の時も見落としてはいけない。
しかし結局 が入るどころかテンパイもせず流れた。
そしてこの半荘は21600点持ちの3着で終了…といっても着順は関係ないか。
ゲーム中のスコアは、すべて麻雀店スタッフによって、遊戯半荘数含めて、卓毎に管理されており、
ゲーム代は後払いというのがこの店の最大の特徴である。
結局4回打って3・2・2・1という成績。
感想
よかったところは、やはりゆっくり麻雀を楽しめる…という点だろう。
ルールもそうだが手役志向のお客さんが多く、落ち着いた雰囲気で麻雀の世界に浸かることができる。
反対にルールの中ではやはり「沈みウマ」が微妙に感じた。ウマのラインが30000点だと、終盤にどうしても目標のない人が増える。
ダンラスで1000点あがったおじさんに対し、長老みたいな人がブツブツ文句を言っていたこともあった、
気楽に言える間柄だからこそかもしれないが、それを聞いていたzeRoも1000点でアガリ辛くなってしまう。
このように「沈みウマ」だと、トラブルの元にもなることが多い。
いやこれだけ長いことやってるのだから、お店もそんなことは重々承知なのだろう。
名古屋の伝統を守るため、そして常連さんがいつ来ても安心して遊べるように、
機軸となるルールには手をつけない……という不文律があるのかもしれない。
たしかに20年前に行った時の昭和の香りがほのかに漂っていたように感じる。
名古屋の麻雀文化を守り続け、お客さんの安心感を第一に考えているみそのくらぶ。
「雀サクッをみた!」と言えばその場で2ゲーム無料にしてくれる新規サービスがあるらしい。
お立ち寄りの際は是非その文化を体験してみていただきたい。