東京 | 雀荘特集


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zeRoの麻雀ひとり旅

第二十回:東京都港区「麻雀 龍馬くん」

 街は一段と冷え込み、今年も忘年会・新年会……のシーズンがやってきた。
 私も古くからの付き合いの場に顔を出すことになっているが、実は今さらながら気が重い。
 
かつては一緒に卓を囲み、

「どの店では誰が一番強いか」だの
「この仕掛けはどこまでケアすべきか」だの

他愛もない話を交えながら麻雀を打ってきた仲間。しかし時は流れ、話題のほとんどは家族や仕事の話に変わっている。鬼嫁自慢をしたり、子供の写真を見せ合ったり、年収を推測し合ったり……決して疎外感を覚えるわけではないが、私が……私だけが、無心で牌とじゃれあっていたあの頃と何も変わらず、取り残されているような寂しさを覚える。

私の人生は、彼らのように何か1つでも積み上げることができたのであろうか。

迷える私は新橋の駅に降り立っていた。
新橋と言えば、東京にさほど詳しくない私でも「ビジネスマンの街」ということくらいは知っている。
山手線・新橋駅から徒歩数分、本日お目当てのお店、「麻雀 龍馬くん」はあった。

看板の一番上にあるとおり、龍馬くんは9階にある。入店したら、平日だというのに仕事終わりのサラリーマンで賑わっていた。フリーは2卓で、あとはセットがたくさん。いかにもビジネスマンの街という感じではないか。

ルール説明を受けながら、ふと感じる。
ビジネスマンの街というとどこか無機質でドライな印象があるが、なぜかここ龍馬くんには温かみを感じる。

その理由は優しい口調の店員さんからきているのか、それとも壁に貼られている



多くのイベント、

そしてカップ麺サービス(これは嬉しい!)というところからきているのだろうか。

 ともあれルール説明は終わった。龍馬くんは関東では珍しい、3人打ちのお店だ。

・1ハン縛り
・華牌を4枚
・5が全赤

9m9p9sに1枚ずつ青牌が入っていて、これが祝儀対象になる。
いわゆる関西サンマだ。
……関西サンマと言えば、この「ゼロ旅」では負け続けている……鬼門だ。

龍馬くんでは1000点50龍馬のソフトルールと、1000点100龍馬のノーマルルールの二つのシステムが存在する。

例によって身の程をしらない私は100龍馬のノーマルルールを所望した。
牌に全てを捧げてきた自分が、麻雀でも勝てなくなってしまったら何も残らないではないか! そう思い卓に着く。

卓に着いた瞬間、何か違和感を覚えた。画像をみてわかる人がいるだろうか?

まず……

これ、関東の人には馴染みがないかもしれないが、関西ではよくみる「ゴッドハンド」というマシーンだ。これが大変な優れモノで、牌が上がってきたら自動で山を前に出してくれる。値段は想像がつかないが、仮に5万円だったとしても導入すべきだと思える。設置やシステムは非常に簡単でシンプル。打っている人は快適だし、従業員の負担も減る。(毎回従業員が前に出しにくるお店もある)
「ゴッドハンド」という大袈裟な名前に負けていないくらいの逸品だと思う。

しかし、違和感の正体は「ゴッドハンド」ではない。

実はなんと、親と東場南場を示す
「起家マーク」がないのだ!

なぜないのかを聞こうと思ったが、いやたしかに今どきの全自動卓には最初にセットすれば起家はわかる。ご丁寧に「南場に入ります」とアナウンスしてくれる卓も多い。よくよく考えると必要性を感じないし、実際に打ってみて不便なことは一切なかった。
とはいえ、一局清算のお店を除き、起家マークの無い店なんて他にあるだろうか?
コロンブスの卵(誰にもできそうなことでも最初に実行することは難しい、という意味)とはまさにこのこと。かなり衝撃的だった。

実戦

さて、座ってすぐに2着→トップで気分よく迎えた3戦目の親での手牌。
3巡目にこんな手になっていた。

 ドラ

既にテンパイ。手替わりを待ってダマに構えていてもなかなか有効牌が引けない。
そうこうしていると南家がをポン。そして私がツモってきたのは、これを暗カン。

  ドラ

不要牌をツモ切ったあと、仕掛けている南家がを手出しして、をポンしてを切った。
ちょっと状況がわかりにくくなってしまったので、南家の仕掛けをみていくと、

   

 
こうなっている。
龍馬くんは後付けありだから、トイトイとは限らない。
直後に私がツモってきたのはだった。

  ツモ ドラ

をきるか、を切るか、はたまたを切るか。

ふと、南家が最後に仕掛けを入れる前に切ったを思い出した。

に暗カンが入った後にからを切るだろうか。他がトイトイ系だけにそれはなさそうだ。

が当たるとすればからの切りだが、自分がを2枚持っていることから、

それよりはからを切った可能性の方が高い……。

そう思って私はを勝負した。

すぐに南家がドラのをツモりあげた。

    ドラ

アガられてしまったものの、この日は終始自分のペースで打つことができ、快勝に終わった。関西サンマでは本当に久しぶりの勝利である。

読みを入れてを押しても、麻雀だからこうやって報われないことは多々ある。
私が積み上げてきたものはその程度のものだ。
同年代の人たちと話が合わないのは寂しいが、私は私の人生に後悔は一切していないし、何より今が一番楽しい。無理に周りに合わせる必要もないかな……そう思って新年会の出席をキャンセルした。

さて、龍馬くんだが、さきほど紹介したように打数によるランキングでのポイントバックをはじめ、各種紹介しきれないくらいのイベントを多数行っている。

私は新規ということで、次回以降の来店毎に使えるゲーム券をもらった。

私の感じた「温かみ」の正体は、きめ細やかなサービスと、店員さんたちの人柄、そして起家マークを無くしたりゴッドハンドを導入するなど、お客さんが快適に打てる環境を考え続けるそのお店の姿勢にあると思った。

新橋のイメージが変わったな……そう思って店を後にしたのだった。

評価

刺激度 ★★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★★★
快適に関西サンマを楽しめる!!★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)