全赤 | 雀荘特集


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zeRoの麻雀ひとり旅

第二十五回:大阪府茨木市「フリー麻雀 ダブルフェイス 茨木店」

関西のカリスマに迫る

日本プロ麻雀協会でAKB48さながらの総選挙が行われているのをご存じだろうか。

その総選挙、2018年度の1位は、

関西の米崎奈棋プロである。
米崎プロは他にランクインしている水口プロや水瀬姉妹のようにタイトルをたくさん獲っているわけでもなく、むしろ配信対局で見かける機会もほとんどない。
だからこそ、協会のスター女流を抑えて1位に輝いたことは、とても異質な出来事だったのではないか……と、感じる。

人は彼女のどこに惹きつけられるのだろうか……?
私は、米崎プロの魅力を探るべく、夕凪リーグの参加を表明した。

夕凪リーグとは

夕凪リーグとは、米崎プロが主催するノーレートのリーグ戦の総称だ。
夕凪リーグは1シーズン12節、1節3回戦、全36回戦を行う。
成績管理を行い、ランキングやレーティングなどの詳細をHPから閲覧することができる。

またリーグ戦だけではなく、大会前に勉強会があり、さらに大会後には米崎プロと一緒に打てるフリー対局も開催している。
初めての方の参加費は2000円。
大会だけでなく、前後にもこれだけいろいろな企画があるので、かなりお値打ちと言えるだろう。

私は会場である茨木のダブルフェイスに向かった。
ダブルフェイスは茨木駅から徒歩2分という近さ。
JRの茨木駅ではなく、阪急の茨木駅だということに注意されたし。
注意されたし……って偉そうに言っているが、自分が間違えたのは内緒にしてほしい(笑)

「あれ……?」
グーグルマップを開いて異変に気付いた私は、慌ててタクシーを止め、ダブルフェイスに向かったのだった。
「あ、運転手さん、ここです!」

……なんとか間に合ったようだ。
急いで3Fの会場に入ると、ほとんどの参加者が揃っていて、米崎プロはその中心にいた。

「今日はよろしくおねがいします」

米崎プロと挨拶を交わしての第一印象は、おっとりしていて周りの空気を和らげる雰囲気を持っている人なんだな……と思った。
そんな米崎プロの影響か、この会場には、リーグ戦開始前にありがちな殺伐感が一切なく、参加者は全員笑顔で談笑していた。

勉強会

まずは勉強会がはじまった。
参加者は15人前後。
米崎プロだけでは大変ということで、ダブルフェイスの敏腕スタッフも講師として加わり、徹底指導してくれる。

座ってまず違和感を覚えた。

指をさす私にスタッフが笑顔でこたえる。

「……ZEROさん、夕凪リーグはサンマですよ」

ええええ!!!(笑)
ここでダブルフェイスは関西サンマのお店だということ、夕凪リーグも勉強会も全て関西サンマだということを知った。

自分の勝手な思い違いに少々面食らってしまったが、前々から強くなりたいと思っていた関西サンマを勉強できるなんてちょうどいい……と思い直した。
「ゼロ旅」のコアなファン(いるのか?(笑))ならご存じかもしれないが、当企画のヨンマの勝ちっぷりと比較して、サンマの成績はすこぶる悪いのだ。

4人打ちは勉強しようと思ったときに、いくらでも書籍や動画などが巷に溢れていて、困ることはない。(特に「ゼロ秒思考の麻雀」なんかがおススメだ)
しかしサンマはそうはいかない。ルールも店によって大きく違うので、なかなか1つの戦術を確立して世に出すことは難しい。サンマは実際に打って、感じて、独学で磨いていくしか上達の道はないのだ。
そういった現状で、他の人の意見を聞くことのできるサンマの勉強会は本当に貴重だと思う。貴重というか、他に類を見ないのではないか……?

「これって役牌出たらポンしますかね?」
「一打目はでよかったですかね?」

私は、ここぞとばかりに普段から疑問に思っていたことを、講師の方や強そうな参加者に質問した。

なお、これは米崎プロが撮ってくれた、私の対局動画だ。

2巡目。

から、リーチのみ(ダブルフェイスでは倍満扱い)のルートを残して打がよかったのでは? という指摘や

5巡目。

 

から、ホンイツトイトイに向かう打ではなく、チンイツ一直線の打の方がよかったのでは? という議論がかわされた。

繰り返しになるが、関西サンマをここまで細かく他人と検討し合う機会が今までなかった。
講師の方も、相手の意見を尊重しつつ、とても丁寧に、そして優しく教えてくれている。
私もたくさん関西サンマを打ってきたが、地元の方の打数と比べると何十倍という単位で経験値が違うだろう。非常に勉強になった。

……ただ、周りの雰囲気をみてみると、私のようにガチでサンマを学びに来ている人は少ないようだ。
どちらかというと、楽しむことを前提にワイワイやっている人が多い。

お、あちらの卓で、とある男性が米崎プロに優しくミスを指摘されている。

米崎プロ「受け入れが少し増えるのでこちらを切った方が良いかもしれませんね」

男性「そうかーたはーw」

何やら男性はかなり嬉しそうだ。
なるほど……米崎プロに怒られるのが嬉しいという、特殊な性癖を持っているのかもしれないな……(笑)

米崎プロはほんわかした空気間を持ちつつ、時にはズバっと意見を言ったり、時には柳のように受け流したりしながら場の雰囲気をコントロールしているように感じた。
文章で表すのは難しいが、参加者全員に分け隔てなく笑顔で接する米崎プロを見て、なんとなく関西を席巻する彼女の魅力が伝わってきたような気がした。

リーグ戦

さて勉強会が終わり、いよいよリーグ戦が始まった。
リーグ戦は同じメンツで3半荘を行う。

抽選で米崎さんと同卓した男性はやはり嬉しそうだ。

リーグ戦が始まっても、和やかな雰囲気は続く。

そんな中、私は空気を読まず真剣に打った。

「ツモ!トッパンです!」

 ツモ

四暗刻をテンパイするか、を持ってきたらカンをしようとしたら、4枚使いチートイツをツモってしまったのだ。
こんな倍満をアガるなどして、私はこのリーグ戦で3連勝し、準優勝することができた。

その後は有志によるフリー対局が始まったが、私はココでおいとますることにした。

感想

勉強会やリーグ戦……と聞くと堅苦しいイメージを持ってしまう方も多いかもしれないが、夕凪リーグはどちらかというと交流会に近く、気軽に参加できる雰囲気がある。
これは主催者である米崎プロの持つ空気の影響だろう。
サンマというのは基本的にはバチバチ勝負するものであって、こうして手を開けたり他の人と話したりしながら打つ経験は他にはない。

それでいて講師の方の指摘は本格的で丁寧であり、私のようなガチ勢も勉強になり、非常に満足のいくリーグ戦&勉強会だった。
サンマの鳴き基準に関する数枚のプリントもいただいた。

私がどれだけ文章を重ねても、実際に会ってみないと米崎プロの魅力を伝えきることはできないだろう。
さきほど紹介した通り、初回は2000円と格安で参加できるので、興味を持たれた方は是非HPより参加を検討してみてはいかがだろうか。

【評価】

刺激度 ★
清潔感 ★★★★
勉強会 ★★★★★
米崎プロの空気感★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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第二十回:東京都港区「麻雀 龍馬くん」

 街は一段と冷え込み、今年も忘年会・新年会……のシーズンがやってきた。
 私も古くからの付き合いの場に顔を出すことになっているが、実は今さらながら気が重い。
 
かつては一緒に卓を囲み、

「どの店では誰が一番強いか」だの
「この仕掛けはどこまでケアすべきか」だの

他愛もない話を交えながら麻雀を打ってきた仲間。しかし時は流れ、話題のほとんどは家族や仕事の話に変わっている。鬼嫁自慢をしたり、子供の写真を見せ合ったり、年収を推測し合ったり……決して疎外感を覚えるわけではないが、私が……私だけが、無心で牌とじゃれあっていたあの頃と何も変わらず、取り残されているような寂しさを覚える。

私の人生は、彼らのように何か1つでも積み上げることができたのであろうか。

迷える私は新橋の駅に降り立っていた。
新橋と言えば、東京にさほど詳しくない私でも「ビジネスマンの街」ということくらいは知っている。
山手線・新橋駅から徒歩数分、本日お目当てのお店、「麻雀 龍馬くん」はあった。

看板の一番上にあるとおり、龍馬くんは9階にある。入店したら、平日だというのに仕事終わりのサラリーマンで賑わっていた。フリーは2卓で、あとはセットがたくさん。いかにもビジネスマンの街という感じではないか。

ルール説明を受けながら、ふと感じる。
ビジネスマンの街というとどこか無機質でドライな印象があるが、なぜかここ龍馬くんには温かみを感じる。

その理由は優しい口調の店員さんからきているのか、それとも壁に貼られている



多くのイベント、

そしてカップ麺サービス(これは嬉しい!)というところからきているのだろうか。

 ともあれルール説明は終わった。龍馬くんは関東では珍しい、3人打ちのお店だ。

・1ハン縛り
・華牌を4枚
・5が全赤

9m9p9sに1枚ずつ青牌が入っていて、これが祝儀対象になる。
いわゆる関西サンマだ。
……関西サンマと言えば、この「ゼロ旅」では負け続けている……鬼門だ。

龍馬くんでは1000点50龍馬のソフトルールと、1000点100龍馬のノーマルルールの二つのシステムが存在する。

例によって身の程をしらない私は100龍馬のノーマルルールを所望した。
牌に全てを捧げてきた自分が、麻雀でも勝てなくなってしまったら何も残らないではないか! そう思い卓に着く。

卓に着いた瞬間、何か違和感を覚えた。画像をみてわかる人がいるだろうか?

まず……

これ、関東の人には馴染みがないかもしれないが、関西ではよくみる「ゴッドハンド」というマシーンだ。これが大変な優れモノで、牌が上がってきたら自動で山を前に出してくれる。値段は想像がつかないが、仮に5万円だったとしても導入すべきだと思える。設置やシステムは非常に簡単でシンプル。打っている人は快適だし、従業員の負担も減る。(毎回従業員が前に出しにくるお店もある)
「ゴッドハンド」という大袈裟な名前に負けていないくらいの逸品だと思う。

しかし、違和感の正体は「ゴッドハンド」ではない。

実はなんと、親と東場南場を示す
「起家マーク」がないのだ!

なぜないのかを聞こうと思ったが、いやたしかに今どきの全自動卓には最初にセットすれば起家はわかる。ご丁寧に「南場に入ります」とアナウンスしてくれる卓も多い。よくよく考えると必要性を感じないし、実際に打ってみて不便なことは一切なかった。
とはいえ、一局清算のお店を除き、起家マークの無い店なんて他にあるだろうか?
コロンブスの卵(誰にもできそうなことでも最初に実行することは難しい、という意味)とはまさにこのこと。かなり衝撃的だった。

実戦

さて、座ってすぐに2着→トップで気分よく迎えた3戦目の親での手牌。
3巡目にこんな手になっていた。

 ドラ

既にテンパイ。手替わりを待ってダマに構えていてもなかなか有効牌が引けない。
そうこうしていると南家がをポン。そして私がツモってきたのは、これを暗カン。

  ドラ

不要牌をツモ切ったあと、仕掛けている南家がを手出しして、をポンしてを切った。
ちょっと状況がわかりにくくなってしまったので、南家の仕掛けをみていくと、

   

 
こうなっている。
龍馬くんは後付けありだから、トイトイとは限らない。
直後に私がツモってきたのはだった。

  ツモ ドラ

をきるか、を切るか、はたまたを切るか。

ふと、南家が最後に仕掛けを入れる前に切ったを思い出した。

に暗カンが入った後にからを切るだろうか。他がトイトイ系だけにそれはなさそうだ。

が当たるとすればからの切りだが、自分がを2枚持っていることから、

それよりはからを切った可能性の方が高い……。

そう思って私はを勝負した。

すぐに南家がドラのをツモりあげた。

    ドラ

アガられてしまったものの、この日は終始自分のペースで打つことができ、快勝に終わった。関西サンマでは本当に久しぶりの勝利である。

読みを入れてを押しても、麻雀だからこうやって報われないことは多々ある。
私が積み上げてきたものはその程度のものだ。
同年代の人たちと話が合わないのは寂しいが、私は私の人生に後悔は一切していないし、何より今が一番楽しい。無理に周りに合わせる必要もないかな……そう思って新年会の出席をキャンセルした。

さて、龍馬くんだが、さきほど紹介したように打数によるランキングでのポイントバックをはじめ、各種紹介しきれないくらいのイベントを多数行っている。

私は新規ということで、次回以降の来店毎に使えるゲーム券をもらった。

私の感じた「温かみ」の正体は、きめ細やかなサービスと、店員さんたちの人柄、そして起家マークを無くしたりゴッドハンドを導入するなど、お客さんが快適に打てる環境を考え続けるそのお店の姿勢にあると思った。

新橋のイメージが変わったな……そう思って店を後にしたのだった。

評価

刺激度 ★★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★★★
快適に関西サンマを楽しめる!!★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)