三人打ち | 雀荘特集


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zeRoの麻雀ひとり旅

第二十七回:和歌山県和歌山市「シンバル」

心の隙間 和歌山県

電車に乗り込んだときのふわっとした暖かさが心地よい。
朝の光によって、椅子の毛足がきらきらしている。

わたしは電車で和歌山県に向かっていた。
久しぶりの「ゼロ旅」は、和歌山県唯一の4人打ちフリー雀荘「シンバル」に決まったのだ。

和歌山県か……。
私の記憶が正しければ、これまでに和歌山県には足を踏み入れたことがない。

誰も興味ないかもしれないが、これはzeRoの行ったことある県リストだ。
見ての通り和歌山県は、私の住んでいる愛知県から比較的近いにも関わらず、これまでに通過したことすら無い。なるほど、地図を見ると和歌山県は紀伊半島の先っぽに位置していて通り道にはならない。

今回はそんな心の隙間にひっそりと存在する、和歌山県の良さも伝えていこう。

シンバルのある和歌山市は、大阪から南海電鉄のサザンという特急列車に乗って約1時間で到着する。和歌山市は県の中でも北の方にあり、割とすぐだ。

もっと山道をかいくぐって走るのかと思ったら、割とひらけていたし、住宅街など町並みはそれなりに栄えていた。
和歌山といえば気候の良さだろう。夏は涼しく、冬は温かい。その温暖な気候を活かした、みかんや梅などが有名だろうか。行き交う人々を眺めていたら、あっという間に電車は和歌山市に到着した。

和歌山グルメ グリーンソフト

到着したらまずは腹ごしらえだ。
入ったのは、和歌山では有名なグリーンコーナーというラーメン屋。

「◯◯番のお客様―!」厨房のおばちゃんの声が店内に響く。
一昔前の高速道路のサービスエリアの雰囲気だ。

私が注文したのは「てんかけラーメン」なるもの。天かすが入っていて、とてもシンプルで優しい味なのだが、ぎっとりこてこてのラーメンに慣れてしまった昨今としては、これぞラーメンという、原点を思い出させてくれる一品だ。
名古屋のスガキヤを思い出す。それも今の洗練されたスガキヤではなく、昔の古き良きスガキヤだ。

値段も、最近の日本では考えられないくらい安い。デザートとして、和歌山ではコンビニに入ったら売っているというくらい、ご当地名物の

グリーンソフトを頂いた。
なんと、この抹茶ソフトを食べるために他県からくる人もいるらしい。それくらい隠れた名産なのだ。グリーンコーナーのグリーンソフトは他で食べるものとは違い、きめ細やかで柔らかい。
私はほとんど好き嫌いがなく、実は唯一抹茶だけが苦手と言えば苦手なのだが、このグリーンソフトはあまり抹茶抹茶しておらず、美味しく食べることができた。

まさにアットホーム雀荘 シンバル

お腹を満たしたところで、いよいよシンバルに向かう。
シンバルは和歌山市駅から歩いて20分くらいだろうか。国道沿いにあった。

一見すると、全くもって普通の一軒家だ。
違いは看板があるかどうかでしかない。

ごくごく普通の玄関を開けると……

2階に繋がる階段と、下駄箱があって本当に「家」っぽい。
中では既に

フリーが2卓立っていた。

看板娘がお出迎え。

実戦

早速麻雀を打つことになった。
ルールはごくごく普通の遊びやすい4人打ちルール。

この日は終始調子がよかった。
最初こそダブロンを放銃するなどして飛んでしまったが、その後は2311211と8戦4トップを奪取。

印象的な局があった。

東1局3巡目・南家

 ドラ

私は、この手で上家から出たに反応したのだ。
もちろん狙いはチンイツ。

「10枚チンイツドンジャラ理論」という言葉は有名だろう。
木原浩一プロが考案した1つの基準であり、ようは10枚同じ色があったらチンイツに走って問題ないよ……と、理論という名前の割にはかなりざっくりした内容なのだが。

私はこれを少しだけ細分化して考えている。

3巡目まで→9枚

4巡目~7巡目→10枚

8巡目以降→11枚

つまり早い巡目であれば9枚から発進してもOK!ということだ。
もちろん9枚の繋がりや、他の部分を活かしたメンゼンリーチとの比較によって判断は変わっていくが、上の手牌くらいマンズの並びがよかったらどこからでも仕掛けていくべきだろう。

端にかかるは、すぐにでも鳴けそうだ。実際あっという間に、

   

こんな理想的なテンパイになり、ハネ満をツモった。

アガリを重ねる自分を相手に、全員が楽しそうに麻雀を打っているのが印象的だ。

総評

「アットホーム」

雀荘を紹介するときに、耳にタコができるくらいありふれたフレーズなのだが、この言葉が1番しっくりくるのだから仕方ない。
例えば、今はそうでもないかもしれないが、昔は雀荘に時計は珍しかった。
時計を置くとお客さんの帰ってしまうきっかけをつくってしまうからだ。
シンバルでは……

めちゃくちゃ存在感の大きい時計がある。

5年前。オーナーのSHINさんは、和歌山からわざわざ大阪まで出ていって麻雀を打ったそうで、だったら自分で和歌山にお店を作ったほうがよいのでは……と思ったのがきっかけで開業したのだと言う。
集うようになったお客さんと交流を重ね、いつしか和歌山から4人打ちの灯を消してはいけない……という使命感を強く持つようになった。

その思いが店内からヒシヒシと伝わってくるお店だった。

なお、

ポイントカードによってゲーム券がもらえるし……
今流行りの成績管理もしっかり存在する。お店のHPから見てみると……

しっかり11月のランキングに名前を連ねていた。
名前をクリックすると、

詳細を見ることができる。

お客さんのことを考えて様々な面で試行錯誤するSHINさん。

シンバルで麻雀を打って、グリーンソフトを食べて帰る。
そんな観光名所になってほしいなと思った。

なかなか踏み入れることのない和歌山の地だが、お立ち寄りの際は是非シンバルでの麻雀を楽しんでみてははいかがだろうか。

評価

刺激度 ★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★★
グリーンコーナー★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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第二十六回:愛知県名古屋市「Jang Park NoRi NoRi」

これが雀荘の写真に見えるだろうか?
令和最初となる「ゼロ旅」はこんなオシャレな雀荘「ジャンパークノリノリ」に決まったのだ。

ノリノリは愛知県、名古屋は「新瑞橋」にある。
名古屋の人にしか読めないだろうが「あらたまばし」と読むこの地は、私の家から車で10分……という地元であり、もしかしたらノリノリは一番近いフリー雀荘かもしれない。

新瑞橋と言えば、昔は「田舎の中の繁華街」という印象だったが、40年以上前に地下鉄が通ってからどんどん都会化が進み、今ではイオンモールができるほどに栄えてきた。
近くを通る山崎川は桜の名所であり、花見のシーズンには多くの人がやってくる。

ノリノリはそんな新瑞橋駅から徒歩数分にある。
大通りに面しており、ビルの看板ですぐにみつけることができた。

エレベーターで3階に上がった後、店内に入り、オシャレなカウンターに腰掛けた。

冒頭で書いたとおり、雀荘とは思えない雰囲気のカウンターであり、簡単なカクテルくらいならすぐに作ってくれるそうな。

オシャレなカウンターに驚いていると、お店の名前の通りノリのいい店員さんがルールとシステムの説明をしてくれた。

ルール・システム

仕事で仕方なく……というテイで、女性店員に話しかけまくる。
これが私の「ゼロ旅」でのひそかな楽しみの1つでもある。

ノリノリは今年の4/1にリニューアルオープンした1ハンサンマのお店。
名古屋では2ハンサンマが主流なので、1ハンサンマは珍しい。

1ハンサンマと言っても完全先付けではなく、アガリ1ハン
そのおかげで私のような初めての人でもわかりやすい上にトラブルが減る。
なぜならば、「とにかく上がったときに1ハンあればアガることができる」というシンプルなルールだからだ。
バックはもちろん、喰いタンもある。

そしてルール説明を一通り聞いて、一番面白い! と感じたのが…

華牌……いわゆる抜きドラとしてが入っていることである。
これが何を意味するかというと、サンマにも関わらず345・456の三色ができるのだ!

たとえばを抜いた状態で……

 ロン 

こんな綺麗なタンピン三色ができるというわけ。
たしかに今までいろんな抜きドラのお店があった。お店の名前がプリントされていたり、4枚揃えると祝儀が発生したりするルールのお店も多い。

それらと比較してこの発想は飛びぬけている。

なお、三色は役ではなく、イベントとしてルーレットを回し、止まった数字に応じてお店からゲームチップがもらうことができる。

この大きなルーレットを回すというのも、またオシャレではないか。

そうこうしているうちにメンバーワン入りの卓が終わり、案内された。

実戦

ノリノリでは旧式の自動配牌卓を使っているようだ。

私はこのタイプの卓が大好きである。
まず画像のように配牌のうちの12枚だけが上がってきて、これを全員が手元に引くことによって残りの牌山が上がってくる。そこからチョンチョンを取ってゲームがスタートする。

この「間」が絶妙なのだ。
配られた12枚をみて、牌山が上がり、チョンチョンを取る間に前局の結果の整理やこの局の構想を考えることができる。

最新の自動配牌卓だと、一打目を切るまでの時間があまりに短すぎて、雀力向上の妨げになっているとも私は考えている。

そんなことを考えながらとった親の配牌は……

 ドラ

慣れないうちはややこしいが、抜きドラはだけである。
これを右に抜いてリンシャンから1枚補充する。
ツモってきたのは。これで形は決まった。から打ち出す。

 抜きドラ

5巡ほどでテンパイして高めイッツーになる待ちのリーチ!

 抜きドラ

リーチを打った瞬間は何も意識していなかったが、次に……と連続で抜きドラを持ってきた後に気付いた。

 抜きドラ

(これ3pで上がったら345の三色じゃん!)

4人打ちで、イッツーと三色の天秤になることはあるが、まさか同時にテンパイすることができるとは。。
急にワクワクしてきたが、残念ながら次のツモ番を迎えることなく、他家のチートイツに蹴られてしまった。

これが唯一のチャンスだった。
そもそもと抜ける機会が少なく、たまに抜けても三色を作ってアガリ切るまでにはいかない。意外と難易度は高い。
イベントとしてはできそうでできない、よい匙加減だなと思った。

もう1つ。
の1枚にノリノリ牌と言って、白ポッチにあたる牌が入っている。
リーチ一発に限りオールマイティになるだけでなく、裏ドラ表示牌にめくれてもオールマイティになるのだ。

これも意外に出ない。
この日4・5時間打ったのだが、三色もオールマイティも目にすることはなかった。

さて1ハンサンマであるが、やはり1番難しいのは鳴き基準だと思う。
強者に質問したり、夕凪リーグで学んだりしたことは

「基本ポンテンはとる、それ以外は鳴かない」

という部分である。
これには驚いた。私の感覚とは全く逆だからである。

例えば

 ドラ

このような手牌でを打たれたとき。
私ならここまで形がいいと、リーチを目指してスルーしたくなる。

しかし関西サンマでは打点はあとからいくらでもついてくるのでアガリ率が重要。
を打たれたときにロンと言えないことが罪で、ポンテンをとるべきだそうな。

ノリノリでは5が全赤ではなく、2枚ずつなので打点も大事になってくる。
巡目が浅いときに限り、スルーもあるかな……と考えていた。

逆に

これくらい悪いとポンしないとアガれそうにない……と感じてしまうが、これはスルーすべしと強者達は口を揃えて言う。
スルーした方がチートイを含めた有効牌は多く、打点を追いながら安全に手を進めることが大事だそう。

まとめ

ノリノリはオシャレなだけでなく、ルールがとても面白く、そして店内の雰囲気がとてもフランクだったのが印象的だ。
お客さんも常連さんが多いのか、とても楽しく打っているのが伝わってくる。

店員さんに

「何か美味しい飲み物を持ってきて」

と無茶振りしたら

カルピスオレなるものを作ってくれた。
これが甘くてとても美味しかったのですぐにおかわりした。

また、

カウンターのそばに置いてあるカップ麺やお菓子が食べ放題なのもポイント高い。
黒板に書かれている文章を読んでもわかるとおり、とにかく楽しく快適に麻雀を打ってもらおうという店主の気持ちが伝わってくる。

家から近いということもあり、リベンジを兼ねてもう一度行きたいと考えている。
三色も1回はアガりたい。

地元にあったのはサービスの充実した、面白いルールのオシャレな雀荘でした。

【評価】

刺激度 ★★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★★★
オシャレな店内★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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第二十五回:大阪府茨木市「フリー麻雀 ダブルフェイス 茨木店」

関西のカリスマに迫る

日本プロ麻雀協会でAKB48さながらの総選挙が行われているのをご存じだろうか。

その総選挙、2018年度の1位は、

関西の米崎奈棋プロである。
米崎プロは他にランクインしている水口プロや水瀬姉妹のようにタイトルをたくさん獲っているわけでもなく、むしろ配信対局で見かける機会もほとんどない。
だからこそ、協会のスター女流を抑えて1位に輝いたことは、とても異質な出来事だったのではないか……と、感じる。

人は彼女のどこに惹きつけられるのだろうか……?
私は、米崎プロの魅力を探るべく、夕凪リーグの参加を表明した。

夕凪リーグとは

夕凪リーグとは、米崎プロが主催するノーレートのリーグ戦の総称だ。
夕凪リーグは1シーズン12節、1節3回戦、全36回戦を行う。
成績管理を行い、ランキングやレーティングなどの詳細をHPから閲覧することができる。

またリーグ戦だけではなく、大会前に勉強会があり、さらに大会後には米崎プロと一緒に打てるフリー対局も開催している。
初めての方の参加費は2000円。
大会だけでなく、前後にもこれだけいろいろな企画があるので、かなりお値打ちと言えるだろう。

私は会場である茨木のダブルフェイスに向かった。
ダブルフェイスは茨木駅から徒歩2分という近さ。
JRの茨木駅ではなく、阪急の茨木駅だということに注意されたし。
注意されたし……って偉そうに言っているが、自分が間違えたのは内緒にしてほしい(笑)

「あれ……?」
グーグルマップを開いて異変に気付いた私は、慌ててタクシーを止め、ダブルフェイスに向かったのだった。
「あ、運転手さん、ここです!」

……なんとか間に合ったようだ。
急いで3Fの会場に入ると、ほとんどの参加者が揃っていて、米崎プロはその中心にいた。

「今日はよろしくおねがいします」

米崎プロと挨拶を交わしての第一印象は、おっとりしていて周りの空気を和らげる雰囲気を持っている人なんだな……と思った。
そんな米崎プロの影響か、この会場には、リーグ戦開始前にありがちな殺伐感が一切なく、参加者は全員笑顔で談笑していた。

勉強会

まずは勉強会がはじまった。
参加者は15人前後。
米崎プロだけでは大変ということで、ダブルフェイスの敏腕スタッフも講師として加わり、徹底指導してくれる。

座ってまず違和感を覚えた。

指をさす私にスタッフが笑顔でこたえる。

「……ZEROさん、夕凪リーグはサンマですよ」

ええええ!!!(笑)
ここでダブルフェイスは関西サンマのお店だということ、夕凪リーグも勉強会も全て関西サンマだということを知った。

自分の勝手な思い違いに少々面食らってしまったが、前々から強くなりたいと思っていた関西サンマを勉強できるなんてちょうどいい……と思い直した。
「ゼロ旅」のコアなファン(いるのか?(笑))ならご存じかもしれないが、当企画のヨンマの勝ちっぷりと比較して、サンマの成績はすこぶる悪いのだ。

4人打ちは勉強しようと思ったときに、いくらでも書籍や動画などが巷に溢れていて、困ることはない。(特に「ゼロ秒思考の麻雀」なんかがおススメだ)
しかしサンマはそうはいかない。ルールも店によって大きく違うので、なかなか1つの戦術を確立して世に出すことは難しい。サンマは実際に打って、感じて、独学で磨いていくしか上達の道はないのだ。
そういった現状で、他の人の意見を聞くことのできるサンマの勉強会は本当に貴重だと思う。貴重というか、他に類を見ないのではないか……?

「これって役牌出たらポンしますかね?」
「一打目はでよかったですかね?」

私は、ここぞとばかりに普段から疑問に思っていたことを、講師の方や強そうな参加者に質問した。

なお、これは米崎プロが撮ってくれた、私の対局動画だ。

2巡目。

から、リーチのみ(ダブルフェイスでは倍満扱い)のルートを残して打がよかったのでは? という指摘や

5巡目。

 

から、ホンイツトイトイに向かう打ではなく、チンイツ一直線の打の方がよかったのでは? という議論がかわされた。

繰り返しになるが、関西サンマをここまで細かく他人と検討し合う機会が今までなかった。
講師の方も、相手の意見を尊重しつつ、とても丁寧に、そして優しく教えてくれている。
私もたくさん関西サンマを打ってきたが、地元の方の打数と比べると何十倍という単位で経験値が違うだろう。非常に勉強になった。

……ただ、周りの雰囲気をみてみると、私のようにガチでサンマを学びに来ている人は少ないようだ。
どちらかというと、楽しむことを前提にワイワイやっている人が多い。

お、あちらの卓で、とある男性が米崎プロに優しくミスを指摘されている。

米崎プロ「受け入れが少し増えるのでこちらを切った方が良いかもしれませんね」

男性「そうかーたはーw」

何やら男性はかなり嬉しそうだ。
なるほど……米崎プロに怒られるのが嬉しいという、特殊な性癖を持っているのかもしれないな……(笑)

米崎プロはほんわかした空気間を持ちつつ、時にはズバっと意見を言ったり、時には柳のように受け流したりしながら場の雰囲気をコントロールしているように感じた。
文章で表すのは難しいが、参加者全員に分け隔てなく笑顔で接する米崎プロを見て、なんとなく関西を席巻する彼女の魅力が伝わってきたような気がした。

リーグ戦

さて勉強会が終わり、いよいよリーグ戦が始まった。
リーグ戦は同じメンツで3半荘を行う。

抽選で米崎さんと同卓した男性はやはり嬉しそうだ。

リーグ戦が始まっても、和やかな雰囲気は続く。

そんな中、私は空気を読まず真剣に打った。

「ツモ!トッパンです!」

 ツモ

四暗刻をテンパイするか、を持ってきたらカンをしようとしたら、4枚使いチートイツをツモってしまったのだ。
こんな倍満をアガるなどして、私はこのリーグ戦で3連勝し、準優勝することができた。

その後は有志によるフリー対局が始まったが、私はココでおいとますることにした。

感想

勉強会やリーグ戦……と聞くと堅苦しいイメージを持ってしまう方も多いかもしれないが、夕凪リーグはどちらかというと交流会に近く、気軽に参加できる雰囲気がある。
これは主催者である米崎プロの持つ空気の影響だろう。
サンマというのは基本的にはバチバチ勝負するものであって、こうして手を開けたり他の人と話したりしながら打つ経験は他にはない。

それでいて講師の方の指摘は本格的で丁寧であり、私のようなガチ勢も勉強になり、非常に満足のいくリーグ戦&勉強会だった。
サンマの鳴き基準に関する数枚のプリントもいただいた。

私がどれだけ文章を重ねても、実際に会ってみないと米崎プロの魅力を伝えきることはできないだろう。
さきほど紹介した通り、初回は2000円と格安で参加できるので、興味を持たれた方は是非HPより参加を検討してみてはいかがだろうか。

【評価】

刺激度 ★
清潔感 ★★★★
勉強会 ★★★★★
米崎プロの空気感★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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第二十一回:大阪府大阪市北区「まぁじゃんくらぶエイト」

私は一時期格闘ゲームに傾倒していた。自分がどの程度の実力なのか知りたい……もっと強い奴と戦ってみたい……そんな欲望を満たすだけのために他地域まで遠征してはゲームセンターを探したものだ。

「俺より強いやつに会いにいく」

フリー雀荘の根底もこの言葉に詰まっていると思う。家庭麻雀やセットだけでは飽き足らず、自分の雀力を誇示するため……そしてまだ見ぬ強者との出会いを楽しみにフリー雀荘に足を運ぶ人は多い。
私がフリー雀荘を巡っているのも、より強い人と打ちたいからだ。特に関西の雀荘は強者がとても多いように感じる。たとえ言葉をかわさなくとも、強者とは牌で会話できる。

(この動きは意外だったろ?)
(効かねぇよ、さぁラウンド2だ)

暇さえあればゲームセンターを駆けずり回っていたころを思い出す。

――この日もそうだった。

JR天満駅を降りて徒歩数分。
今にも泣き出しそうな空に焦っていたが、お目当ての雀荘「エイト」はすぐ見つかり、私はホッと胸を撫で下ろした。

3Fまで上がったエレベーターのドアが開く。

あれ、場所は合っていると思うのだけど、卓が見当たらない。
果たしてここは麻雀屋なのだろうか。

とりあえずスリッパに履き替え、店内を進む。すると…

突き当たって右に卓はあった。
なんじゃこりゃあ! そこいらの雀荘が3つは入りそうな広さである。

「いらっしゃいませー!」

広すぎるおかげで店員さんも今気づいたようだ(笑)

広い待ち席の一角に腰を下ろし、ルール説明を受ける。

一通り聞いたが、これまで打ってきた関西サンマとほとんど変わらない。
珍しいな……と思ったのが、クイタンがあることくらい。

ちょうど説明が終わった頃に卓が欠けたので、すぐに案内された。

「よろしくお願いします!」

いつものように元気よく挨拶をする。

さて、私は初めての雀荘、慣れないルールで打つ時、まず卓内で一番強い人をみつけることからはじめる。その人の打ち筋に注目し、押し引きや立ち回りを学ぶのだ。

そしてその強者はどう探すか?
それは所作や手付きを見ればすぐわかる。
強者は決して「華麗な所作」をしているわけではなく、「無駄のない動作」をしているのだ。

対面の男がまさにそうだった。

最短距離でのツモ動作。そしてルールに最適化された思考を用い、ほとんどノータイムで打牌を選ぶ。
親指で置くように切るのだが、勝つために華麗さはいらない。置くように切れば牌山をこぼすような事もないし、音も静かだ。何より消費カロリーも最小限ですむ。

見た目は不格好だが、マシンのように模打するその男をみて、私は完全にマークを絞った。

実戦

私は、南場の親で仕掛けていた。

  ドラ

ツモってきたを加カンしたところ、新ドラがそのになった。

同巡、をポンしていた対面の手が止まり、小考ののちにそのをツモ切ってきた。
つまりは加カンをしなかった……というわけだ。

(なるほど、カンをしないという事は自信のない手牌……イーシャンテンかな。テンパイだったとしても愚形だろう)

そう考えるのが普通である。

(さぁね)

一瞬対面が目でそう笑ったように見えた。

そして2巡後に上家が切ったに、対面が声をかけた。

 ロン 

(え?!好形?)

牌姿をみて驚いたが、すぐに意図を理解した。
は私の現物である。

好形だけにリンシャン牌を見てみたい気持ちはわかるが、「ランダムのリンシャン牌」「ドラがモロノリした私の現物である河」、どちらがの出現率は高いかは火を見るより明らかだろう。
そして、その河のを捉えるには安全にテンパイを維持しておく必要がある。
リンシャンから危険牌を持ってきたら、勝負にいきづらいし、通ったとしても他家からの警戒度が高まってしまうだろう。

より安全に、より多く河を見る抽選を受ける――
これが自分のアガリ確率を最大限高める選択だと対面は判断したのだ。

簡単なようにみえて、難しい選択だと思った。
単純な押し引きの他に「自分がどうみえているか」を総合的に判断しないといけないからだ。

(やるね)
(当然だろ?)

牌で会話を続けていると、アガリトップのオーラスでこんな手になった。

 ツモ ドラ

ついを切ってしまいそうだが、ツモでピンフのテンパイを逃すのはやってない。打でパンパンに構える。

 ツモ ドラ

何切る?

今度はを切ってもの受け入れが残る。
が正解だ。

 ツモ ドラ

どんどんややこしい形になってくる。
ピンズはの二度受けに、のエントツ形もある受けの広い形になった。
としてソウズの二度受けを払う。
喰いタンのあるルールではのポンに備えるのは重要だろう。

「ロン」

 ロン ドラ

このようにサンマは牌の種類が少ないぶん、流動的に変化する手牌を正確に運用していく必要があり、形に強くなるためのいいトレーニングになる。

まとめ

さて、初回はトップをとれたのだが10回ほど打って、ちょっと負けていただろうか。
しかし、対面との激しい闘いに私はとても満足していた。

何より、店員さんが気さくでとても面白い。
そんな店員さんがご飯をすすめてきたので、日替わり定食を注文した。

オシャレな牛丼だな…と思ったが、これがめちゃくちゃ美味しかった。
味噌汁と漬物もついてきて、立派な定食だ。
なんでもエイトでは厨房担当だけのスタッフがいて、ご飯には相当な自信を持っているらしい。

「ごちそうさまです。いくらですか?」

財布を出そうとしていた自分に店員さんが笑顔で答える。

「フリーを打たれた方は無料なんですよ」

二度、びっくりした。
あまりのおいしさと、それが無料であることに……だ。

更に驚きはこれだけにはとどまらない。日替わり定食、というくらいだから、ある程度の種類のメニューが一週間で繰り返されるものだと思っていたところ、なんと本当に「日替わりメニュー」なのだ! すなわち、毎日毎日料理が違うということ。

一部であるが、その料理の写真を以下に並べていく。

美味しいご飯で腹を満たし、大満足でエイトを後にしたのだった。

評価

刺激度 ★★★★
清潔感 ★★★★★(広い!)
サービス★★★★
無料ご飯の美味しさ!★★★★★

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第二十回:東京都港区「麻雀 龍馬くん」

 街は一段と冷え込み、今年も忘年会・新年会……のシーズンがやってきた。
 私も古くからの付き合いの場に顔を出すことになっているが、実は今さらながら気が重い。
 
かつては一緒に卓を囲み、

「どの店では誰が一番強いか」だの
「この仕掛けはどこまでケアすべきか」だの

他愛もない話を交えながら麻雀を打ってきた仲間。しかし時は流れ、話題のほとんどは家族や仕事の話に変わっている。鬼嫁自慢をしたり、子供の写真を見せ合ったり、年収を推測し合ったり……決して疎外感を覚えるわけではないが、私が……私だけが、無心で牌とじゃれあっていたあの頃と何も変わらず、取り残されているような寂しさを覚える。

私の人生は、彼らのように何か1つでも積み上げることができたのであろうか。

迷える私は新橋の駅に降り立っていた。
新橋と言えば、東京にさほど詳しくない私でも「ビジネスマンの街」ということくらいは知っている。
山手線・新橋駅から徒歩数分、本日お目当てのお店、「麻雀 龍馬くん」はあった。

看板の一番上にあるとおり、龍馬くんは9階にある。入店したら、平日だというのに仕事終わりのサラリーマンで賑わっていた。フリーは2卓で、あとはセットがたくさん。いかにもビジネスマンの街という感じではないか。

ルール説明を受けながら、ふと感じる。
ビジネスマンの街というとどこか無機質でドライな印象があるが、なぜかここ龍馬くんには温かみを感じる。

その理由は優しい口調の店員さんからきているのか、それとも壁に貼られている



多くのイベント、

そしてカップ麺サービス(これは嬉しい!)というところからきているのだろうか。

 ともあれルール説明は終わった。龍馬くんは関東では珍しい、3人打ちのお店だ。

・1ハン縛り
・華牌を4枚
・5が全赤

9m9p9sに1枚ずつ青牌が入っていて、これが祝儀対象になる。
いわゆる関西サンマだ。
……関西サンマと言えば、この「ゼロ旅」では負け続けている……鬼門だ。

龍馬くんでは1000点50龍馬のソフトルールと、1000点100龍馬のノーマルルールの二つのシステムが存在する。

例によって身の程をしらない私は100龍馬のノーマルルールを所望した。
牌に全てを捧げてきた自分が、麻雀でも勝てなくなってしまったら何も残らないではないか! そう思い卓に着く。

卓に着いた瞬間、何か違和感を覚えた。画像をみてわかる人がいるだろうか?

まず……

これ、関東の人には馴染みがないかもしれないが、関西ではよくみる「ゴッドハンド」というマシーンだ。これが大変な優れモノで、牌が上がってきたら自動で山を前に出してくれる。値段は想像がつかないが、仮に5万円だったとしても導入すべきだと思える。設置やシステムは非常に簡単でシンプル。打っている人は快適だし、従業員の負担も減る。(毎回従業員が前に出しにくるお店もある)
「ゴッドハンド」という大袈裟な名前に負けていないくらいの逸品だと思う。

しかし、違和感の正体は「ゴッドハンド」ではない。

実はなんと、親と東場南場を示す
「起家マーク」がないのだ!

なぜないのかを聞こうと思ったが、いやたしかに今どきの全自動卓には最初にセットすれば起家はわかる。ご丁寧に「南場に入ります」とアナウンスしてくれる卓も多い。よくよく考えると必要性を感じないし、実際に打ってみて不便なことは一切なかった。
とはいえ、一局清算のお店を除き、起家マークの無い店なんて他にあるだろうか?
コロンブスの卵(誰にもできそうなことでも最初に実行することは難しい、という意味)とはまさにこのこと。かなり衝撃的だった。

実戦

さて、座ってすぐに2着→トップで気分よく迎えた3戦目の親での手牌。
3巡目にこんな手になっていた。

 ドラ

既にテンパイ。手替わりを待ってダマに構えていてもなかなか有効牌が引けない。
そうこうしていると南家がをポン。そして私がツモってきたのは、これを暗カン。

  ドラ

不要牌をツモ切ったあと、仕掛けている南家がを手出しして、をポンしてを切った。
ちょっと状況がわかりにくくなってしまったので、南家の仕掛けをみていくと、

   

 
こうなっている。
龍馬くんは後付けありだから、トイトイとは限らない。
直後に私がツモってきたのはだった。

  ツモ ドラ

をきるか、を切るか、はたまたを切るか。

ふと、南家が最後に仕掛けを入れる前に切ったを思い出した。

に暗カンが入った後にからを切るだろうか。他がトイトイ系だけにそれはなさそうだ。

が当たるとすればからの切りだが、自分がを2枚持っていることから、

それよりはからを切った可能性の方が高い……。

そう思って私はを勝負した。

すぐに南家がドラのをツモりあげた。

    ドラ

アガられてしまったものの、この日は終始自分のペースで打つことができ、快勝に終わった。関西サンマでは本当に久しぶりの勝利である。

読みを入れてを押しても、麻雀だからこうやって報われないことは多々ある。
私が積み上げてきたものはその程度のものだ。
同年代の人たちと話が合わないのは寂しいが、私は私の人生に後悔は一切していないし、何より今が一番楽しい。無理に周りに合わせる必要もないかな……そう思って新年会の出席をキャンセルした。

さて、龍馬くんだが、さきほど紹介したように打数によるランキングでのポイントバックをはじめ、各種紹介しきれないくらいのイベントを多数行っている。

私は新規ということで、次回以降の来店毎に使えるゲーム券をもらった。

私の感じた「温かみ」の正体は、きめ細やかなサービスと、店員さんたちの人柄、そして起家マークを無くしたりゴッドハンドを導入するなど、お客さんが快適に打てる環境を考え続けるそのお店の姿勢にあると思った。

新橋のイメージが変わったな……そう思って店を後にしたのだった。

評価

刺激度 ★★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★★★
快適に関西サンマを楽しめる!!★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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第十九回:大阪府大阪市中央区「麻雀ハウス ポン太 千日前店」

気が付けばもう2018年の年の瀬。
年初にあれやこれやと目標を立てたのが、まるで昨日のことのようだ。
いや、昨日のことはさすがに言い過ぎだが、歳を重ねるごとに1年を短く感じるというのは科学的に立証されているらしい。10年の中の1年と、40年の中の1年では記憶の中で占める1年の割合が違うからだろう。

それにしても今年は麻雀の調子がイマイチな1年だった。その中でも特に「関西サンマ」の成績は散々である。最初はただの下振れだと思っていたが、ここまで悪いとさすがにどこかまずいプレイがあるんだろうな……と感じる。
今日は関西サンマの攻略を考えながら打っていこうと思う。
本日向かったのは、ポン太千日前店
難波駅を降りて徒歩3分。

なんばグランド花月の対面に看板があったので、すぐ見つけることができた。
「対面」という言葉を自然に使うのが麻雀打ちのサガと言えよう。

看板によると無料の駐車場もあるらしい。
エレベーターで4階まで上がる。

週末の夕方ということもあり、店内は多くのお客さんで賑わっていた。

「いらっしゃいませー!」

キレイな女性スタッフが迎えてくれる。
ポンタ天満店とルールは同じらしく、ルール説明はなし。

「何かわからないことがあったら、なんでもお気軽に…男性スタッフにおたずねください」

「君じゃないんかい!」
「私まだ麻雀わからなくて……(笑)」

大阪ということもあってか、しっかり突っ込んでしまった。
すぐにラストがかかり、案内される。

【実戦】

「ポン」

打たれたに反射的に声を出した。

 ドラ

……これか。これがあんまりよくないのかな。
関西サンマは速度が全てと思っていて、ほとんどの役牌は1鳴きしていた。
チートイやリーチもみて、もう少し整ってから鳴いた方がいいのだろうか。
迷いを見透かすように親からリーチが入る。
安牌がなかったので1枚切れているをツモ切ったらこれが御用。
リーチ一発チートイドラドラの18000を放銃とあいなった。

こうして最初の半荘はいいところなく飛んでしまった。
今日も苦しい戦いになりそうだ。

次の半荘だった。

 ドラ

この手牌でが出る。

「――ッ!」

ポンの声が喉のそこまで出かかったが、試しに飲み込んでみた。
今までとは違う世界がそこにあるのか。
手を伸ばした先にはがあった。を切る。

 ドラ

たしかに、を鳴かなくても1手進む有効牌はかなり多い
を鳴いて危険になるよりもこちらの方が安定するのかもしれない。

そうこうしているうちにまたしても親からリーチが入る。ツモってきたのは

 ツモ ドラ

が通っていなかったのでを切る。
そしていよいよをツモってきた。元気よくを並べてのリーチ!

 ドラ

一発でツモってきたのは……! だった。入り目は二度いらない。

「ロン、18000」

結果は同じだったが、今回は一切の悔いはない。
その後、何度かトップを取ることができたが、この最初の2半荘の負債が取り戻せず、負け越しで終わった。

またしても負けてしまったが、今回は少し手ごたえを感じることができた。

やはり関西サンマにおいてキーポイントになるのは役牌の扱いだ。
アガリまで遠い手牌では、鳴こうがどうせアガリづらい。何より手牌が短くなり危険だ。
アガリまで近い手牌では、リーチを目指して高打点を狙った方が良い場面も多い。
何しろドラが16枚もあるので、次にドラを持ってくる確率はそれなりに高い。ポンしてツモを放棄することは、そういう意味でも打点面で損をする。

これくらいだとが出ても我慢してリーチを目指した方が良さそう。

こうなると鳴いた時とスルーした時の速度差が大きく、ポンテンにとった方が良いだろう。

次に関西サンマを打つ時は、鳴きのレンジをもう少し狭めて打ってみようと思う。

必ずやまたリベンジにきたいと思う。

【感想】

ポン太では天満店と千日前店共通で使えるポイントカードをもらえる。

画像見ての通り、少し打っただけなのに既に7320ptのポイントがたまっている。
これらは全てゲーム代として使うことができるので、リベンジしようって気になる。

また、そのポイントをお得にゲットできるイベントを常時開催している。

店内は明るくて清潔で、店員さんは常に卓の近くにいる。そしてお客さんのマナーも良い。
また女流プロも頻繁にゲストにきており、関西サンマを安心してお得に遊べるお店だと思った。

——結局、今年の関西サンマは最後の最後まで負けで終わった。
来年は来年の風が吹く。
そう思いながら帰りの電車に乗ったのであった。

【評価】
刺激度 ★★★~★★★★
清潔感 ★★★★★
サービス ★★★★★
関西サンマの奥深さ ★★★★★
ポイント・イベントお得度 ★★★★★
(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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第十八回:大阪府大阪市北区「麻雀ハウス ポン太 天満駅前店」

「勝ち」と「価値」

3年前、私はカレンダーを全く必要としていなかった。単純に一切の予定が入っていなかったからだ。現在もプロでも経営者でもないただの天鳳民の1人なのだが、いつのまにか観戦記に出版、コラム、配信、ゲスト、リーグ戦運営……など、麻雀関係の予定だけでカレンダーはびっしりと埋まっている。人の縁や時の流れというものは面白いものだな……と感じる。
誰にも必要とされていなかったあの頃と比べると、誰かの役に立っているのでは……という自己満足だけでも生きがいを感じることができる。晩年に差し掛かっているが(笑)とても充実した人生を送れていると思う。
しかし、かといって楽観はできない。麻雀プロが勝つことでしか認められないのと同様に、私も勝たなければいけない。私にとっての「勝ち」とは、天鳳位の達成であり、より面白い文章の提供であり、麻雀普及や戦術普及に貢献すること、である。
人の価値は、少し緩んだだけですぐに劣化する。もともと中途半端な立ち位置の私の価値なんて吹けば飛んでしまうほど薄く、継続的に活動していくことでしか認められないのだ。

来訪

冷たく吹きすさぶ風に11月某日、そんな私は大阪の天満にいた。
大阪環状線天満駅から徒歩1分……とのことだが、お目当ての店は改札口を出てすぐにみつかった。1分どころか15秒くらいで行くことができるだろう。


 

関西サンマが打てるお店「ポン太 天満店」である。
この看板をみると無料駐車場も用意されている模様。

エレベーターで3階まであがり……

店の扉を開くと……

白い店内に最新卓が並んでいた。決して広いとは言えないが、余計なモノが置いておらず、キレイに整頓されているので窮屈さは感じない。金曜の夕方だったが、フリーは3・4卓立っていた。初めてのことを告げ、待ち席に腰を下ろす。

若くて感じの良い店員さんからルール説明を受ける。
ポン太はオーソドックスな関西サンマのようだ。35000点持ちの40000点返し。完全1ハン縛りの5が全赤ポン太牌という華牌あり
細かいところまで丁寧に説明してもらったが、晩年を迎えつつある私にはほとんど覚えられない。
そこで、私が初めて行ったサンマのお店でこれだけは覚えておくという部分を5つだけ挙げよう。

  • 完全先付かアリアリか → 完全先付。
  • フリテンは → 認められない。テンパイにもならず、見逃した同巡のツモもダメ。
  • 祝儀対象 → 一発と裏、4枚のポン太牌のうち1枚入っている緑ポン太牌を使って、門前和了。
  • 4枚使いチートイ → あり。
  • ツモ時の点数計算 → 満額計算(親ハネツモ→9000ALL 子ハネツモ→4000・8000)。

基本的にはこの5つで事足りる。役満の祝儀とか、チョンボの裁定など、レアな現象はその場で聞けばいいのだ。
なお、細かいルールを知りたい方はHPまで

ポン太にはソフトルールとノーマルルールの2種類用意されている。
普通細かいところに慣れるまではソフトな方からいくのがデジタルだが、私の勝負師の血がそうさせるのか、陳腐な見栄があるのか、必ずよりハードなルールを指定してしまう

実戦

説明が終わると同時に、タイミングよくノーマルルールの卓にラストがかかり、案内される運びとなった。

東一局南家でのこと。
ドラ表示牌に華牌がめくれて、「おお」と対面の常連さんらしき方が言う。

画像右の緑ポン太牌がめくれた局にアガると、お店から1500ptもらえるらしい。
なるほど……気合を入れた私の手牌は、中盤を過ぎてこうなっていた。

 ドラ

くっつき牌を選ぶ局面。打牌候補としてはか。
私は序盤にを切っていることもあり、何気なしにを切ろうとした。

「すいません」

をつまんだ手を戻し、思い直した後にを切った。
を残すとツモでテンパイするが、好形となるのはツモだけ。その一方でを残すとツモでピンフイーペーコー、ツモで同じくピンフイーペーコーかつ三面チャンになり、三暗刻や三連刻にもなる

 待ち

は受け入れ枚数こそ劣るものの、好形率と打点がかなり優秀で、総合でも打が良いだろう。
結果的には、ツモときて待ちでリーチ。他家とのめくりあいになったが負けてしまった。
を選ぼうがを選ぼうが関係なく負けていた。しかし、このように見えないところで最善を尽くし続けることで、いずれ報われる時がくるのだと信じている

さて、ポン太のウリの1つは女流プロが多数来店する点がある。

中でも常勤している最高位戦日本プロ麻雀協会所属の足立玲プロ

は、私の一推しだ。

この日も足立pは店内を所狭しと駆け回り、多くのお客さんと交流していた。さらに足立pは本走一番手で卓に入り、麻雀を打っていた。彼女みたいにかわいい子が卓につくとそれだけでほんわかした気分になるし、麻雀における多少の不条理も許せてしまうから不思議だ。
接客中の足立pを見ていると、多くのお客さんから愛されていると感じた。

他にもポン太は先ほど紹介したサービスの他にも、多くのポイントサービスを行っている。

新規特典として私も5000pt頂いた。さきほど紹介した「ドラ表示緑ポン太牌」によるptサービスの他にも、毎月変わるイベントがあったり、LINE@会員になったり友人紹介をしたりしてもptはもらえる。
このptは主にゲーム代として使えるから驚きだ。(1pt=1円換算)
マナーやルールに関して丁寧に説明があったように、お客さんのマナーもすこぶるよく、安心してリーズナブルに楽しめるのがポン太のウリだと感じた。

あ、あとフリー専門で、貸し卓は受け付けていないのは斬新だと思った。
卓数の都合だと思うが、それでも少しでも利益を上乗せしたいから……と両方やるのが普通で、フリー専門店というのは聞いたことがない。
中途半端に貸し卓を入れるくらいなら、フリーのお客さんに気持ちよく楽しんでもらおう……という素晴らしい配慮だと思う。

退店

結局私が良かったのは最初だけで、あとはずるずると負けてしまった。
帰ろうとすると、足立pがエレベーターまで見送りに来てくれた。ここは1つ慰めてもらおうかと何か話そうとした。が、その危険を察してか男性店員も駆けつけてきた。仕方なく普通に挨拶してそのまま帰った(笑)

というのは冗談で、足立pはあそこに居場所をみつけ、自分の価値を見出しているのだな……と感じた。一見不要そうに見えても価値の高いあの2sのように、私もこの激動の麻雀界において価値を提供し続けることはできるのだろうか。
帰りの風も冷たく、私の足取りは重かった。

評価

刺激度 ★★★~★★★★
清潔感 ★★★★★
サービス ★★★★★
足立pかわいい ★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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第十七回:神奈川県川崎市「まーじゃんLIFE」

東天紅フリーがあると聞いて――

季節外れの台風が日本を直撃する……そんな時期のことだった。
「東天紅」の打てるフリー雀荘があると聞き、私は川崎駅を降りた。
商店街の中は人でいっぱいでおどろく。

何やらお祭りをやっているらしい。

その商店街を潜り抜けて右に曲がったところに……


噂のまーじゃんLIFEはあった。

人のよさそうなマスターに案内され、待ち席に腰を下ろす。昨年末にお店をオープンし、セット仲間でやっていたルールを元に、フリー営業をやってみたらしい。
なるほどまだ一年経っていないだけあって、店内はキレイだ。

「東天紅」とは関東で流行っているサンマで、基本的な牌の設定は萬子のを抜いたサンマに準じるのだが、などを「ガリ」(抜きドラ)として右に抜き、和了役を、通常の1ハン・2ハンという計算ではなく1点2点と数えるルールである。点数の計算方法はそれこそルールによってさまざまだが、基本的には10点を超えることが多く、数えるのが大変である。だから手牌以外の牌を集めて数えるのが慣例となっている。役を言いながら牌を集める時に何かしら脳に気持ちのいい成分が分泌されていると私は分析している。
そして、通常の半荘単位の清算ではなく、東天紅は一局清算がウリの一つ。
2時間を1クールとする、というように時間で区切ったり、50点持ちで誰かが飛んだら終わりにしたり、とルールは様々であるが、ここLIFEではいつやめてもよく、遊んだ時間によって料金を支払うというシステムである。

さて、そんなLIFEのルールはコチラ

抜きドラは北だけで、赤はが1枚ずつ。東天紅にしてはとてもマイルドな設定だと思う。

突然だが、私はファミコン世代である。各メーカーから発売されるソフトをいかに攻略するかが楽しかった。そのときの名残かもしれないが、いろんな雀荘へ行った時、私は、勝ち負けよりもそのお店のルールで最適な戦術を考える、その過程が何より楽しく感じてしまうのだ。もちろん勝てば嬉しく、負ければ悔しいという感情は少なからずあるのだが。
LIFEでの麻雀をどう攻略していくか、実戦をみてもらいたい。

実戦

座って何局か打ったころに

 ツモ 抜き ドラ

このような手牌で、親からリーチを受けた。リーチの捨て牌にはが光っており、今ツモってきたは切りづらいところ。
が……それは通常の麻雀では、の話である。

私は深く考えずにを即座に切った。

東天紅ルールは、基本的にまっすぐ打った方がいい。というのも、放銃してもツモアガリされても、払う点棒は同じなのである。いや、同じどころかツモの1点を考えるとどうせツモられてしまうなら放銃した方がマシ……と考えることもできる。親と言っても、和了点数が1.5倍になる訳ではなく、1点増えるだけなので、押し引きに与える影響はほとんどないと言っていいだろう。
横移動もあるし、流局することもあるので、全部押すわけではないが、これくらい戦える手牌であれば全く迷うことはなかろう。
このように、ある程度の手になったら深く考えずに押すことができるのが東天紅ルールの醍醐味と言えるかもしれない。オンライン麻雀「天鳳」よりストレス解消になることは間違いないだろう(笑)

と思っていたが、もう一人からも追っかけリーチがかかり、

 ツモ 抜き ドラ

さらなる危険牌を持ってきてしまった。これはさすがに撤退する。二軒リーチになり、横移動がそこそこ期待できるのも大きい。捨て牌にのアンコ……と並べていったが、なかなかどちらのアガリも発生せず、私は最終手番を迎えていた。安牌には困っていなかったのでさっさとオリようとしたときに、さっきのルール表のとある部分が頭をよぎった。

・ノーテン罰符は場に10点です。

ZEROに電流が走る! というほどでもないが(笑)場に10点ということは2人に5点ずつ支払うということか。リー棒が2本場に出ていて供託になる(東天紅ルールでは、リーチ棒は1点が通例)という事を差っ引いても「9点以上の放銃相当」になるということだ。
つまりここは……私はを抜いていない親の危険牌をあえて切った。

「ロン……リーチ・ピンフ・ドラ・裏・親……5点です」

そうなのだ。これまでみてきた感触からすると、LIFEの東天紅はかつてないほどマイルドなので、平均アガリ点が4~6点の範囲だと思われる。1人ノーテンが濃厚な時は、いっそどちらかに放銃してしまった方がいい。

次の局は仕掛けて私がさっとアガる。

「ツモ、中、ドラ、北、1本場……4点オールです」

平均アガリ点が低いという事は、相対的に本場の影響は高いと言える。

また、こんなこともあった。

 ツモ 抜き ドラ

テンパイしたがカンチャン。それでも出アガリがきくのでテンパイに取るのが普通の麻雀かもしれない。
しかし私はまたしてもルール表に書いてあったとある部分を思い出し、をカンした。

を4枚抜いて揃えた時点で20点です。(10点オール)

これはバランスブレイク役と言っていい。まだは見えていないので、そのをツモる抽選を最大限に受けつつ、ツモアガリできる待ちに受けなおすのがベターだろう。
4点の出アガリの権利よりも、リーチツモにドラを付加した7点オール以上のアガリ、もしくは北を揃えに行く……ということだ。逆に言うとを同じ人に3枚抜かれてしまったら、もう一人の人に差し込み気味に打つくらいがちょうどいいのかもしれない。

そんなこんなで、お客さんと談笑しながらも、攻略を考えつつ打っていたらあっというまに2時間以上経ってしまった。歳のせいか2時間くらい東天紅を打つと頭がオーバーヒートしてしまう。それくらい毎局参加のサンマは濃密だという事だ。

感想

個人的にはもっと派手な点数が飛び交う(カラスやセットなどで50点を超えてしまうような)東天紅を期待していただけに、正直このマイルドさは拍子抜けだった。
ただ、逆に言えばヨンマの最低限のルールさえ知っていれば簡単に打つことができるので、初心者にもとっつきやすいルールと言える。1点100LIFEなので、大きく感じてしまうかもしれないが、順位点やオカがあるわけではないので通常のサンマよりはるかにマイルドだ。実際私もとったりとられたりの繰り返しのあと、終盤かなりアガリ倒したように感じたが、プラス3000LIFEだった。(東天紅は途中勝っているか負けているか全くかわからないのも面白い)
また、店内がきれいなことももちろんだが、特筆すべきはゲーム代の安さである。今回の東天紅は1時間800円で遊べるほか、貸し卓も1卓1000円/hでやっている。学割や女性割もあり、とてもリーズナブルであることは間違いない。

福岡のチャンタ大橋店で一局清算の魅力に取りつかれてしまったので、ぜひこの東天紅ルールの麻雀が全国に流行ってほしい。

評価

刺激度 ★★☆
清潔感 ★★★★
サービス★★★★
東天紅の魅力★★★★★

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第十四回:大阪府大阪市中央区 ニュー雀トップ 千日前店

人気麻雀マンガ「天牌」や「むこうぶち」などの作中に、しばしば高級料亭を思わせるような雀荘が描かれることがあるが、実際そんなお店はあるのだろうか?

あった!
前回訪れた「梅田店」の後に向かった雀荘がここ「雀トップ千日前店」である。
なんでも二十年の歴史を誇る老舗で、店の随所からその歴史を感じることができる。

なんば・日本橋の駅で降りて徒歩5分圏内。

千日前の繁華街を入ったところで、すぐみつかった。

夕方前で人はまばらだが、もう少し時間が経つと人でごった返すだろう。
大阪や東京の繁華街は、名古屋のそれより一回り大きいエネルギーを感じるのは私だけだろうか。
歩いている人の人数も違うが、何より人々の歩く姿や顔つき、ひっきりなしに聞こえてくる話し声……が、パワーに満ち溢れているのだ。

さて、そんなパワー溢れる場所にある雀荘である。
仰々しい扉をくぐると、あまりのゴージャスさに驚いてしまった。

待ち席がいくつもあり、その中の1つには

水槽がある。さらに……

カウンターもある。ここなら落ち着いてご飯を食べることができそうだ。
そして店内は

サラリーマンや年配の方を中心にとても賑わっていた。
平均の年齢層は結構高め……か?

「早速いけますよ!」

梅田店で打ってきたことを告げたので、いきなりの卓入りとなった。
ルールは両店で共通しているのである。

特徴をまとめると

  • 完先1ハンの関西サンマ
  • ツモリ損、1000点加符
  • 一発と裏ドラにラッキーポイント
  • ドラゴン牌(華牌)4枚あり、1つが赤くてその牌を抜いてアガるとラッキーポイント
  • ドラゴン牌を1人で4枚抜くと、ドラが2枚追加でめくれる

ざっくりとだが、こんなところだろうか。

麻雀卓がおいてある部分は一段高くなっており、

「ここからバトルステージですよ」

と言われているようで、いやが上にも緊張感が高まっていく。

卓には社長さんぽい老人と、素性不明の中年男性が待っていた。
卓上に散らばっている点棒を集めながら、新しく入ってくる自分の姿を一瞥するような視線を感じた。

「よろしくおねがいします!」

臆せず元気よく挨拶する。

さて、私はこれまでに多くのお店で打ってきたが、初めて行く雀荘で心がけていることがある。それは

「過度に喋らない」

である。

ルールに慣れるまでは先ほどした挨拶やルールへの質問など、必要最低限のこと以外は口を閉ざすのが吉だ。
いくら「おひとり様歓迎」……といっても、よそ者であることには間違いない。
新参者がいきなりベラベラと話しだしたら、この人は真剣に麻雀を打つ気があるのか?と、疑われてしまうだろう。
特に今回の私のように、卓内で一番若いのであれば、なおさら大人しくしておくのがよい。

難しいことは何にもない。
放銃したら「ハイ」と言って手を伏せ、アガったら申告する。そして、わからないことがあったら遠慮なく聞く。
ごくごく普通に打っていればよいのだ。

「〇〇待ちでした」とか「こっちだったら通っていたのかー」とか「こういう読みでこれを切った」などは、基本控えた方がよい、ということ。
(聞かれたらもちろん答える)

それでは実戦である。開局のこと。

 ツモ ドラ

サンマは、四人打ちと比較して、チートイになることが多い。
使っている牌の種類が少ないので当たり前の話だが、それでも頻度としては激増で、体感メンゼンでの三割くらいがチートイじゃないか? とも思えるくらいである。

この手牌も好形が多かったらメンツ手でいいのだが、ピンズとソウズにそれぞれネックがあり、チートイのイーシャンテンは維持しておきたい。
がいいだろう。

すぐにをポン、を切り、こんな形でアガれた。

  ロン 華

華もきたので満貫である。

このように仕掛けてから赤や華がくることは非常に多い。打点は二の次で速度に特化させ手数を増やし、打点は勝手についてくる……というスタイルが関西サンマの基本である。

次局、

 ツモ ドラ

速度を重視するとして、ここから何を切るか。
これもメンツ手とチートイの両天秤で打……

とはならない。
ここは自然に打とする。
の方が受け入れは二枚多い。
しかしこれが罠である。増える受け入れはチートイであり、タンキ待ちである。
その一方で打とした時のツモはリャンメン待ちである。
瞬間の受け入れは打の方が多いが、アガリまでの受け入れは逆転する。の危険度を含めて、打がよいだろう。

すぐにをポンしてまたしてもマンガンのアガり。

こうして最初の半荘は細かいアガリを重ねてトップになった。

梅田店と同じく、棒のようなゲームチップを使って清算する。
店員さんが清算方法を教えてくれる。

清算の時に限らず、店員さんは必ず各卓のそばで見守っていて、一局ごとに空き家(誰も座っていない席)の牌山を前に出したり、やりとりのサポートをしてくれた。

これはかなり安心感がある。

次の半荘、私は仕掛けていた。

  華 ツモ ドラ

テンパイなのでこんなツモ切る一手だが、問題は社長さんからのリーチの一発目であることだ。社長さんの捨て牌はソウズがと通っており、ピンズは切られていない。
オリるなら現物はある状況だ。自分の手が「中ドラ2」の4000点ということもありオリた方が良さそうにも感じる。

さて、あなたならこのを切るか?

私は真っ直ぐを切った。
リーチに対する押し引き判断要素はたくさんあるが、その要素の中でも一番大きいのは「好形でテンパイしているかどうか」だ。
イーシャンテンとテンパイは天と地ほどの差がある。またテンパイでも愚形ではめくりあいに勝てず、ツモリ損のこのルールだとよほど打点がない限り損だろう。
逆に好形テンパイなら安くても押していける。

この手もすぐにアガることができた。

その後もトップを重ね、社長さんがラス半をかけ、やめていった。
卓を離れる際、

「兄ちゃん、強いねぇ」

と笑顔で言ってくれた。
これまで互いに必要最低限のことしかやりとりしてなかっただけに、びっくりした。

認められた……とまでは思わないが、ひとりの麻雀打ちとして認識されたことが嬉しかった。

やはり余計なことを話さなくて良かった。
特に関西では勝負に厳しいイメージがあり、自分もその独特の雰囲気は好きだ。
何かを喋るから三味線やマナー違反になるのであり、何も話さなければ問題は起きない。

話すのは場に慣れてから、空気が読めるようになってからでいいと思う。

社長さんの代わりにメンバーが入ったが、私の勢いは止まらなかった。
十回くらい打っただろうか、半分以上私のトップで、気持ち良くラス半をかけた。

さきほどの梅田店に続いての快勝である。
完全復活!
と言いたいところだが、私自身は何も変わっていない。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

というのは野村元監督の言葉だが、半荘十回程度では基本的に勝ちも負けも偶然の中の出来事である。
結果に一喜一憂してはいけない。

といいつつ、いつも飲まないお酒をコンビニで買い、ひとりで晩酌したzeRoさんであった(笑)

まとめ

店内の作りだけでなく、メンバーさんの対応ややりとりにも二十年の歴史を感じた。
また、ゴージャスな高級感がありながらも大衆麻雀店のようでもある……という不思議な店である。
麻雀は真剣に打てるし、店内は明るく、そして店員さんも常に見守っていてくれるので安心して麻雀に没頭することができる。

ミナミで二十年間やってきた歴史を体感したいなら是非!

【評価】

刺激度 ★★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★☆
安心感!★★★★★
(なお「刺激度」は動くお楽しみゲームチップを元に、新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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第十二回:福岡県大野城市「フォーラム」

※2019年4月に住所移転しています。レポートは移転前時のものです。

私は焦っていた。

天鳳に没頭し、ブログを始めた事により、ゲスト依頼などたくさんの仕事が増えた。
昨年(2017年)には麻雀の戦術本を出すこともできた。そしてすぐに増刷されるほどに売れたのだ。

早いものであれからもうすぐ1年が経とうとしている。
あの時は連日忙しく、必要とされている実感を覚え、とても充実していたように思う。

しかしあれがピークだったようだ。
あと3トップというところまで迫った天鳳位を獲り逃し、ずるずると八段まで降段しその後は長く低迷。プロアマリーグなどの大会に積極的に参加するも結果を出せず、いつからか華々しい舞台から遠ざかっているように感じた。

今ですら齢40を数え、若者からすると距離を置かれる年齢だ。
柔らかく言うといいオッサンである。
それがあと10年経つと50になる。記憶力や瞬発力は大きく衰えてくるだろう。
私には時間がない。実働的にはあと数年。この麻雀界に何を残せるだろうか。

――そんな思いを抱えながらも、この日は「フォーラム」という雀荘を探していた。

おかしい。
JR春日駅より徒歩15分とのことで、その住所に着いたハズなのだが

パチンコ屋しか見当たらない。
何度地図アプリで確認してもこの場所のはずなのだが、周辺をぐるぐる回ってもみつからない。
ん、HPをよくみると「5F」と書いてあるな。もしやと思ってパチンコ屋の中のエレベーターに入ってみる。

あった(笑)
5階で降りると、すぐ隣が入り口だった。
もう少し、外部から存在がわかるようにするとよいと思うのだが。。

気を取り直して入ってみると、

平日にも関わらず縦長の店内にフリーが2卓、セットが1卓たっており、活気を感じる。

「いらっしゃいませー!」

元気のよい女性スタッフが迎えてくれた。初めての旨を告げると、待ち席に案内される。

待ち席では、福岡で定番となった大型モニターから日本プロ麻雀連盟のタイトル戦がライブで流れていた。

何やらこの雀荘は、私のイケメン仲間である滝沢和典プロがプロデュースする店らしい。

……ごめん、イケメンでも仲間でもないわ(笑)
20年前は同じ期待の新人だったはずなのだが、彼はスターダムの道を登りつめ、一方で私はドロップアウトした。あの時のことを自分は今でも鮮明に思い出せるが、滝沢プロが私を覚えているかはかなり怪しいところだ。

多くの大物ゲストが定期的に来店しているようで、所せましとサインが並べてあった。

さて、一通りルール説明を受けたが、オーソドックスなアリアリルールの4人打ちのようだ。
これなら初めてでも戸惑うことなく打てるだろう。

「zeRoさんが来るという事で楽しみにしていました!」

待ち席のお客さんに話しかけられる。
何やら天鳳をやっているということで、天鳳トークに花を咲かす。

そのお客さんと今来たお客さん2人で卓を立てる運びとなった。

「よろしくお願いします!」

元気な挨拶とは裏腹に、手が入らない。
まさに地蔵。先手を取る事ができず、1半荘目はぶら下がりの3着となった。

「フォーラム」では、ゲームが始まる前にこのようなボックスに各自ゲーム代(350円)を入れる仕組みだ。

トップ者がまとめて支払うシステムが全盛の時代で、私はこうやって各々から徴収する昔ながらのシステムを推す。

理由としては、全員分まとめて払うとえらい高いように感じてしまうのが大きい。
また無料ゲーム券や半額ゲーム券などのサービスも、その場で得を実感できるのが良いと感じる。そうそう、フォーラムでは11枚つづりのゲーム券を常時販売しており、これを使う事によって1ゲームオトクに遊べる。新規の方や女性の方はさらに安くこのゲーム券を購入できるようだ。

また、新規様にもれなくゲーム券がもらえるほか、ポイントカードも発行していて、サービスはとても充実している印象だ。

さて、気を取り直して2半荘目に入ったが、なかなか配牌もツモも呼応してくれない。
この、努力がすぐに結果に直結するわけでもなく思うようにいかない麻雀というゲームにおいて、自分はこれから何を残せるのだろうか。

再び心に闇が訪れていた、そんな矢先だった。

ツモられ貧乏で迎えた南1局の事。
私はがむしゃらにホンイツ仕掛けをしていた。

  ドラ

見切り発車で仕掛けてみたはいいものの、字牌は重ねる前に他家からだだ切られ、マンズも同様に被せられていた。

(少しでもいいところを見せたいけど、テンパイすら厳しそうだな……)

そう半ば諦めかけた時だった。上家からが打たれた。
すぐにツモ山に手を伸ばしたが、

(あれ、これって)

体が反応するように声が出ていた。

「チー」

  

何もなかったはずの空間からメンツを作る鳴き。
通常の発想の外にあるこのチーは、ボーっとしているだけではできないし、知識と経験がないと反応できない。

――何かが、代わった気がした。

丁寧に3枚切れているを切る。
次巡、他もほとんど出枯れていた字牌だが、その中の1枚を重ねる事に成功した。

   ツモ

次にを仕入れ、横に曲がっていた対面のを捉える事ができた。

   ロン

間一髪、ギリギリの満貫。
そしてこれがきっかけとなったのか、次局。

四暗刻のツモアガリ。
特に華麗な手筋があったわけでもない。手なりの四暗刻だった。

あれだけ欲しかった結果は、わけのわからないところに潜んでいるものだ。
あのカンチャンで鳴いたもそうだが、心から欲しかったモノは想定外のところにあり、普段はなかなか気付けないのであろう。
結果を出せず、焦っていた自分だが、麻雀の性質上、欲しい時に欲しいモノが手に入るわけではなく、ただひたすら正着打を打とうと努力を続けることによって、ときおり神様がご褒美をくれる……そんなものなのかもしれない。

その後
311121
3連勝もし、終わってみれば大きく勝って「フォーラム」での実戦を終了した。

遠く離れた地で

「一緒に打てて嬉しい」

と言ってくれる人がいるだけで、どれくらい幸せだろうか。
福岡にきてそれを実感した。

華々しく活躍する滝沢プロと違い、一度は諦め「ZERO」からやり直したこの麻雀道。
焦ることなく、やれることからやっていこうではないか。

何かふっきれたような、そんな麻雀だった。

まとめ

「フォーラム」は特徴あるルールや、目をひくようなシステムがあるわけではない。
しかし、低料金でテンパイ連チャンの麻雀がゆったりと遊べること、サービスやゲストイベントが充実していること、スタッフさんが丁寧で明るいことから、とても安心して麻雀を楽しめるお店のように感じた。

パチンコ屋の上にあるのはみつかりにくいが、パチンコ屋の駐車場は使っていいそうなので、車で来るお客さんにとっては非常に便利であろう。
私も地元名古屋では基本的に車で行動しているので、そのへんの気持ちはとてもわかるのだ。

さすが私のイケメン仲間である滝沢プロがプロデュースする店である。

評価

刺激度 ★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★★
イケメン仲間による安心感★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現

※2019年4月に住所移転しています。レポートは移転前時のものです。