zeRoの麻雀ひとり旅 ~第五回:大阪府東大阪市「タオ牌牌」~
zeRoの麻雀ひとり旅
第五回:大阪府東大阪市タオ牌牌
近鉄大阪線長瀬駅を降り、昭和の風情を感じる通りをzeRoは歩いていた。
春休みなのだろうか。近畿大学が近くにあり、多くの学生達とすれ違う。
陽光が照りつけ、体が汗ばむ。今年は桜の開花も早かった。
昔ながらの喫茶店や八百屋などが立ち並ぶ景色に「三丁目の夕日」の世界にタイムスリップした感覚に浸っていたところで、その店はあった。
地元では「タオパ」の愛称で親しまれている、三人打ち麻雀のお店「タオ牌牌」である。
実戦
「いらっしゃいませー」
感じのいいお兄さんが迎えてくれる。お茶を注文し、火照った体を冷ます。
そしてルール説明を受ける。いわゆる「関西サンマ」というやつだ。
ざっくり重要部分だけを説明すると、
- 35000点持ちの40000点かえし
- 完全先付の喰いタンなし
- 5pと5sは全部赤
- ハイテイは最後まで(ドラ表示牌ギリギリまでツモる)
- 4枚使い七対子アリ
- 華牌アリ
文章だけで説明しても伝わりにくい。さっそく実戦にいってみよう。
待っていた年配の方と、メンバーとの3人で新しい卓が立てられた。学生メインと思いきや、商店街のおやっさんのようなお客さんも多いらしい。
「よろしくお願いします」
知らない人同士で打つフリー雀荘だからこそ、挨拶を欠かしてはいけない。
これは麻雀のルールを覚える前に身に付けてほしいことだ。
勝ちたいのはみんな同じである。それ以前に全員が気持ちよく打てるよう心がけることで、ただの牌並べゲームから、知識を競い合う場へと昇華する。
相手がいないと麻雀も打てないのだ。
さて、そんな謙虚な気持ちが功を奏したのか、配牌を開けると、
このような軽い手が躍っていた。
「タ」と「オ」は華牌である。右に抜き、王牌から2枚補充する。
その2枚は
北は役牌である。しかし初打はその北とした。
つい
何気ない一打だが、それでいて重要な一打だと言える。
このように三人打ちでは、細かい牌効率が勝負を左右する。単純に濃度が3/4と言え、四人打ちと比べるとごまかしがきかないイメージだ。
三人打ちを打つ事はドラゴンボールで言う「精神と時の部屋」に入る事と同じだ。
下手なうちは容赦なく負けるが、その分上達速度も速くなると思っている。
毛嫌いしている人は是非三人打ちを打ってみて欲しい。
個人的にはいろいろと要素は変われど、使うのは同じ牌なので何も変わらない。
四人打ちは強いけど三人打ちはてんでダメって人はいないと思っているし、その逆もしかりだ。
さて、その後の進行が面白かった。
そして
盤石のイーシャンテンだ。
そして4巡目、ここにツモってきたのが
さて、四人打ちなら迷わずカンするところだが、三人打ちではこれはテンパイでもある。
そう、四枚使いチートイツ。
「……カン」
小考したが、チートイツテンパイをふまえても、カンしても受けが広く、圧倒的にアガリ率は高い。
リンシャンから持ってきたのは
ふむ、どちらに受けようか。
四人打ちなら自然に
このように濃度が3/4だけにイーシャンテンやテンパイになる頻度が四人打ちと比べて高く、シビアな判断に迫られる機会が多い……ということだ。
常に戦いに参加しているイメージで、ドラが多いだけにアガれば大抵はマンガン以上あるし、大物手も成就しやすい。ゲームとしても三人打ちは本当に面白いと思う。
さてどれをツモってきても倍満は確定。裏ドラ次第では三倍満までいく。
今日はアガリ倒す日かな…などと考えていたら
……この日はあと一牌が遠かった。
めくりあいにとことん負け、果てには5巡目に置いた
私は初めて行く雀荘ではほとんど喋らない。
常連さん達の和を乱してはならないと思っているから、最低限の会話しかしないのだ。
「……お代わりお願いします」
しかし、そんな新規がひたすらゲームチップを払い続けていると、微妙な空気になるのも事実。
私としては何も気にしていないのだが、周りから見るとかわいそうな人になってくるのだ。
こうして気を遣われるようになり、やがてその同情も合わせて「悔しい」という感情が芽生えてくる。
フリー雀荘で負けてもゲームチップを払えば済む。天鳳に至ってはptが減るだけだ。
しかし私にとって麻雀は人生を賭けたゲームであり、負ける事は血肉をもっていかれるのと同義。
10回ほど打っただろうか、最後にトップを取り店に安堵の空気が流れたところでヤメた。
悔しさにまみれた「タオパ」での実戦だった。
まとめ
負けてしまったが、印象はとてもよかった。メンバーさんは気さくだし常連さんのマナーもいい。そして特筆すべきはサービスのよさだ。まず、これを見てほしい。
小さくて見にくいかもしれないが一回目来店のところに「ゲーム代無料券×5枚」と書いてある。
これは本当に凄い。「タオパ」はトップ者が全員分の場代を払う今時のシステムなのだが、無料券1枚でその分まるっと補ってくれるのだ。つまり間接的に他者のゲーム代を自分がもらっているようなものである。
私は1回しかトップをとれなかったので、画像にあるように4枚残してしまったが(笑)
またこの無料券はお店で保管してくれるので、再び来店した時に使える。
そして2回目以降の来店でもサービスはさらに追加されていき、4回目ではゲーム券3回分プレゼント、5回目は1日ゲーム代無料+ゲーム券10枚と書かれている。
新規だけでなく他にもその都度イベントが開かれている模様。
この日は「黒ひげチャレンジ」というイベントをやっていた。
決してキレイとも広いとも言える店ではなかった。
しかし、風情の漂う街に愛される、雰囲気の良い、サービス満点のサンマのお店…
それが私の「タオ牌牌」の感想である。
悔しさにまみれて店を出た頃には、日はとっぷりと落ちていた。