zeRoの麻雀ひとり旅 ~第二十三回:千葉県柏市「麻雀ウェルカム 柏店」~
麻雀WELCOME 柏店
Mリーグが始まり、芸能人やアイドル……といった著名な方たちが、続々と麻雀に興味を持つようになってきた。
いや、興味は以前より持っていたはずだが、「タバコ・酒・ギャンブル」といった麻雀の持つ負のイメージが有名人にとってはマイナスであった。事務所から止められていたり、自主的に遠ざけていたりしたのだろう。
Mリーグのおかげでそのイメージは払しょくされつつある。もともと至高のゲーム性を持つ麻雀は、今後芋づる式に輪を広げ、近いうちにビッグバンを起こすかもしれない。
……そんな麻雀ブームの予感を覚える中、私は千葉県の柏駅にいた。
創業25年、関東を中心に17店舗を構えるマンモスチェーン店「ウェルカム」人気の秘密を探るためにここにきたのだ。
ウェルカム柏店は駅前にあった。
調べてみるとウェルカムはどの店舗も駅前に位置している。
どの土地へ行ってもアクセスはよく、いつもと同じ雰囲気・ルールで打てるので安心感があるのだろう。
入店
柏駅を降りてすぐに赤い看板がみつかった。
エレベーターで7階にあがり、店内に入ってびっくりした。
この日は土曜日だったが、まだ昼過ぎの時間帯である。
フリーと貸し卓のお客さんで店内はとても賑わっていたのだ。お客さんが多いとは聞いていたが、これほどまでとは。
「いらっしゃいませ! zeRoさんですね!」
写真左に映っている店員さんに声を掛けられ、待ち席に腰を下ろす。
私もフリー雀荘の店員を長年やっていたのでわかるが、普通満卓近くになったら頭がテンパるものだ。
カップ焼きそばの注文が入り、忙しい中作って持っていくと、その匂いに釣られて「あ俺もやきそば」と追加注文、それを持っていくと「あ俺も!」と延々と続く、恐怖の「焼きそばラッシュ」。
ワン掛けとともに「じゃあ俺もやめるわ」という「ラス半連鎖」。
そういったお客さんを接客しつつ、卓に入るとなると、いよいよ麻雀にはならない。
私はメンバーをやって、麻雀そのものが嫌いになってしまった……。
詳しくはZERO本(「ゼロ秒思考の麻雀」「麻雀強者の0秒思考」)に書いてあるのでぜひお手に取ってみてほしい。
しかしこの明るい店員さんは慣れているのか、過去の私と違ってどこか余裕があり、お客さんたちと会話をしながらお店を盛り上げていた。それでいてドリンクの注文やラストをそつなく捌き、見事なまでに店を回していた。
そのときの私はというと、店員さんの姿に感心しつつも、なるべく迷惑をかけないように、ルール表に目を通していた。
ごく普通のアリアリルール東南戦のようだ。
赤5が1枚ずつ、テンパイ連荘……など、奇抜な部分は全くない。
箱下計算がない点が、初心者にやさしいと言えるくらいか。
実戦
ルールを把握したところで私を待っていたというお客さんと卓を立てる運びになった。
卓に付いてすぐ、スマホの充電が少なくなっていることに気付いたが、柏店では全席打ちながらその卓で充電できる。
今どき、めずらしくもないサービスかもしれないが、本当に便利になったなぁと時代の流れを痛感する。
さて開局の親でのこと。
5巡目、ドラがアンコのチャンス手。
通常、ドラが3枚の役なしテンパイはリーチの一手だ。
私もリーチの声が出かけたが、ハッと思い出した。
(Mリーグで鈴木たろうプロが似たような手をしていたなぁ)
この手、リーチを打っても期待値(局収支)は大幅にプラスだろう。
しかし麻雀は選択と選択の比較、その連続である。
どうしてもアガリたいこの手牌、リーチを打って周りを牽制しつつ、ツモ抽選を増やす。
それも一策だ。こちらがドラを固めている以上、相手の手の平均ドラ保有枚数は少なく、押し返してくる可能性は通常より低いといえる。ただ、アガリまであるかは微妙なところだ。
ではテンパイ外しの選択はどうだろう。手替わりの枚数はそこまで多くないが、
リーチのリまで出かけた声を飲み込んで、マンズの下を誰も切っていないことを確認し、私は静かに
次に
これで盤石の構えになった。
瞬間の受け入れ枚数はそこまで多くないが、
「二次有効牌」とは、直接的な変化ではなく、その牌によってさらに変化が広がる牌のことである。
完成メンツが真ん中に寄っているほど二次有効牌の量や質はよくなる。
例:
真ん中によっているほどリャンメン・三面チャンができやすいからだ。
また、連続メンツはもっと強くなる。
例:
すぐに
Mリーグの観戦記を担当して、一流プロ達の麻雀を見る機会が増え、こうやって多くのプロ達から技術を学んでいる。引き出しが増えすぎて逆に弱くなってしまうケースもあるが、私はうまいこと自分の麻雀に取り入れられていると思う。
お客さんたちとなごやかに話しながら局は進んでいった。
南場に入って、私は6000オール以降手が入らず、周りのアガリを許し、ジリジリと点棒を削られていた。
ギリギリトップ目で迎えた南3局、ほとんど差のないライバルからリーチが入った。
私の手牌は劣勢で、オリざるを得ない展開だったのだが、終盤にイーシャンテンになっていた。
安全牌は
かくしてまた私の手が止まった。
チーしてテンパイをとるかスルーして我慢をするか……
険しい顔をして考えていると……
「対局中ですが、おやつはいかがですか~!」
先ほどの店員さんが、チョコレートなどの甘いものを無料で配っていた。
何やらウェルカム恒例のサービスらしい。
麻雀はひたすら頭を使うので、甘いものは本当に身に…いや脳にしみる。
こういった細かな気配りが人気の秘密なのかもしれない。
「1ついただこうか」
と偉そうに言いつつ、一掴み持っていき、そのうちの1つを口に投げ入れる。
チョコの甘さが口に広がり、脳の緊張が和らいでいくような感覚を覚えた。
再び局面に目を落としたとき、ふっと閃いた。
(朝倉康心プロならこうするハズだよな)
そして打
リスクはとらず、それでいて確実に形式テンパイに前進する選択!
私は物事を〇か×でとらえがちな節があるので、こういった中庸的な選択は思考外に追いやられやすい。
次に上家から打たれた
結果的にこのケーテンで守った点棒が功を奏し、トップを守り切ることができた。
そしてその後もほどほどに調子よく、楽しい時間を過ごさせていただき、実戦は終了した。
その間も店内は賑わっていて、それを決して多くはない人数で捌く店員さんに感心しっぱなしだった。
ウェルカムはどこの駅前にもあるという立地の安心感の他、ルール説明がしっかりしており、基本的なマナーも教えてくれる。ゲーム代も安く、多彩な割引サービスもあり、初めてフリーデビューするという人にぴったりだろう。(特に学生さんはフリーも貸し卓も激安!!)
お客さんも新規に慣れているのか優しそうな人が多いなといった印象だ。
さすが雀荘デビュー3万名以上の実績! といったところだ。
マーチャオグループと統合し、共通のポイントカードや成績管理システムを導入している点も通いたくなる要素だと思う。
Mリーグが麻雀界の裾野を広げていることは間違いないが、ウェルカムやマーチャオのように長年麻雀デビューの若者たちを支えてきた街の雀荘の功績は忘れてはならないし、今後も麻雀を覚えたばかりの初心者をとりこむためにも重要なポジションになることも同様に間違いないと言えるのではないだろうか。
大満足のウェルカム柏店での実戦だった。
評価
刺激度 ★★★
清潔感 ★★★★
サービス★★★★
チョコレートの多幸感★★★★★
(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)