zeRo | ページ 3 | 雀荘特集


zeRoの麻雀ひとり旅zeRo, 久留米, レポート, 麻雀, フリー, 旅打ち, 三人打ち, 三麻, 福岡, フリー麻雀, 雀荘

zeRoの麻雀ひとり旅

第九回:福岡県福岡県久留米市「チャン太 久留米店」

五月某日――
初夏を感じる暑さの中、zeRoは福岡へ向かう機内にいた。
これまで麻雀ばかりしてきたからか、飛行機に乗るのはとても久しぶりである。

よくこんな「人を乗せた鉄の塊」を飛ばし、さらにそれをビジネスにしようと考えたよな……などと人類の英知に対して余計な事を考えているうちには福岡に着いていた。
名古屋から約1時間のことだ。人類の英知はホントに凄い。

目的はもちろん麻雀だ。
土地 が変われば麻雀も変わる。本州との違いをお届けできれば……と思っている。

今回訪れたのは久留米市にある「チャン太 久留米店」だ。

右にパチンコ屋が写っているが「チャン太久留米店」に限らず、パチンコ屋の隣にある雀荘が、この辺りでは多かった。 相乗効果を狙ってのことか、それとも遊ぶところはひとまとめにするのが福岡流なのか。

外から見るとプレハブ小屋のように見えるが、階段を登り、中に入るとかなり広く印象が変わった。

奥の扉の向こうには個室もある。

「いらっしゃいませ」

スラリとした秘書のような素敵な女性が声をかけてくれた。
この方にルール説明を受けたのだが、尽くしてくれる雰囲気が出ていて、秘書感がますます高まってくるではないか。

なんのレポートかわからなくなってきたので話を戻すと「チャン太」はルールやマナーがしっかりしているし、サービスも充実している印象だ。

HPを見ればその様子がわかる。

店内にはびっしりとマナーに関する貼り紙があり、

かといってギスギスした場かと言うとそうではなく、店員さんは楽しそうな雰囲気 を出しているし、お客様同士も和気あいあいと話しながら麻雀を打っている。

「楽しい」と「厳しい」は相反するようで、実は表裏一体の要素。
楽しむためには最低限のルールを守らないと楽しめないのだ。
知らない人同士が卓を囲むフリー雀荘はなおさらそうで、楽しむためにマナーを覚えましょう……ということなのだろう。

サービスもたくさんあったが、一番驚いたのがこれだ。

28歳以下の方は場代が半額らしい。
若い血を入れたいのだろう。
しかし、ここまで思い切ったサービスは名古屋では見なかったと思う。

28か……。
一瞬、なんとか誤魔化せないだろうか? と思ったがスマホに反射する自身 の顔をみて諦めた(笑)
(それにサービスを受けるにはおそらく身分証明が必要だろう)

さて、平日の昼すぎということもあってお客さんはまばら。
ヨンマだとスリー入りになるということもあり、まずはお客さんのいるサンマを希望した。
サンマほど地域の特色がでるものはない。
チャン太のサンマをざっくり解説すると

5の他に3や7にも色牌が入っている。
何故だろうと考えたその時
なるほど!閃いたぞ!
チャンタだ「チャン太」!
5だけに赤が入っているとどうしてもチャンタは苦労の割に見返りの低い不遇の役となってしまう。
ところが3や7に赤が入っていると「メンチャンピン赤赤!」と言う呪文を唱える事もできるってわけだ!

あとはツモリ損。1000点加符すらない純粋なツモリ損。
子で満貫をツモったら2000・4000で6000の収入にしかならない。要所でダマの選択が大事になってくるだろう。

最後に北の扱い。
北は抜きドラだが、オタ風として手の内に使える。
私は北抜きのルールの中では手の内で使えるこのルールが大好きだ。
チートイ北タンキに構え他の人が抜くのを待ったりすることができるなど、戦略性を感じる。

早速どうするのか問いかけるような配牌がやってきた。

(赤) ドラ

普通にから切り出すのもいいが、私は試しに……とを抜いた。

「ペー」

を抜く際はこう発声するのがルール。

(2枚だから「ぺーぺー」と言うべきなのか?)

などと思いながらリンシャンから持ってきた牌は

(赤) 抜きドラ ドラ

さっきとは見違える手になった。
が役牌なら他人が抜いた牌もポンできるのでそのまま抜かない方がいいと思うのだが、所詮はオタ風。先ほどのようなタンヤオの見える手ならなおさらを抜いて変化を求めた方が良いと思ういい。

その後

(赤) 抜きドラ ドラ

テンパイしたものの、すでに11巡目と時間がかかった。
自分の捨て牌が派手になってしまったのと、他家がを数枚切っている事もあり、ダマに構えた。

ここからアガリ確率を削って倍満を目指すより、確実にハネマンを拾うのが「ツモリ損」の基本だ。
この後に赤牌やドラなどを入れ替えたり北を抜いたりで、さらに高くなったりする事もある。

すると次巡、そんなを切っている親からリーチがかかった。

(赤) 抜きドラ ドラ

追っかけるかどうかの判断。
は不要なはずなので高打点出アガリのチャンスとも言える。
しかし、やはり正着はダマ続行だろう。

現状打点は十分であり、現物待ちでもう1人から出るかもしれないのにその可能性を削るのは愚の骨頂だ。また牌を入れ替える事により放銃回避できるかもしれない。
とにかくハネマン以上の手はアガリ率最大に構えておくのが吉である。
出ていく牌が目立たないならなおさらだ。

もくろみ通り脇からを拾って、ハネマンをゲットした。
そんなこんなでサンマを楽しんでいると、4人打ちのお客さんが揃ったということで移動となった。

さて、ヨンマのルールを解説していきたいところだが、みなさんは初めてのお店に行った時、ルールを全部頭に入れるだろうか?

いくつもお店を回っている私から言わせると

「国士のアンカンは当たれるか――」

などは一切覚える必要がない。

いや、しっかり全部覚えられるならいいが、1年に1度あるかどうかすらわからないレア現象に頭のリソースは割かず、ゲームに大きく関わり、そして「出現頻度の高い重要な項目」だけを覚える方が、効率がいいのだ。

その重要な項目とは

  • 祝儀チップの対象、枚数
  • アガリ連荘かテンパイ連荘か
  • 途中流局があるか
  • ウマ

極論するとこの4つだけを把握しておけば事足りる。

オーラスの2着ヤメができるかどうかなんて、その時に聞けばよいではないか。

そんな感じで「チャン太」のルールを見ると…

赤3に金1の鳴き祝儀。そしてマンズに2枚入っていることはしっかり覚えておこう。

  • テンパイ連チャン
  • 途中流局なし
  • ウマ10000点20000点

そして重要なのは「条件付き東南戦」だということ。
東4局終了時点で32000点以上持っている人がいるとそこでゲーム終了。
いわゆる「新宿ルール 」というやつだ。

西家で迎えた手牌。

(赤)

南家から打たれたを鳴くかどうか?

「ポン」

新宿ルール の役牌は基本ポンだ。
よほど面前リーチが見込めるくらいの速度がない限り鳴いた方が良い。
鳴き祝儀ならなおさらだろう。

ただここまでバラバラだと、2つ目の仕掛けは形が整うまで控える。

(赤) 

ここで南家に打たれたをスルー。
カンチャンを2つ残したまま手を短くすると、アガリが見込めない上に危険だけが広がる。

これを鳴くことは、知らない女に「一目惚れした!」と言われ、いきなりホテルに行くようなモノだ。
きっとクローゼットに怖いお兄さんが隠れている。

(赤) 

ここまで進んだが、他家にアガリを拾われた。

そんなこんなで時は進み、東4局となっていた。

東家 40000
南家 18000
西家 16000
北家 26000 ←自分

 ドラ

役牌は基本ポン、と言ったばかりだが、私はこのを鳴かなかった。
トップ目の親がをポンしており、ここに満貫を振り込むとたちまちラス目になってしまう。その一方で鳴いて上がってもトップになれない。

門前で親に放銃しないように手を進め、ハネマンリーチが見込めない限りオリる……という戦略がベターだろう。

そして

 ドラ

ここまで手が進んだが親にあがられて終局となった。

このように終盤はいろんな条件が発生する。
南入りの条件なども絡むと、より戦略的になるだろう。
新宿ルール というと一見インフレルールのように感じるかもしれないが「条件に合わせた立ち回りをする」ことが大切であり、それは赤ナシの競技麻雀にも通じる部分がある。

密度が濃くなって、ある意味それは麻雀の醍醐味とも言えるだろう。

結果、サンマで少しマイナスした分をヨンマで大きく取り戻し、プラスで終えた私は待ち席で気分よくご飯を注文した。

待ち席の横には大きなモニターがあって、飽きさせない。

この時は音楽チャンネルが流れていたが、時には麻雀番組も流しているのだろう。

そしていよいよご飯が到着した。

ご飯の上にじゃがいもとほうれん草、そしてマヨネーズをぶっかけたチャン太名物「ポパイ丼」だ。

カロリーの味しかしないが、カロリーは裏切らない(名言)

とても美味しい上、満足感があった。

まとめ

「チャンタ久留米店」はマナーとサービスが共にしっかりしていて、店員さんも感じよく(特に秘書)店内も広いので、とても安心して麻雀に没頭できる場所だった。

また、新規のお客様には、フリー・セットを問わず手厚いサービスがある。

 フリーならば最大で8500円相当のプレゼント。
 セットならば最大で40000円相当のプレゼント。
 ともに初回来店から来れば来るほどサービスの内容が良くなっていき、ポイントカードのポイントを貯めると、「ゲーム代無料」「卓代無料」などの激熱サービスの恩恵が受けられて、実にお得だ。
 久留米に立ち寄る際には、ぜひともチャン太に足を運んでみてほしい。

評価

刺激度 ★★★☆
清潔感 ★★★★☆
サービス★★★★★
秘書の色気★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートールを★…として表現

zeRoの麻雀ひとり旅梅田, zeRo, レポート, 麻雀, フリー, 旅打ち, 三人打ち, 三麻, フリー麻雀, 大阪, 雀荘

zeRoの麻雀ひとり旅

第八回:大阪府大阪市北区 雀トップ 梅田店

 私は生まれも育ちも名古屋だが、名古屋でドラ5の手をアガると必ず「ドラゴンズ!」っていうオッサンがいる。いや、私じゃないぞ。
 しかしその中日ドラゴンズも低迷中。

 ……それは私の麻雀も同様である。

 関西サンマ3連敗中――
 タオ牌牌俺の雀荘いただき7……と、それぞれほとんどトップが取れずに負けてきた。

「サンマは四人打ちのいいトレーニングになる」
「サンマは実力が出やすい」

 などと言い続けてきたが、これだけ負けが込んでくると、その言葉の信ぴょう性にも大きく関わってくるではないか。これはよろしくない流れだ。

 一番の問題は自分を信じきれなくなること。

 「麻雀は短期的に結果の出ないゲーム」だと頭ではわかっていても、こうも負けが続くとひょっとして大きな間違いをしているんじゃないか? と疑心暗鬼になってくる。
 そんな状態では踏み込むべきところで踏み込めなくなり、逆に余計なところで放銃したりする。悪循環である。
 もちろん自分自身も全然完璧じゃないし、ミスも多い。関西サンマの押し引きバランスもまだ模索段階だ。

 もう一度戦いにいこう。
 自信を取り戻すため、そして新たな知見を得るために。

 この日、関西サンマへのリベンジを胸に誓ったzeRoが訪れたのは、関西サンマの聖地・梅田にある「雀トップ」だ。

 梅田駅構内の一角に、「泉の広場」と呼ばれる、地下に噴水(!)のある場所がある。

 噴水から発せられているマイナスイオンを吸収しながら十三番出口から地上に出ると……

 すぐに「雀トップ」の看板が目に入った。
 時刻は昼、道行くビジネスマン達の喧騒から逃れるようにビルに入り、八階まで上がる。
エレベーターの扉が開くとそこには

 お店のシンボルが迎えてくれた。
 中に入るとかなり広い。画像に収まり切らないが、全部で十六卓ある。

奥に見えるのは、クリーンルームと呼ばれるタバコを吸わない貸卓のための部屋だとか。
待合席も広く、ゆったりくつろげる。

「はい、いらっしゃい!」

 今日はベテランの店員さんしかいないようだが、その年齢を感じさせないくらい元気で、とてもハキハキしている。
 そんなベテラン店員さんのひとりからルール説明を受ける。

 基本はオーソドックスな関西サンマだが、いくつか雀トップならではのローカルルールがある。

「雀トップ」には「ドラゴン牌」なる牌が入っており、

 これは華牌と同じ扱いなのだが、ひとつだけ赤い牌が入っており、その一枚は祝儀対象となる。タオ牌牌や俺の雀荘で経験してきたお馴染みのパターンだ。
 ただ、その赤牌はデザイン自体が他のドラゴン牌と同じであり、ちょっと見にくいな……と感じた。特に色弱の方は苦労しそうなので、なんらかの対策はしてほしいところ。

 そしてこのドラゴン牌、ひとりで4枚集めると、なんと新しくドラが2枚めくれるルールなのである。
 こういうインフレイベント的なルールが私は大好きだ。

それともうひとつ、いままで足を運んだいずれのサンマ雀荘も、基本的には「まるっこ」というルールを採用していた。これは和了時の点数に関するルールで、簡単にいえば出和了と自摸和了の点数が変わらないというものだ。
しかし、雀トップでは、「ツモり損1000点加符」というルールを採用していて、
例えば、四人打ち麻雀で子のマンガンツモは2000-4000であるが、そこに1000点ずつ足して3000-5000になるという計算方法である。跳満なら3000-6000は4000-7000、倍満なら5000-9000というふうになる。
そう、その名の示す通り、ツモアガリは損なのである。
低打点域ならばその差はわずかであるが、高打点域になると顕著になる。親の倍満ツモ9000オールとなって、出アガリと6000点も変わってくるのである。

 長々とルールについて説明したが、これらが実戦においてどのように影響してくるのかは、実際に闘牌を見てもらった方が早いだろう。

「よろしくおねがいします!」

 いつものように元気に挨拶をする。
 仕事休みにきているようなサラリーマンと、初老の紳士が座っていた。

 さて東発、親であるサラリーマンからリーチが入っているところで私はこんな手。

【東一局 南家 0本場】

 華 ドラ

 チートイのイーシャンテンだが、浮いている4牌はどれも通ってない。
 現物は4枚あり、オリることはできそうだ。

 さて、あなたならどうするか?

 私は水が上から下に流れるよう、ごく自然に安牌のを河に置いた。

 このような場面で、例の「ツモり損1000点加符」のルールが押し引き判断に作用してくる。
 ただでさえ親のリーチにはオリ気味に打つべきところ、ますますオリ有利になるのだ。
たとえ親の倍満をツモられたとしても9000オールならまだまだジャブをもらったようなものだ。
しかし18000を直撃されたらもう膝はガクガクである。

「ツモり損」のルールは、ツモが損なわけではない。
「ロンの価値が高い」のである。

 テンパイ受け入れの狭いチートイで通ってない牌を切り、テンパイして、さらに通ってない牌を切り、そしてアガリ切る。この4段階抽選を受ける価値はない。
 攻撃を受けている状態でのテンパイとイーシャンは、天と地の差。特にツモリ損ならなおのことである。
 たとえ、サンマでは通りやすいでもこの時点で止めるべきなのだ。

「ツモ リーヅモ4丁 6000オール」

 サラリーマンのアガリで幕開けした。

 次局一本場は初老の下家が安手であがり、迎えた私の親番でこんな手が舞い降りた。

 ツモ ドラ

 打
チートイとメンツ手の天秤だ。先にを打ったことにより将来的に待ちが強くなる。

 すると

 ツモ ドラ

 さきほど我慢したチートイがここで蘇ったか。予定通りリーチ!
 と、いきたいがすっとをタテに置いた。
 やはりキモは「ツモり損」である。そもそもダマの18000で十分だ。
 その手をリーチしてツモったところで9000オールなのである。危険をおかす価値はない。

 ダマで潜航していると、3巡くらいしたところでサラリーマンがツモ。
 タンヤオドラ5の待ちだった。
 おそらく私がリーチを打っていたら、サラリーマンは追っかけていただろう。
 このように、本手はダマに構え、直撃を狙いつつ相手のリーチに対し悠然とツモ切りリーチを打つシーンは本当に多い。大物手の直撃は決定打となるからだ。
 はいい待ちだが所詮はタンキ待ち。めくりあいになると分が悪い。
 「ツモリ損」は我慢の連続である。

 さて時は流れ、オーラスを迎えてこのような点棒状況になっていた。

サラリーマン:54000
zeRo:28000
初老(親):23000

 トップのサラリーマンはかなり遠い。
 自分の手はトップどころか

 華 ツモ ドラ

 まくりようのない凡手でテンパってしまった。
 これをそのままリーチする。

 ドラがたくさんあったり、ホンイツやチンイツになりそうな手だったりすれば、トップを意識するが、無理なら自然に打つまでだ。素点も大事である。
 この手だって、一発や裏ドラのオプションによってはハネマンになってクビを守れる。(クビを守る=40000点以上になり沈みウマから逃れること)

 ほら、一発はなかったが、ドラゴン牌(華)を持ってきた。
 リンシャンから持ってきたのがまたドラゴン牌。そしてさらにリンシャンからドラゴン。

 するとサラリーマンが苦笑しながらドラを2枚めくった。

 そう、「ドラゴン牌をひとりで4枚集めると……」というルールの適用である。

そんなこんなで私の手はこうなった。

 華華華華 ドラ

 すぐにをツモ。
 リーヅモドラ8…さらに裏が1枚乗って三倍満。7000・13000。高いナナトーサンだ(笑)
 これによりトップ目のサラリーマンを1000点かわした。
 トップである。

 なお、祝儀のやりとりなどにはこの点棒のようなゲームチップを使う。

 個人的にこの棒のようなチップは扱いづらい。しかし、昔からの伝統なのだろう、ここ梅田界隈ではこれが主流だ。

 この日、私はこれまでの鬱憤をはらすかのように吹いた。
 たしか7戦して5トップだったと思う。
 そのせいではないが、卓が割れてしまった。

「メンバーツー入りになりますがよろしいですか?」

 うーん、それではあまり旅打ちっぽくないなぁ…と考えていると

「難波の店舗にはお客さんがたくさんいるんですけどね…」

と教えてもらった。

 よし、いくか。
 戦いは、難波へと続く…

まとめ

 「雀トップ」は一言で言うと、「安心して関西サンマを打てるお店」だ。
 広くて清潔な店内。何よりも店員さんが元気で気持ちがいい。
 壁には、

 マナーに関しての注意書きがびっしり。
 実際お客さんのマナーは非常に良かった。
 サービスも充実していて、特にこの

 新規のお客様に配られる一日無料券はお得だろう。

評価

刺激度 ★★★☆~★★★★
清潔感 ★★★★★
サービス★★★☆
店員さんの元気!★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

zeRoの麻雀ひとり旅zeRo, レポート, 麻雀, フリー, 旅打ち, 三人打ち, 三麻, フリー麻雀, 大阪, 雀荘

zeRoの麻雀ひとり旅

第七回:大阪府大阪市 いただきセブン

 本日のレポートは阪急三国駅にある「いただき7」さんというサンマ専門店。

 駅を降りてすぐ、ということでそれらしき建物を探していた。

 するとあった!

 ピンクの看板に、ハーフ専門……しろうと……。
 ここ麻雀屋だよな?(笑)モヤモヤしてくる思いを振り切るように店内に入る。

 私はかつて、パチンコとスロットで生活していた。
 パチンコもスロットも、出す意思のあるホール探しが全てである。
 パチンコは釘をみればおおよその店のやる気を把握する事ができるが、スロットの設定は目に見えないので、ぱっと見わからない。
 しかし一日に何十店舗と移動し、名古屋中のホールを回るうちに、ふいに「喰えるホール」というのがわかってくるのだ。

 こればっかりは感覚的なモノであり説明しようがないが、それでも無理やり言葉にするとしたら、匂い……
 そう、優良ホールは「喰える匂い」がするのだ。

「いらっしゃいませー!」

 なぜそんな昔の話をしたかというと「いただき7」に入った瞬間に、

(あ、ここはいい店だ)

 と肌が感じたからである。

 わいわいと楽しそうに麻雀を打つお客さん、店員さんのハキハキとした声。
 卓も牌も躍動していた。

 何より雰囲気を柔らかくしているのは、女の子の存在だ。

 不思議なもので、雀荘というのは女の子がひとりいるだけでガラリと雰囲気が変わる。
 お茶を持ってくるのでも、私のようなおっさんが持ってくるのとかわいい女の子が持ってくるのでは気分が違うだろう。同じお茶なのに本当に不思議である。

 また、女の子の前でケンカするのはみっともないな、という心理が働くのだろうか。お客さん同士でのトラブルも最小限になるイメージがある。

 特にこの日「いただき7」さんにいた女の子は、失礼ながらモデルのような美人というわけではなかったが、雰囲気がかわいらしい子で、ハキハキと声を出したり待ち席の人に声を掛けたりして楽しい空間を演出していた。
 まさに看板娘といったところだろう。

 テンションがあがってきたところで初めての旨を告げ、お茶とおしぼりをいただいた。

 そのおしぼりを見た瞬間、再びパチプロ時代を思い出した。
 パチンコもスロットも麻雀も、手は汚れるモノ。貧相な紙のおしぼりを使っているホールはお客さんの気持ちがわかっていないなーと感じたものだ。
 そんな中で「いただき7」さんは、肌触りの良い最高級のおしぼりをつかっているのがわかる。

(わかってらっしゃる……)

 つい、そう呟いてしまった。
 汗ばむ手をおしぼりで拭い、ルール説明を受ける。

 基本的には「タオ牌牌」さんや「俺の雀荘」さんで解説してきた関西サンマだ。

 5は全赤。いただき7と書かれた牌が華牌。
 そして7にも1枚ずつ金牌が入っている。これはドラには数えないがチップ対象になる。
 一通りの説明を受け、店内を見渡すと、フリーは若者三人で回っている卓とやや年配の方ふたりとメンバーが打っている卓があった。
 この辺の卓割りもうまくやっているな……と感じた。

 そして私はどっちに入れられるのかな……と楽しみにしていたら、やはり年配の方に放り込まれた(笑)

 そして因縁の「パッコロ」との再会である。

 リベンジに燃える思いと共に卓についたが、そんな気持ちはすぐにどこかにいってしまった。
 お客さんふたりが、とても楽しそうに打つのである。
 ツモを楽しみ、アガって喜び、放銃して悔しがる。

 正直、関西の人は勝負に厳しく常に淡々と打つイメージがこびりついていたので、関西にもこんな場所があったんだ…と嬉しくなってしまった。

 とはいえ勝負は勝負という事で、緩んでしまう気持ちを再び奮い立たせる。

 ツモ ドラ

 南家の配牌であなたなら何を切る?

 サンマは体力勝負である。
 ツモって切る動作だけでも四人打ちより濃厚で、思考する機会も同様に増える。
 そんな中で大事なのはやはりある程度の事はシステム化してしまうことだろう。
 まずドラを確認した後、役牌とオタ風をチェックする事から始まる。

 華牌を採用しているサンマでは、北が役牌のところがほとんど。
 つまり南家の私は東・南・北が役牌。要は西以外が全て役牌だ。

 だから一打目は打西とする。
 オタ風を真っ先に切るのだ。
 これが惰性で打っていると、とりあえずということでマンズから切ってしまう事が多い。
 ホンイツかピンフがハッキリ見えない限り、オタ風はお荷物だ。西家に重ねられる前に1巡でも早く切ることが大事だ。

 大事……と言ったが、細かい話であり、実戦ではそうそう損になるケースは少ない。
 しかし、自分で決めた順番を守れなかったことで、集中できていない自分に気付く事ができる。このことの方が大事と言える。

 を重ね、これをポンし、

 ロン   ドラ

 こんなマンガンをアガることができた。

 いつも最初は調子いいのだが…。

 五巡目のチンイツに放銃し、トップを捲られる。
 その後もトビこそしないものの、なかなかトップのとれない展開が続いた。

 半荘十回ほど打っただろうか、最後にトップをとり、笑える程度の負けで済んだ。
 しかし笑える程度の負けも、これだけ続くと膝にくる。麻雀と名前がついたらどんなルールでも負けない! と威勢のよかったのが、今となっては虚しい。

まとめ

 負けたのはおいといて、その負けた気持ちがどこかにいってしまうほど、「いただき7」はは好印象だった。
 貸卓も安く(特に学生は1h800円)、イベントも多彩で、とにかく楽しそうなお店なのだ。

 「いいお店の匂い」
 は、溢れるお客さんの笑顔で判断できるんだな…と感じた「いただき7」来訪だった。

 なお、その看板娘に写真をお願いしたが、断られてしまった。残念。

zeRo的総評

刺激度 ★★★☆
清潔感 ★★★☆
サービス★★★
看板娘 ★★★★★

補足

 今後から上記のような星で採点をしていこうと思う。
 刺激度は動くゲームチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートの麻雀を★……として表現。
 清潔感は卓回りだけでなく、トイレや待ち席も含めた綺麗さを評価。
 サービスは各種イベントの質や量を評価。

 このままでは終われない。
 関西サンマへのリベンジは必ず……と誓いながら、名古屋に帰ったZEROなのであった。

zeRoの麻雀ひとり旅zeRo, レポート, フリー, 旅打ち, 三人打ち, 三麻, フリー麻雀, 大阪, 雀荘

zeRoの麻雀ひとり旅

第六回:大阪府東大阪市俺の雀荘

 前回の「タオ牌牌」でボロ負けしたzeRoは打ちひしがれていた。

 とぼとぼと駅の方へ戻るように歩いていると、ひときわ目立つお店に気付き、ふと足を止める。

「俺の雀荘」

 まさか雀荘とは思わなかった。なんだこのインパクトのある外観は。

 ――その昔、名古屋に「俺の味」というパスタ屋があった。
 そこの店主が頑固なのか、メニューはミートパスタのみで、オープンからラストまでモーニング(パンと飲み物)がつき、完全禁煙である。
 極め付きには完食しないと怒られる……という、まさに頑固オヤジがやっているような独特のお店だった。
 現在では同名で店主が変わっているが、そんな今でも目を閉じればあの味を思い出す

 たしかにあのミートパスタは旨かった――

 負けたままでは名古屋に帰れない。
 興味を惹く外観と、火が戻った闘志と。
 私は気が付いたら「俺の雀荘」のドアを開けていた。

「いらっしゃい」

 マスターなのか髭をたくわえた中年の男性が私の来訪に気付き、声をかけてくれた。

 年季の入ったソファーに腰を掛ける。
 おしぼりとお茶を頂いた後、初めての旨を告げると新規説明をしてくれた。

  • 35000点持ちの40000点かえし
  • 完全先付の喰いタンなし
  • 5pと5sは全部赤
  • ハイテイは最後まで(ドラ表示牌ギリギリまでツモる)
  • 華牌アリ

 なるほど、タオ牌牌とほとんど変わらない。いわゆるオーソドックスな関西サンマというやつだった。
 なお、華牌はこちらだ

 少しプリントが薄くなっているが、「俺」「の」「雀」「荘」と書かれている。
 そして「俺」だけが金文字なのだが、これが一発裏と合わせて祝儀対象になる。

「タオ牌牌」もそうだった。
これがこの地元で愛されてきた、サンマのバランスなのかもしれないな…
などと歴史を感じていると、さっそくメンバーの入っている卓が終わり、そこに案内された。

「よろしくお願いします」

 起家スタートだった私は、決意も新たにサイコロボタンを押した。

 いや、パッコロボタンである。

 初めて見る方も多いかもしれない。関西サンマでは主流となっている「パッコロ」と呼ばれるサイコロである。

 正十二面体というだけでも目を引くが、そこに「東」「南」など書かれている。
 もうひとつは「二」から「十二」まで書かれたパッコロの2つを使用する。(普通のサイコロの場合も多い)

 こう書くとややこしいが、使い方は非常にシンプル。
 例えば「南」と「六」の目が出たら、南家の6トン目から配牌をとる…という意味だ。

 これは通常の取り出しよりわかりやすくて初心者もとっつきやすいと思う。

 なんてことないが、普段と違う風習のひとつひとつにワクワクする。これが旅打ちの醍醐味でもある。

 さて始まった。

 今回は、私が関西サンマをそれなりに打ち込んできた上で、感じた攻略法を書いていこうと思う。

①速度感が重要!

 起家で始まった私は、6巡目にこんな手牌になっていた。

 華 ツモ ドラ

 親番でそれなりの勝負手である。しかし私はノータイムで安全牌のを抜いた。

 対面のサラリーマン風の男の河がこうだったからである。

 

  華華

 今、共通役牌のをポンしてを打ってきたところだ。
 ただでさえを切り遅れたかなーと感じていたところに新たな危険牌であるを持ってきた。そして下家の捨て牌はテンパイの可能性が高く、もしテンパイならこの2筋が通る事は稀だろう。

 四人打ちでは自分に手が入ったら、基本は相手を気にせずにまっすぐ打つのが鉄則だ。
 相手はテンパイかどうか不明だし、放銃しても安い事が多いからである。
 しかしサンマは違う。
 使っている牌の種類が少なく、テンパイ速度が四麻と比較してかなり違うからだ。
 そして華牌や赤がある分、安いという事が少ない。

 それだけシビアに相手との速度感を測り、押し引き判断をしないといけない。

 華 ツモ

 この手が成就するには、

 が通り→テンパイして→アガリ切る

 必要があり、三段階抽選と言える。
 相手のテンパイの可能性が高いこの場面では、いくら親でも撤退するべきだと言えるだろう。

 さて、を対子落とししていくと意外にすぐテンパり返した。

 華 ツモ ドラ

 声高らかにリーチ! と行きたいところだが十巡目である、どうする?

②中盤の役アリは基本ダマテン!

 サンマと言うと、リーチのぶつけ合いや大物手の応酬など、派手なイメージがかなり強い。
 特に関西サンマはドラ表示牌の手前までツモが続くため、テンパイしたらなんでもリーチに行くのが得に思える。
 が、実際はそんなことはない。地味でシビアなリーチ判断が試されるのだ。
 特に強者はダマテンの使い方が上手い。これは間違いない。

 リーチを打つと、自分の捨て牌を利用して他家にアガられるかもしれない。
 出るはずだった牌を止められてかわされるかもしれない。
 入れ替えができずに放銃してしまうかもしれない。
 確実にアガリ確率は下がるだろう。

 その見返りに打点が上がればいいのだが、何度も言うように、サンマは華牌や赤で自然と打点のついてくるケースが多い。
 四人打ちのように2000点の手をマンガンにするためにリーチを打つのは多少のリスクがあっても得の方が大きいと考えられるが、マンガンある手をハネマンにするためにアガリ確率を下げる行為は微妙なのではないか……という話である。

 特にピンフ手のケースである。サンマはツモとピンフの複合しないルールが主流なので、さらにダマテン寄りになる。ピンフドラ3の手は、リーチを打っても、裏か一発がない限りハネマンにならない……ということだ。

 打点は勝手についてくるので二の次。
 アガリ確率を下げるようなリスクをなるべく犯さない。

 これが関西サンマの極意だと言える。

「ロン」

 対面がツモ切ったに声を掛ける事ができた。
見る事はできないが、対面の待ちはの可能性は高かったと思う。

「はい」

 サラリーマン風の男は気持ち良く18000点を払ってくれた。

 やわらかい雰囲気だったタオ牌牌の後だからか、俺の雀荘は余計な会話がなく、鉄火場のにおいがした。
 しかしお客さんやメンバーさんのマナーはよく、勝負そのものを楽しめる印象があった。

 続く一本場、気を良くした私の配牌はこうだった。

 ドラ

 イマイチな手だ。
 を打った私はすぐにをポンした、そして何を切るか――
 四人打ちだとホンイツを見て打としそうだ。
 しかし私はを切った。

③ホンイツは見るな!

 これが最後の極意である。
 四人打ちで最強の役は? と聞かれたら私はホンイツと答えるだろう。
 それだけ難易度の割に見返りが大きく、さらに守備力が高い。
 しかしサンマにおいては、話は別だ。ホンイツは足かせになることが多い。
 特にこの手のようにブロックが足りない段階で決め打つのは危険である。

 チーができないことが大きく、有効牌を狭めるデメリットが大きいのだ。
 そもそも打点はしつこいくらい言うように勝手についてくるので、ホンイツにするメリットが小さい。
 いかにもホンイツというような手牌以外は普通に進めるのが吉なのである。

   華 ドラ

 不格好ながら最速のマンガンテンパイを入れ、これをツモって6000は7000オール。

 今回こそはいける……!
 そう思っていたが、三時間後のzeRoはノートップで迎え、力尽きるようにラス半を入れていた。

 地獄――

 麻雀を打っていれば、当たり前のように訪れるどうにもならない状態。
 勝負手のめくりあいに必ず負け、押して放銃し、引いてツモられる。

 私はこれまで、天鳳だけでも7000戦、実戦では何万戦と打ってきたので、酸いも甘いも慣れている。
 ……ハズだった。しかし、負ける度に身を焼かれるような思いに駆られるし、勝てばこの世の全てを掴んだかのような万能感に包まれる。

 私の人生は麻雀が全てであるし、この気持ちの浮き沈みからは一生逃れられないのかもしれない。

 そんなことを思いながら帰りのホームでシュークリームを買った。
 脳が糖分を欲していたのであろう。
 終電に乗り込んだzeRoは、梅田のカプセルで泥のように眠ったのであった。

まとめ

 私の負け報告ばかりで、ほとんど俺の雀荘さんのレポートになっていない気もするが(笑)私がやめるころにはフリーは2卓立っていた。
 あまり店内を覚えていないということは、それだけ勝負に集中できる環境だったということだろう。

 ガンコなマスターがいるわけではなかったが、関西サンマをマナーよく楽しめるお店――それが「俺の雀荘」の印象である。

zeRoの麻雀ひとり旅zeRo, レポート, 旅打ち

zeRoの麻雀ひとり旅

第四回:大阪府大阪市「KILLER TUNE」

 私は東京や関西に行く際に、カプセルホテルを利用する事が多い。
 料金が安い事も魅力の1つではあるが、人間が快適に過ごせる最低限のスペースと施設がとてもシステマチックに感じ、その無駄のなさにある種の「美」を感じてしまうのだ。

 そういうわけで私が大阪滞在している時は「大東洋」という梅田にあるカプセル施設を利用する事がほとんどだ。なぜ、ここが気に入っているかと言うと、ひとたび外に出るとそこら中に雀荘が溢れかえっているからである。
 まさに「大阪の雀荘の聖地」と呼ぶにふさわしい場所だと思う。

 気の向くまま入った雀荘で力尽きるまで麻雀を打ち、終わったらカプセルで泥のように眠る。こうしていると、漫画「天牌」に出てくる黒沢さんのような孤高の博徒になった気分を味わえるのもポイント(笑)

 今回訪れるのは、昨年、そんな大阪麻雀の聖地にすい星のごとく現れたお店「KILLERTUNE」(キラーチューン)である。

 梅田の駅を降りて歩くこと数分。
 所狭しと多種多様なお店が並んでいる繁華街にその雀荘はあった。

 喧騒から逃げるように建物に入り、階段を昇るとすぐ入り口がある。

「いらっしゃいませ!」

 お店の方はみな若く、元気がいい。
 店内も壁は真っ白で清潔感に満ち溢れている。
 いかにも新店、という印象でとても気持ちがいい。

 実はこのお店に来たのは二回目である。
 その時とのルールの違いをメインに説明を受けた。

 簡単に説明すると、KILLERTUNEは新宿・歌舞伎町で流行っている「条件付き東南戦」のルールがそのまま大阪に上陸してきたイメージ。いわゆる「スピードバトル」というやつだ。以降、本文中では、このルールのことを新 宿ルールと呼称したいと思う。

 また、持ち点数の多寡に関わらず、「完全順位戦」であり、

  • トップが+60000点
  • 二着が+10000点
  • 三着が-30000点
  • 四着が-60000点

 と、計算が非常にシンプルなので初回でも戸惑う事は少ない。

 また、赤ドラが各種一枚、金5sが一枚……の計四枚が入っており、お楽しみチップ5000点の対象になる。
 そして白ポッチが一枚入っている。
 白ポッチは、通常は普通の白だが、リーチ後にツモった時に限り常にオールマイティになる。

 さて、ここまで読んで「新宿ルール」を打ったことのない方は

(「新宿ルール」かぁ…なじみがないし、手役を狙う麻雀の醍醐味が薄れそうだなぁ)

 と、悪い印象を抱く方が多いかもしれない。
 また、打ったことがある方も

(「新宿ルール」は、運の要素が強く、ゲームじゃなくて博打)

 と言う人もいる。

 しかし私はこのレポートを通して、そういった声を否定していきたい。

 麻雀、いろんなルールで打つほど引き出しが増えると言える。

 無駄な麻雀などひとつも存在しない。
 「新宿ルール」で言うと、速度に特化する事はもちろん、押し引き判断が非常にシビアになる。
 ふつうの東南戦でもアガリ競争の局面となった時に必ずその経験は活きる。

 また、たしかにたった1ゲームでは運の要素が強いが、こちらはふつう東南戦と同じ時間で約2ゲーム打つことができる。
 そのつど状況判断を問われ、休む暇がない。こちらの方が濃密であるといえ、むしろ同じ時間であれば、腕が成績に左右されやすいのでは……と私は考えている。

「zeRoさん、お待たせしました」

 回転が早いので、あまり待たされることがないのも隠れたメリットか。

 ごたくはいい。実戦で新宿ルールの素晴らしさを伝えていこう。

 お客さんは若い人が多かった。
 マナーは素晴らしく、所作に無駄がない。

「ポン」「ポン」「チー」「ポン」

 若者三者が挨拶とばかりに鳴きを入れてくる。
 さっそくはじまったよ。座ってすぐに合体……じゃなくて戦場。

 さて、東西場である。
 東西場……というのは東だけでなく、西も役牌になるのだ。つまり西家はダブ西ということになる。
 こうなるとオタ風を探す方が難しいのだ。
 例えば私は南家スタートだったのだが、東南西が風牌。つまり北以外の字牌は全て役牌ということだ。
 これが戦場を活性化させる。

 一方で自分の手牌に目を落とす。

 ドラ

 赤を含めてドラが三枚あるが、完全に出遅れている。

「チー」

 上家から打たれた二枚目のに声をかけた。 を川に置く。
 を重ねるか、789の三色とイッツーも見えるか。
 役は後からなんとかする! 少々強引に見えるが、これが新宿ルールでの戦い方でもある。

 かといって、なんでも仕掛け、なんでも押すわけではない。
 自分のアガリが厳しいと感じたら、サッと引く。
 今回の仕掛けは発声練習のようなものだ(笑)。ダブ東をポンしている親からテンパイ気配を感じたところで私は手じまいした。
 新宿ルールは殴り合いと思われがちだが、強者であるほどしっかりオリているのは事実である。
 オリていれば打ち合いしてくれるかもしれないし……流局したら「場センゴ」が逆襲を後押ししてくれる。

 「場センゴ」とは一本場1500点のルールのことだが、これが実に面白いのだ。
 親が4000オールをツモっても、次に子が2000-4000の一本場をツモると2500-4500となり2000点差まで詰め寄る事ができる。
 二本場……三本場……となると逆転要素がかなり大きくなり、連荘していても息をつく暇がない。

 ゲーム性が変わる……という点において技術介入要素となり、私は「場センゴ」が大好きである。
 そもそも一本場300点は、影響が小さく、あっても計算がややこしくなるだけで、それだったら無い方がよいのではないか? とも考えている。

 さて、実戦に戻ると、ほどなく対面が満貫をツモ。
 迎えた次局の親番、遅れをとった私の手にこのような手がきていた。

 ドラ

 4巡目のことである。

 上家から、が切られた。

 みなさんはこの上家から打たれたを鳴くだろうか?

 「新宿ルール」は何でもかんでも鳴くようなイメージがあるが、私はこれをスルーした。
 鳴きが強くなるのはもちろんだが、リーチも変わらず強いのだ。
 ましてやヘッドレスのこの形、焦って鳴かなくとも次に手の進む有効牌は五十枚以上ある。

 それならば多少手を遅らせようとも決定打になる抽選を受けようではないか。
 この戦い方は「新宿ルール」だろうが変わらない。

 とツモった10巡目のこと、リーチに漕ぎ着けることができた。

 これをツモって裏が乗り6000オール。
 速度も大事だが、決定打も同じくらい大事である。

 勝負を決定づけたかのように思えたが、オーラスに親から早いリーチが入った。
 点棒状況は以下である。

東家 31000 リーチ
南家 14000
西家 40000 (zeRo)
北家 15000

 そしてzeRoの手牌はこうなる。

 

 現物は一枚もない。
 私は意を決し、一発でを打った。このまま親に2600オール以上をアガられるとまくられてしまう。その一方で、倍満を放銃しても二着である。それならばこの親リーを蹴りにいった方がよいだろう。早い段階であれば、もう少し悪い手牌でも押し気味に戦う局面だと言える。

 逆に、北家の立場だったらオリ気味になる。失点するとラス落ちしてしまう一方で満貫をツモっても二着にはなれないからだ。

 同じ手牌でも順位によって最適な判断はめまぐるしく変わる。

 結果、をチーして打を引いてテンパイまで辿り着くことはできたが、同巡親に4000オールをツモられ、まくられてしまった。

 若者と違って老いた私は(笑)二周(8ゲーム)も打つと、脳がヒートアップした感覚になりたまらずラス半をかけた。それくらい、新宿ルールは濃密な時間が延々と続く……と考えられる。

感想

 ひとたび卓につけば戦場……のスピードバトルだが、外で見守ってくれる店員さんたちは、とても元気でハキハキしている。そしてお客さんのマナーもいい。
 麻雀は麻雀で勝負する場所だけど、明るい店内や元気で優しい店員さん達の影響か、あくまで紳士の社交場
 ……という印象を受けた。

 そうそう、私が初めて来店した時の事だ。

「ここらへんでビジネスホテルかカプセルホテルなど、おススメの簡易宿泊施設あります?」

 と聞いたら、店長さんに近くにカプセルがありますよ! と、教えてもらった上に、

「じゃあそこにします!」

 と返したら、私が打っている間に、地図を印刷しマーカーで行き方をチェックしてくれたり電話番号を添えた上で渡してくれた。その上、予約までとっておいてくれたのだ。

 親切な対応に感動した覚えがある。

 大阪では珍しいスピードバトルを安心して打てるキレイなお店。
 それが「KILLER TUNE」の感想である。

 この日、快勝した私は

「穴があったら入りたい」

 という語源はここからきているのかな…なんて考えつつ、カプセルに飛び込んだのであった。