梅田 | 雀荘特集


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 タタタタタタ…「ポン」「チー」「チー」「ロン」
 空白の捨て牌がザーッと並んでいき、誰がアガり、そしてまた河が空白になる。そこにまた牌が並んでいく。それを延々と繰り返していく。

 ネット麻雀で牌譜を開き早送りをしていくと、麻雀は牌を並べていくことの繰り返しなんだな…と当たり前のことに気づく。

謹賀新年

 2023年になった。好評の「ゼロ旅」も今回で30回目を迎える。
 世の中は未知のウイルスによって景色が変わり「ゼロ旅」で訪問した雀荘の中にも閉店してしまった店も多い。
 かくいう私もとりまく状況が変わった。昨年プロ団体(最高位戦日本プロ麻雀協会)に入会したのだ。齢45を数える私にできることなんて限られているのかもしれない。
 ただ1つだけ言えることは、これまで誰よりも空白の河に牌を並べ続けてきた自負があり、そしてこれからも変わらず牌を並べ続けていくことだ。
 45でプロなんて異例なことかもしれないが、そんな周りの評価なんて聞こえない。自分がやりたいことをやる、異例かどうかなんてどうでもいい。

関西の狂犬

 そんな最高位戦の先輩にあたる酒井一興プロのお店が、今回訪れる「麻雀STARS」である。

 酒井プロは我の強い性格からネット内外でたびたび誰かと衝突し、いつしか関西の狂犬と言われるようになっていた。
 自分を含め、昔はそんな輩も多かった印象だが、近年はそういう人も減り、相対的に目立ってしまっているのかもしれない。
 どんな店なんだろうか…酒井プロのこともあり、私は一抹の不安を覚えながら麻雀STARSに向かったのだった。

オシャレな店内

 麻雀STARSは大阪梅田の超一等地にある。泉の広場から地上にでてすぐそこで、雀荘フリークの方であればキラーチューンの跡地と言った方が話は早いか。

 「ZEROさん、いらっしゃいませ!」
 酒井プロが笑顔で迎えてくれた。
 待ち席がBARのようなカウンターになっており、その前には大きなモニターが鎮座しており、麻雀対局の映像が流されている。なかなかオシャレだ。

 さほど広くはない店内だが、余計なものを排除しスタイリッシュな空間となっている。
 さっそく酒井プロからルール説明を受ける。
 ルールに関しては実戦しながら解説していくが、マナーの面で面白いと思った部分があった。それは「プロ団体のみなさまへ」というページ。いくつかあるうちに、印象に残った項目がこちら。

 遅すぎるのは問題外だが、早すぎても威圧感を与えてしまう。なるべく周りの3人に合わせるよう配慮しようということだ。

 一般客向けにもマナー項目はある。

 いろいろ細かいように見えるが、ようは一番上にある「感じ良く打ちましょう」の一言に尽きる。
 スタイリッシュな空間とルール説明を受け、酒井プロの印象がガラリと変わった。
 「お客さんには麻雀に集中してもらいたいんです。シンプルだけどそれが一番のサービスになると思っています」
 と、酒井プロは語る。お客さんが気持ちよく打てることだけを考え、余計なものを排除し、ルールやマナーを構築する…その心地よさは、実戦中の至るところで感じることができた。

戦慄の親流し

「チー」
5巡目、親の私は切られた2枚目の6mに声をかけた。

134r578m133p2899s 出る6m ドラ中 6mを456mで鳴く。狙いはイッツーである。本来ならもう少し門前で育てたいところであるが、STARSは条件付き東南戦…いわゆるスピードバトルなのだ。

「ロン、2900の1枚」

123m33p99s ロン9s チー978m チー64r5m

 幸先よく先制。各「5」牌に赤が1枚ずつ入っており、赤と一発・裏にSTARSチップが1枚もらえる。他には金5sが1枚入っておりSTARSチップが2枚。リーチ後オールマイティ牌となる白ポッチも1枚入っており、リーチ後白ポッチアガリでもSTARSチップが1枚だ。

 そしてここからが最大の特徴である。
 「流します」
 戦慄の親流し・・・そうSTARSでは親でアガった後、親番を流すか、連荘するか選択ができるのだ。*流した後は本場は0本場で次局へ進む。
 STARSは完全順位戦であり、トップから+10・+3・▲4・▲9のSTARSチップのやり取りをする。このやり取りの特徴は2着以上を取ることが大切…ということ。(場代はトップ者がまとめ払い)
 たった2900のリードだが、次に手が入らなかった時の親被りを避けることができる。仮に連荘できたとしても、場センゴ(1本場1500点)だから逆襲されやすい。逆に自分の親を流してしまえば、もう1回のアガリで次はラス前である。以降手が入らなくても2着はかなり維持しやすいだろう。

「ツモ」
2255m22p金5599s西西北 ツモ白ポッチ
「2000 4000は2500 4500の3枚」

東2局もリーチ後オールマイティとなる白ポッチをツモり、このゲームはトップを取ることに成功した。

ちょうどいい客層とは

 さて店内風景やルールに関して語ったが、私が一番伝えたかったことがある。

 卓に入る前
 「うちは本当にお客さんがいいですよ」
 と酒井プロに言われた。

 いいお客さんってなんだ?自分のお店だからそう感じているだけじゃないのか。最初はそう思った。でも牌を交えていくうちにその真意がわかったのだ。

 いい客層ってなんだろう。
 和気あいあいとした雰囲気が好きという人もいる。しかし馴れ合いがすぎると初見の人が入りづらくなる。
 会話なんて一切無い方がいい、という人もいる。しかし全く会話が無いとギスギスした雰囲気になりがちだ。
 どの程度の会話がいいか――はフリー雀荘における永遠のテーマではないか。

 今回、STARSで打ったお客さんたちは、その中間だった。
 余計な会話は無いが、時折交わす一言二言の言葉が面白い。勝っている人が横柄になることもなく、負けている人が腐ることもなく。
 酒井プロのいう「お客さんがいい」ってこういうことかと腑に落ちたのだ。

 サンマの聖地である関西において、4人打スピードバトルは異色の存在と言える。その異色の存在を愛する者同士の連帯感がそうさせるのか…いや、それに加えて酒井プロの雰囲気作りが大きいと思う。
 麻雀に集中できる環境を作ることに尽力した結果、いいお客さんが集まってきたのではないか。

 はじめは調子良くトップを重ねていったが、徐々に負けが込むようになり、成績はついにマイナスになった。しかし、あまりの居心地の良さに成績は気にならない。いつのまにか私は酒井マジックにかかってしまったようだ。

 酒井プロから関西の狂犬っぷりは微塵も感じることができない。
 むしろ近くの美味しいお店や宿を細かく紹介してくれた。そして最高位戦のことやこれからのことを語り合った。本当に気遣いのできる優しい男だった。

まとめ

 STARSは大阪で希少な4人打スピードバトルを楽しめるお店。
 本編には盛り込めなかったが、日替わり還元イベントの開催や、女流プロゲスト来店日は遊びやすいルールの開催など、幅広く楽しめる工夫が凝らされている。
麻雀に集中できる環境、客層の良さ、はどれだけ文章で書いても伝えるのには限界がある。
ぜひSTARSに行って実感してもらいたい。

【ゼロログ評価】

刺激度 ★★★★★
*女流プロゲスト来店日は★★★ルールも開催
清潔感 ★★★★★
サービス★★★★

客層の良さ★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)

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zeRoの麻雀ひとり旅

第八回:大阪府大阪市北区 雀トップ 梅田店

 私は生まれも育ちも名古屋だが、名古屋でドラ5の手をアガると必ず「ドラゴンズ!」っていうオッサンがいる。いや、私じゃないぞ。
 しかしその中日ドラゴンズも低迷中。

 ……それは私の麻雀も同様である。

 関西サンマ3連敗中――
 タオ牌牌俺の雀荘いただき7……と、それぞれほとんどトップが取れずに負けてきた。

「サンマは四人打ちのいいトレーニングになる」
「サンマは実力が出やすい」

 などと言い続けてきたが、これだけ負けが込んでくると、その言葉の信ぴょう性にも大きく関わってくるではないか。これはよろしくない流れだ。

 一番の問題は自分を信じきれなくなること。

 「麻雀は短期的に結果の出ないゲーム」だと頭ではわかっていても、こうも負けが続くとひょっとして大きな間違いをしているんじゃないか? と疑心暗鬼になってくる。
 そんな状態では踏み込むべきところで踏み込めなくなり、逆に余計なところで放銃したりする。悪循環である。
 もちろん自分自身も全然完璧じゃないし、ミスも多い。関西サンマの押し引きバランスもまだ模索段階だ。

 もう一度戦いにいこう。
 自信を取り戻すため、そして新たな知見を得るために。

 この日、関西サンマへのリベンジを胸に誓ったzeRoが訪れたのは、関西サンマの聖地・梅田にある「雀トップ」だ。

 梅田駅構内の一角に、「泉の広場」と呼ばれる、地下に噴水(!)のある場所がある。

 噴水から発せられているマイナスイオンを吸収しながら十三番出口から地上に出ると……

 すぐに「雀トップ」の看板が目に入った。
 時刻は昼、道行くビジネスマン達の喧騒から逃れるようにビルに入り、八階まで上がる。
エレベーターの扉が開くとそこには

 お店のシンボルが迎えてくれた。
 中に入るとかなり広い。画像に収まり切らないが、全部で十六卓ある。

奥に見えるのは、クリーンルームと呼ばれるタバコを吸わない貸卓のための部屋だとか。
待合席も広く、ゆったりくつろげる。

「はい、いらっしゃい!」

 今日はベテランの店員さんしかいないようだが、その年齢を感じさせないくらい元気で、とてもハキハキしている。
 そんなベテラン店員さんのひとりからルール説明を受ける。

 基本はオーソドックスな関西サンマだが、いくつか雀トップならではのローカルルールがある。

「雀トップ」には「ドラゴン牌」なる牌が入っており、

 これは華牌と同じ扱いなのだが、ひとつだけ赤い牌が入っており、その一枚は祝儀対象となる。タオ牌牌や俺の雀荘で経験してきたお馴染みのパターンだ。
 ただ、その赤牌はデザイン自体が他のドラゴン牌と同じであり、ちょっと見にくいな……と感じた。特に色弱の方は苦労しそうなので、なんらかの対策はしてほしいところ。

 そしてこのドラゴン牌、ひとりで4枚集めると、なんと新しくドラが2枚めくれるルールなのである。
 こういうインフレイベント的なルールが私は大好きだ。

それともうひとつ、いままで足を運んだいずれのサンマ雀荘も、基本的には「まるっこ」というルールを採用していた。これは和了時の点数に関するルールで、簡単にいえば出和了と自摸和了の点数が変わらないというものだ。
しかし、雀トップでは、「ツモり損1000点加符」というルールを採用していて、
例えば、四人打ち麻雀で子のマンガンツモは2000-4000であるが、そこに1000点ずつ足して3000-5000になるという計算方法である。跳満なら3000-6000は4000-7000、倍満なら5000-9000というふうになる。
そう、その名の示す通り、ツモアガリは損なのである。
低打点域ならばその差はわずかであるが、高打点域になると顕著になる。親の倍満ツモ9000オールとなって、出アガリと6000点も変わってくるのである。

 長々とルールについて説明したが、これらが実戦においてどのように影響してくるのかは、実際に闘牌を見てもらった方が早いだろう。

「よろしくおねがいします!」

 いつものように元気に挨拶をする。
 仕事休みにきているようなサラリーマンと、初老の紳士が座っていた。

 さて東発、親であるサラリーマンからリーチが入っているところで私はこんな手。

【東一局 南家 0本場】

 華 ドラ

 チートイのイーシャンテンだが、浮いている4牌はどれも通ってない。
 現物は4枚あり、オリることはできそうだ。

 さて、あなたならどうするか?

 私は水が上から下に流れるよう、ごく自然に安牌のを河に置いた。

 このような場面で、例の「ツモり損1000点加符」のルールが押し引き判断に作用してくる。
 ただでさえ親のリーチにはオリ気味に打つべきところ、ますますオリ有利になるのだ。
たとえ親の倍満をツモられたとしても9000オールならまだまだジャブをもらったようなものだ。
しかし18000を直撃されたらもう膝はガクガクである。

「ツモり損」のルールは、ツモが損なわけではない。
「ロンの価値が高い」のである。

 テンパイ受け入れの狭いチートイで通ってない牌を切り、テンパイして、さらに通ってない牌を切り、そしてアガリ切る。この4段階抽選を受ける価値はない。
 攻撃を受けている状態でのテンパイとイーシャンは、天と地の差。特にツモリ損ならなおのことである。
 たとえ、サンマでは通りやすいでもこの時点で止めるべきなのだ。

「ツモ リーヅモ4丁 6000オール」

 サラリーマンのアガリで幕開けした。

 次局一本場は初老の下家が安手であがり、迎えた私の親番でこんな手が舞い降りた。

 ツモ ドラ

 打
チートイとメンツ手の天秤だ。先にを打ったことにより将来的に待ちが強くなる。

 すると

 ツモ ドラ

 さきほど我慢したチートイがここで蘇ったか。予定通りリーチ!
 と、いきたいがすっとをタテに置いた。
 やはりキモは「ツモり損」である。そもそもダマの18000で十分だ。
 その手をリーチしてツモったところで9000オールなのである。危険をおかす価値はない。

 ダマで潜航していると、3巡くらいしたところでサラリーマンがツモ。
 タンヤオドラ5の待ちだった。
 おそらく私がリーチを打っていたら、サラリーマンは追っかけていただろう。
 このように、本手はダマに構え、直撃を狙いつつ相手のリーチに対し悠然とツモ切りリーチを打つシーンは本当に多い。大物手の直撃は決定打となるからだ。
 はいい待ちだが所詮はタンキ待ち。めくりあいになると分が悪い。
 「ツモリ損」は我慢の連続である。

 さて時は流れ、オーラスを迎えてこのような点棒状況になっていた。

サラリーマン:54000
zeRo:28000
初老(親):23000

 トップのサラリーマンはかなり遠い。
 自分の手はトップどころか

 華 ツモ ドラ

 まくりようのない凡手でテンパってしまった。
 これをそのままリーチする。

 ドラがたくさんあったり、ホンイツやチンイツになりそうな手だったりすれば、トップを意識するが、無理なら自然に打つまでだ。素点も大事である。
 この手だって、一発や裏ドラのオプションによってはハネマンになってクビを守れる。(クビを守る=40000点以上になり沈みウマから逃れること)

 ほら、一発はなかったが、ドラゴン牌(華)を持ってきた。
 リンシャンから持ってきたのがまたドラゴン牌。そしてさらにリンシャンからドラゴン。

 するとサラリーマンが苦笑しながらドラを2枚めくった。

 そう、「ドラゴン牌をひとりで4枚集めると……」というルールの適用である。

そんなこんなで私の手はこうなった。

 華華華華 ドラ

 すぐにをツモ。
 リーヅモドラ8…さらに裏が1枚乗って三倍満。7000・13000。高いナナトーサンだ(笑)
 これによりトップ目のサラリーマンを1000点かわした。
 トップである。

 なお、祝儀のやりとりなどにはこの点棒のようなゲームチップを使う。

 個人的にこの棒のようなチップは扱いづらい。しかし、昔からの伝統なのだろう、ここ梅田界隈ではこれが主流だ。

 この日、私はこれまでの鬱憤をはらすかのように吹いた。
 たしか7戦して5トップだったと思う。
 そのせいではないが、卓が割れてしまった。

「メンバーツー入りになりますがよろしいですか?」

 うーん、それではあまり旅打ちっぽくないなぁ…と考えていると

「難波の店舗にはお客さんがたくさんいるんですけどね…」

と教えてもらった。

 よし、いくか。
 戦いは、難波へと続く…

まとめ

 「雀トップ」は一言で言うと、「安心して関西サンマを打てるお店」だ。
 広くて清潔な店内。何よりも店員さんが元気で気持ちがいい。
 壁には、

 マナーに関しての注意書きがびっしり。
 実際お客さんのマナーは非常に良かった。
 サービスも充実していて、特にこの

 新規のお客様に配られる一日無料券はお得だろう。

評価

刺激度 ★★★☆~★★★★
清潔感 ★★★★★
サービス★★★☆
店員さんの元気!★★★★★

(なお「刺激度」は動くお楽しみチップを元に 新宿ルールを★★★★★、学生でも安心して遊べるルールを★★★、ノーレートルールを★…として表現)