麻雀業界ニュース
1970年01月01日(木)
| 夕刊フジ杯 |
夕刊フジ杯も予選が全て終わった。
結果は1組 雀奴 2組 雀トップ 3組 Potti&ミラージュ
名古屋 ひまわりが勝ち上がったのだが、
各ブロックにそれぞれのドラマがあった。
大会の都合上、生配信が出来なかった対局があったが、個人目線で
振り返ってみます。
最終節最初に対局したのは大阪3組であった。
女流プロは特に「選手の相性」というのを気にする選手が多い。
ブロック分け抽選もそれを意識していると感じられる選択をした
チームもありました。
個人的な目線ですが何人かが対局者の相性や明らかな不調と
思われる対局が続く選手が居たと思われます。
麻生ゆりプロはまさにその中でも上位に名前が挙がる選手でした。
その実力は男性プロでも認める人が多い麻生プロですが、
明らかに夕刊フジでは焦りが感じられた。
これが夕刊フジの怖さでもあるのだが、
仲間でもあるチームメイトを比較対象としてしまうのである。
チームメイトが好調であると自分が足を引っ張っているという
感覚に陥ってしまうのか?
ポイントという結果が出てしまうので無意識に
比較してしまうのであろうか?
この夕刊フジの魔物に捕まったのが麻生プロでした。
麻生プロのチームメイトは同じ協会で後輩でもある藤中美穂プロ。
藤中プロは個人で首位を独走している。
チームの争いが接戦となっている時はどうしても自分の結果に
焦りを感じるのではないだろうか?
その麻生プロは第4節第5節でポイントを伸ばし、
個人でも第9位で最終節を迎えた。
同じブロックで戦うチャイナ君神戸は、今大会2組いる
「姉妹ペア」の1組です。
姉 赤木理恵プロは「慎重派(妹由実プロ談)」
妹 赤木由実プロは「大胆派(姉理恵プロ談)」
という姉妹は、これまで1半荘ずつ交代で登板してきました。
前節の第5節で由実プロが始めて連投しましたが、
まだまだチームも個人も通過が狙える位置。
今年から設立された、最高位戦関西からは関西一期生となる
柚木ゆりプロ、御木マヤプロ、西本朱里プロが登場。
この3人は今年の雀サクッのカレンダーにもなっており、
みんなが明るく、この大会に華を添えてくれた。
しかし、麻雀は協会のPotti&ミラージュ。
連盟のチャイナ君神戸の4人に翻弄されて、
ここまでで非常に苦しい戦いが続いている。
また下馬評では非常に評価が高かった情々グループ。
昨年度の個人準決勝W進出 チーム準決勝進出の
桐生みやびプロと有村美千絵さん。
お互いにお互いの弱点をフォローするこのコンビは
今大会でも1~2を争うチームワークを持ったチームである。
が、このチームの初トップがなんと第3節3回戦である。
誰もが予想しなかったこの展開。
最終戦は桐生プロの個人プレーオフ進出に
全てを託す。
1回戦はその個人7位 赤木理恵プロ
個人9位 麻生ゆりプロの直接対決となった。
最終戦ならではの雰囲気で、流局が続く重い展開となった。
麻生プロはいつもは思い切りのいいリーチをうつのだが、
この半荘は少し迷いながらリーチをかけていました。
そこは解説席でも取り上げられておりましたが、
最終節の緊張感が微妙に彼女を狂わせていたのかもしれない。
1位桐生プロ 2位赤木プロに離されて3位でオーラスを
迎えた場面で麻生プロのファインプレーが光る。
チーム戦でライバルのチャイナ君神戸にトップを
獲らせると、たとえこの時点で130pの
差をつけているとはいえ、現実的な条件を与えてしまう。
しかし、個人としては一つでも着をUPさせたい。
配牌で長考した麻生プロの決断は、
チームを優先する1000点のアガリ。
これが桐生プロから出て、チャイナ君との差を最小限に抑える。
続く2回戦 麻雀の神は麻生プロに試練を与える。
東1局、卓上全ての出来事が麻生プロにマイナスに作用する。
誰もが打つと思われる先制リーチ 赤木由実プロののチー
西本朱里プロに流れた牌 麻生プロが掴まされた牌。
その牌に西本プロから「32000」の声がかかる。
もちろん赤木由実プロもその展開を狙ってチーしたわけでは
ありません。
そこに1sが居たのも 九を掴むのも偶然といえば偶然です。
が、それが全て噛み合ってしまった結果、
大きな大きな国士無双放銃、32000点のビハインドを
麻生プロは背負わされてしまった。
しかし、そこから踏ん張り、赤木由実プロから
ジュンチャン一盃口ドラ2の18000点を直撃する。
その後も激しい点数のやりとりがあり結果ラスに沈んでしまった。
が、最悪の状態を回避できたのは大きい。
またその18000点を放銃した赤木由実プロであったが、
一時期は8100点まで点数を削られる。
しかしフリテンツモや、オーラスでアガリきり、
2着で終了。チーム戦は最終半荘に持ち越された。
また、西本プロの国士無双を複雑な表情で見ていた選手が居た。
3連勝条件という非常に厳しい条件に挑んでいた
桐生プロであった。
1回戦はトップで条件をクリアしたものの、
この2回戦でその夢が絶たれた。
最終半荘でそれぞれに突きつけられた条件。
チャイナ君はチームが勝ち上がるためには
まずはトップを獲り、Pocchi&ミラージュが
2位ならば33500点差
3着ならば13500点差
4着ならば3500点差をつけると
チームが準決勝進出が決まる。
個人はこの時点のボーダー
約100pを赤木理恵プロがクリア。
赤木由実プロ、麻生ゆりプロが個人のボーダーを
クリアするためには8万点クラスの大きなトップが
必要となる。
チャイナ君は、妹の赤木由実プロが
チームの代表をかけて連投となる。
そしてPotti&ミラージュは藤中美穂プロが出てきた。
2回戦から自分の登板の可能性を感じていただろうが、
この時彼女は何を考えていたのだろうか?
自分の成績がそのままチーム進出に繋がる。
どれだけのプレッシャーであったろうか?
また、変わった麻生プロは何を思って
画面を見ていたのだろうか?
解説席でも場面場面で焦る麻生プロが印象的だった。
この二人は、3回戦対局前に条件をいつまでも確認しあっていた。
条件だけ見るとチャイナ君につきつけられた条件は
かなり厳しい。
まずはトップを取らなくてはいけない。
そのうえで、Potti&ミラージュを
3着以下に沈めなければならない。
もしくは2着を突き放した大トップが必要である。
最終半荘はその赤木プロが先制、
ついにトータルポイントで逆転をする。
解説席でも言われ続けたのだが、
この半荘藤中プロは普段のらしさが見られない。
ここで、状況がまた難しくなる。
西本プロが南場の親番で、トップの赤木プロに迫る。
藤中プロとしては、西本プロにトップを
獲ってもらってもOK。
つまり西本プロへの差込も有効となる。
いろいろな判断ができたのだが、結局藤中プロは自力での進出を選択。
オーラスの時点ではチャイナ君神戸が逆転をしていた。
追う立場となった藤中プロの条件は700・1300ツモか直撃2000、出アガリ3900。
ラス親の赤木プロは3人テンパイでは伏せれない。
注目のオーラスの配牌であったが、それを見た瞬間、麻生プロの
悲壮感溢れる声が解説席に響いた。
対照的な配牌。早そうな赤木プロ、
しかしアガリ止めが出来ない。
速さがない藤中プロ。
先にテンパイを入れたのは赤木プロであった。
誰もが「もう1局」と考えていただろう。
しかしその手を丁寧に仕上げたのは藤中プロだった。
西本プロは、一手変わり三色の形で押している。
もちろん三色になればリーチなのだろうが、なかなか手変わりしない。
その西本プロが少考してツモ切った6筒。
ここまでチームを追い詰める原因を作った西本プロから
藤中プロが門前混一色 ピンフの8000を直撃する。
その瞬間の麻生プロの表情。
ここまで麻雀の神に試練を与えられ続けた彼女に
最後に神が微笑んだ瞬間であった。
大阪3組
1位 Potti&ミラージュ +210.9p
2位 チャイナ君神戸店 +186.2p
3位 情々グループ ▲184.0p
4位 最高位戦関西 ▲213.1p